AliA「あいことば」は“名前のない感情”を音楽で表現 深みを大切にした曲づくりを明かす

AliA「あいことば」インタビュー

「あいことば」から感じられるメンバーの存在 ライブも楽しみな楽曲に

AliAインタビュー写真(撮影=池村隆司)

──実際、アニメタイアップだからと変に気張っている感もなく、今年発表したほかの楽曲からの流れで聴いてもスッと入っていけました。最初に聴いたときに自然体だと感じたのは、そういう理由だったんですね。

SEIYA:恐ろしく自然体で作ったからね。

──と同時に、この曲は鉄壁に作り込まれているとも感じたんです。

EREN:どういうところで感じましたか?

──まず、Aメロと呼ばれるパートが一度しか登場しないところに一般的な曲作りのセオリーにとらわれていないと感じましたし、サビから始まって間奏、Aメロ、Bメロ、サビまでの流れがきっちり89秒という、アニメのテレビサイズに収まっているあたりにも驚きました。さらに、その完璧な流れから曲がどんどん展開していき、大きな盛り上がりの中でエンディングを迎える。聴き込めば聴き込むほど無駄な要素が一切感じられない、完璧さが際立つ曲だなと思って。J-POPと言っていいのかわかりませんが、そのシーンにおける現時点での究極形だと感じました。

EREN:もちろん僕らはロックバンドなので、ポップスとして捉えていただいたのは一つの捉え方だと思うんですけど、僕たちはありそうでなかったものを作りたかった。「あいことば」はラブソングのように受け取られるかもしれないけど、これはラブソングではなくて。メンバーでも家族でも友達でもいいですが、人を好きになったり感謝したりするときに芽生える名前のない感情を音楽で表現したかったし、それをAYAMEに歌ってほしかったし、メンバーにもそういう気持ちで演奏してほしかった。だから、Aメロが一回しか登場しないことにもちゃんと意味があって。人生には同じことが二度起こらないじゃないですか。サビで伝えたいことにたどり着くまでに、Aメロが二回も入ってくると薄っぺらくなると思ったので、このアレンジになったわけです。その感情に僕たちが安易に名前をつけて「こうです」って示すのもいいけど、AliAでは深みを大事にしたいと思っているので、AliAというバンドが音楽を通して伝えることで聴いた人に僕たちのメッセージの余白までしっかり届くといいなと思っています。

──いわゆる間奏と呼べるパートも、サビ始まりのあとと1番のサビが終わったあとだけ。しかも、それらもこの曲になくてはならない重要な役割が感じられます。

EREN:本当はAYAMEが歌いやすいように、間奏をもっと増やしてあげたいんですけどね(笑)。

AYAME:ライブのときはそう思うけど、曲としてはこれがベストだと思うよ。特に「あいことば」は今までの間奏の中でも一番好きで、1番のサビが終わったあとのピアノがお気に入りなんです。先日、ライブでもこの曲を披露したんですけど、そのときにも「この間奏は映えるな」と感じて。私がただ立っているだけでも成立するし、逆にスッと立っていないといけないという気持ちになる間奏なんですよ。メンバーの存在がちゃんと感じられて、この5年の中でも一番好きな間奏です。

EREN:今までの間奏で一番いいと、それをAYAMEが言ってくれるのがうれしいよね。

TKT:ピアノが好きってところは、太字で書いておいてください(笑)。

全員:(笑)。

SEIYA:あそこは誰もバッキングをやっていないんだよね。ギターソロでもないしバイオリンソロでもないし、かといってブランク的な間奏でもない。AliAはこのメンバーが横並びでやっているってことが象徴的なパートだなと、僕は思っています。

AliAインタビュー写真(撮影=池村隆司)
RINA
AliAインタビュー写真(撮影=池村隆司)
SEIYA

EREN:僕はAliAをやりながらほかのアーティストのオープニングSEとかBGM制作の仕事もやっているんですけど、そこで「歌がない状態で思いを表現する」ことをたくさん経験してきて。今までAliAではロックバンドの間奏みたいな作り方をしていたけど、外仕事で経験した手法をそろそろ取り入れてもいいなと思っていたんです。その第一歩がこの「あいことば」でもあります。

SEIYA:ユーザー目線でいうと、イントロとか間奏ではみんなでオイオイ言いたいから、ビート感があって誰がリードを担当しているかわかりやすいほうが受け取りやすいんだろうなと思うんですけど、「あいことば」の場合は……間奏と言っているけど、実はそう呼ぶのもあまりしっくり来なくて、単に「僕たちが鳴らしたい音楽がちゃんと鳴っているパート」っていう感覚なんです。そう言う意味では、ライブがあるから「バンドの曲はこうでなくてはいけない」みたいなところから一歩抜けて、自分たちがやりたい音楽が1曲の中で表現されていると思います。

──このパート、歌詞こそないけど“歌”が感じられるんですよね。

SEIYA:わかります。あのパートがサビのあとにくるからこそ、曲に深みを与えているし、ワンコーラスの中だけでは表現しきれない感情の強さみたいなものもあそこにはある気がしていて。それは『キミゼロ』という作品に対しても、心の奥底とか心の動きとか登場人物の感情の振れ幅みたいなものが絶対にあると思っていて、セリフやキャラの表情だけでは補えないところに音楽がつく、つかないでキャラの心情の伝わり方もだいぶ変わってくるのかなと思うんです。それはAliAの音楽においても同じで、歌詞だけでは伝わりきらない感情を音楽で伝えたい。そういう部分がこの間奏では表現されているのかなと、僕は思っています。

──また、ストリングスも全編を通して楽曲を効果的に盛り上げています。

RINA:歌い出しから心を掴まれるんですけど、みんなが言うように1番のサビ終わりの間奏で一気にAliAの世界にリスナーさんを誘う感じになっていて、そこから後半に向けてどんどん熱量が高まっていく。この曲、一聴するとバラードのようでバラードじゃない……なんなんでしょうね?

