ACIDMANが大きな光と希望を与えた奇跡のフェス『SAI 2022』 映像作品で蘇る無二の空間

ACIDMAN『SAI 2022』映像作品を観て

 ACIDMANが主催ロックフェス『ACIDMAN presents「SAITAMA ROCK FESTIVAL “SAI” 2022」』を開催してからちょうど1年が経つ。同フェスは昨年11月26日と27日にさいたまスーパーアリーナにて2日間にわたって開催され、約4万人を動員した。

 そして今年11月26日に、2日間の舞台裏や彼らのライブパフォーマンスを収録した映像作品『ACIDMAN presents「SAITAMA ROCK FESTIVAL “SAI” 2022」 Live & Documentary FILM』がリリースされた。発売の前日と前々日には先行上映会も実施され、参加者は映画館の大画面と大音量であの日の感動をもう一度味わうこともできた。筆者はDAY2の様子を収録したDISC2が上映される2日目のプログラムに参加した。映像を観て、『SAI』はACIDMANだからこそ実現できたフェスだと痛感した。

ACIDMAN presents「SAITAMA ROCK FESTIVAL “SAI” 2022」Live & Documentary FILM ティザー映像

 まず、あらためて『SAI 2022』の出演アーティストを今一度見てみてほしい。Mr.Childrenといったレジェンド級のバンドから、ASIAN KUNG-FU GENERATION、ELLEGARDEN、ストレイテナー、10-FEET、Dragon Ash、THE BACK HORN、BRAHMAN、マキシマム ザ ホルモンをはじめとした戦友、後輩とも言えるSiMやsumika、back number、MAN WITH A MISSIONまで、バンドシーンの先頭を切って走ってきたアーティストが勢揃いしている。これらのアーティストを集結させられるバンドはACIDMANの他には、なかなかいないだろう。この事実だけでも彼らが各方面から愛され、信頼されていることがよくわかる。

 作品内では、そういったアーティストたちがACIDMANについて語っているMCや、自身のステージを終えて舞台から捌け、ACIDMANへとバトンを繋いでいく瞬間なども映されている。バンドごとに各自の音楽性を持っているとはいえ、長年音楽シーンで活躍してきたACIDMANの音楽や活動が、それぞれに少なからずの影響を与えていることが窺える。

 また、会場に足を運んだファンからのコメントでは「ACIDMANに出会えてよかった」「ACIDMANの音楽に助けられました」という言葉が多く寄せられていた。25年間、彼らの音楽がたくさんの人々の人生を彩ってきたことを実感する瞬間だった。

 その思いを映像で観たのちに観る仲間やファンと共に作り上げたフェスの集大成の最後、ACIDMANのステージにはなんとも感慨深いものがあった。絶対に良い音楽を届けて、最高のおもてなしをしたい――その真髄を持ちつつ、自分たちが楽しむことも忘れない。地に足のついた、たしかな演奏を届け、フェス開催の喜びや音楽を奏でられる嬉しさも溢れんばかりに伝わってくる。そして、興奮が冷めやらぬなか、演奏後に大木は総合プロデューサーとして挨拶をし、フェスを締め括っていた。『SAI 2022』の開催はコロナ禍に決定したそうだが、その英断に大きな拍手と感謝の気持ちを贈りたい。本フェスの開催と成功は、バンド仲間にもリスナーにも大きな光と希望を与えただろう。

撮影=石井麻木

関連記事

インタビュー

もっとみる

Pick Up!

「アーティスト分析」の最新記事

もっとみる

blueprint book store

もっとみる