Aimer、『大奥』に感じたシンパシー “大切なものを守り抜く”想いを歌った主題歌「白色蜉蝣」

Aimer、『大奥』に感じたシンパシー

その時々の自分のままでこれからも歩いて行けばいい

──カップリング曲についてもお伺いしたいのですが、「Overdrive」は〈駆け出していま 弾かれるように その手を伸ばしたら 振り向かずに〉、「Sweet Igloo」も〈ここからまた歩き出せるよ 拾い集めた夢と託し合う願いを抱いて〉とあり、どちらからも“走り出す”や“旅立つ”といった雰囲気を感じました。Aimerさんご自身が今、そういうモードなのかなと推測したのですが……。

Aimer「白色蜉蝣」CROSS FADE

Aimer:確かにこのシングル、特にこの2曲は、7月にリリースしたアルバム『Open α Door』を作ってからの今の自分の心境の象徴みたいな曲だなと思います。『Open α Door』は、今までの10年以上の活動の中でやってこなかったことをやってみよう、その扉を一つひとつ開けてみようというコンセプトで作りました。それを全部開けてみた結果、何か特別な扉を開いてその先に行くという感じはなくて、むしろいろいろ開けて確かめて、これからも今まで通りに行けばいいんだな、一歩一歩歩いていけばいいんだなということが腑に落ちたんです。あのアルバムを作っているときは、自分の中では時計の針を止めていた感じで、アルバムを作り終えて、また時計の針が進んでいっているイメージです。だから今思っているのは、これから先の10年を、同じように歩いたとしても、自然とすべて違うものになっていくんだということ。その時々の自分のままでこれからも歩いて行けばいいんだ、特別なことはしなくていいんだと思いました。

──なるほど。

Aimer:「Overdrive」はまさにその象徴みたいな曲で。オーバードライブってギターのエフェクターの名前なんですが、そのエフェクターを一つ踏む、それだけの変化でいいんです。〈駆け出そう このまま〉と歌っているんですけど、まさにそれが言いたかったこと。何かをすごく大きく変えなきゃいけないわけじゃなくて、オーバードライブを踏むくらいの一つの変化で挑戦していくことがすごく大事なことなんじゃないかなって。そういう曲を作りたいなと思ってできたのがこの曲です。

──「Sweet Igloo」は同じく“歩き出す”雰囲気はありながらも、帰ってくる“ホーム”のような存在やそれに対する温かさが綴られています。冒頭のファンクラブツアーのお話を彷彿とさせると言いますか、Aimerさんにとってのファンの存在だったりするのかなと、勝手に推測してしまいました。

Aimer:10年以上活動してきた中で、自分の中でも「この時代」「この時代」と区切れるような様々な時期がありましたが、どんな時代も一緒にいてくれる人たちは私にとって本当に大切で。10周年イヤーを終えたり、『Open α Door』というアルバムを作り終えたりして改めて思うのは、一歩一歩進んでいこうということと同時に、自分の居場所は、すごく立派な建物とかきらびやかな場所じゃなくていいなということ。手作りで作った場所で、大切な人たちと一緒に、〈消えることない燈(あかり)〉を共にできたらそれで十分だなって。もし、その場所にいられなくなったら、また新しい居場所を作る。それをずっと続けていくことがこれからも大事で、それが生きていくということなのかなと思えていて。この気持ちをそのまま曲にしました。

──ファンの方にとっては、その居場所やそういう存在がAimerさんの存在や音楽になっているかもしれないですしね。

Aimer:そうであったら本当にうれしいです。

──収録曲の背景についてお話を伺ってきましたが、レコーディングや制作の面で新しくトライしたことやチャンレジだったなと思うことはありますか?

Aimer:3曲とも歌声の使い方に関して原点に立ち返ってみようという気持ちがありました。それは、ここからの一歩が、今までと同じ一歩だったとしても、その時々の自分で違う一歩になるという意味も含めて、新しく特別なことをするというよりも、原点に立ち返って表現してみようかなと。だから聴いてくれた皆さんがどう受け止めてくれるかが楽しみでもあります。

──お話を伺っていて、今のAimerさんはご自身のスタンダードにもう一度トライしているのかなと思いました。

Aimer:「Sweet Igloo」に〈Still on the way〉とあるんですけど、自分はまだ途中で、「ここからまた」という気持ちもありますし、声の使い方も含めて、これまでいろいろチャレンジをしてきたからこそ、昔から大切にしていることが実は一番大事だったんだなということがわかったりして。「白色蜉蝣」のレコーディングのときに、玉井さんがボーカルテイクを聴いて「また新しいデビュー曲を作ってるみたい」とぽろっと言ったんです。私としては、すごくしっくりきました。自分としても、今のAimerをそういうふうに感じています。

──今年のAimerさんは自身最大規模のアリーナツアー『Aimer Arena Tour -nuit immersive-』を周り、オリジナルアルバム『Open α Door』をリリースして、ファンクラブツアーを開催し、そして『白色蜉蝣』をリリースされました。振り返ってみてどんな1年でしたか? 

Aimer:「またここから進んでいくんだな」という、まさにこのシングルに込めたような感触がこの1年通してありました。10周年イヤーも終えたタイミングだったし、今まで通り進んでいこうという気持ちを、1年を通してちゃんと心に落とせたというか。ここからまた、大事な人たちと、自分らしく、自分のペースでやっていきたいなという気持ちを改めて感じられた1年でした。最初に話した、音楽という世界観と“人間Aimer”もそうですが、うまくバランスを取りながら、これからも自分らしく歩いていきたいと思っています。

Aimer『白色蜉蝣』
Aimer 23rd シングル『白色蜉蝣』

■リリース情報
Aimer 23rd シングル『白色蜉蝣』
発売日:2023年12月6日(水)
CD購入はこちら:https://aimer.lnk.to/shiroirokagerou
・初回生産限定盤(CD+Blu-ray) ¥1,760(税込)
☆初回生産限定盤の Blu-ray には、「白色蜉蝣」Music Video を収録
☆特製エンボス加工 三方背ケース仕様
・通常盤(CD) ¥1,320(税込)
<シングル収録楽曲>
M1:白色蜉蝣 NHK ドラマ 10「大奥 Season2」主題歌
作詞:aimerrhythm 作曲:中野領太 編曲:玉井健二、飛内将大
M2:Overdrive SUZUKI ラパン Web ムービーソング
作詞:aimerrhythm 作曲:福島章嗣 編曲:玉井健二、飛内将大
M3:Sweet Igloo
作詞:aimerrhythm 作曲:永澤和真 編曲:玉井健二、永澤和真
M4:白色蜉蝣 -TV ver.-
M5:白色蜉蝣 -Instrumental-
All songs Produced by 玉井健二(agehasprings)
各配信ストアにて、 ダウンロード・ストリーミングフル配信中: https://aimer.lnk.to/shiroiro.kagerou

Aimer オフィシャルサイト:https://www.aimer-web.jp/
Aimer Offcial YouTube Channel:https://www.youtube.com/channel/UCR1zT1s524Hbc85bdvno_8w

関連記事

インタビュー

もっとみる

Pick Up!

「インタビュー」の最新記事

もっとみる

blueprint book store

もっとみる