SEIYA:ジャンルがわからないよね。

──先ほど、あえてJ-POPと呼びましたけど、ほんとうにいろんな捉え方ができる楽曲ですよね。ロック的な側面もしっかり備わっているし、RINAさんがおっしゃるようにバラード的なテイストも感じられる。

RINA:そういう優しさやエモさがありますよね。一言で言い表せない、AliAの良さがいろいろ詰まりまくった曲だなと思います。

EREN:早く売れて、「AliAっぽい」って言われるようになりたいね。

RINA:「ジャンル:AliA」みたいに。

EREN:そう。「よくわからないけど、こういうのがAliAなんだよね」って。

──また、そのパートがアニメサイズの89秒後に来るのがいいんですよ。アニメを観てこの曲を知った方は、最初のサビまでしか知らないわけで、フルで聴いたときにこの間奏で新たな驚きが得られるんじゃないでしょうか。

AYAME:確かに。同じ曲で二度、新たな楽しみ方ができるってことですもんね。

AliA / あいことば 【Official Music Video】

──11月17日からは全国3都市を回るライブツアー『AliAlive 2023 -animation-』もスタート。ライブでは「あいことば」も聴けると思いますが、2023年を締めくくるこのツアーではどんなAliAをお届けしたいと考えていますか?

EREN:あまり難しいことを考えず、みんなで一生懸命臨んでそのままのAliAを見せて、結果「カッコいいじゃん」と言ってもらえるようなものにしたいです。

──「あいことば」を聴いてAliAに興味を持った方が足を運ぶ、最初に機会にもなるわけですし。そこからさらに「AliAにはこういう魅力もあるんだよ」と知ってもらえるチャンスですものね。

AYAME:AliAは結成当初からライブを大切にしてきたバンドなので、アニメタイアップという大きなきっかけから「ライブに行ってみよう」とひとつ大きなハードルを越えて来てくれた人に対しても、「お金を払って観てよかった、時間を使ってよかった」と思えるライブをしっかり届けたくて。今の私たちにできる最良のライブをしたいと思います。

SEIYA:新しく知った人にもこれまでを知っている人たちにも、僕たちが貫いてきたAliAという音楽やメッセージを変わらず伝え続けていきたいし、それが届くツアーになったらいいなと思っていて。今回のツアータイトルは『animation』という、僕らが今年6月に配信した楽曲のタイトルから取ったものなんですけど、「animation」を作るに当たって僕らがそこに込めた思いはもちろん、「あいことば」やほかの曲に込めた思いを1曲1曲丁寧に、AliAに興味を持った人たちに伝えられるライブにしたいと思っています。

AliA「あいことば」ジャケット写真
AliA「あいことば」

■リリース情報
「あいことば」
2023年10月14日(土)発売
配信:https://AliA.lnk.to/aikotoba

<収録楽曲>
M1. あいことば
作詞:TKT  作曲:EREN
M2. あいことば TV size ver.

■ライブ情報
『AliAliVe 2023 -animation-』
2023年11月17日(金)大阪・Zepp Osaka Bayside
2023年11月28日(火)東京・Zepp DiverCity(TOKYO)
2023年12月15日(金)愛知・Zepp Nagoya

■AliA INFORMATION
オフィシャルサイト:http://www.alialive.jp
オフィシャルX(旧Twitter):https://twitter.com/AliA___official
オフィシャルYouTubeチャンネル: https://www.youtube.com/@AliAofficial/featured
オフィシャルInstagram:https://www.instagram.com/alia___official/
オフィシャルTikTok:https://www.tiktok.com/@alia___official07

サイン入り色紙プレゼント

AliAのサイン入り色紙を1名様にプレゼント。応募要項は以下の通り。

<X(旧Twitter)からの応募>

リアルサウンド公式Xをフォロー、本記事の投稿、または応募投稿をリポストしていただいた方の中から抽選でプレゼントいたします。

リアルサウンド公式X

<Instagramからの応募>

リアルサウンド公式Instagramをフォロー、本記事の投稿にいいね&コメントしていただいた方の中から抽選でプレゼントいたします。当選者の方には、リアルサウンドXアカウント、もしくはInstagramアカウントよりDMをお送りさせていただきます。

リアルサウンド公式Instagram

※非公開アカウント、DMを解放していないアカウントからの応募は抽選対象外となりますのでご注意ください。
※当選後、住所の送付が可能な方のみご応募ください。個人情報につきましては、プレゼントの発送以外には使用いたしません。
※当選の発表は、賞品の発送をもってかえさせていただきます。
※チェキはランダムでの発送となります。指定はできません。
※当該プレゼントは、応募者が第三者へ譲渡しないことが応募・当選の条件となります(転売、オークション・フリマアプリ出品含む)。譲渡が明らかになった場合、当選は取り消され賞品をお返しいただく場合がございます。

<締切:11月17日(金)>

関連記事

インタビュー

もっとみる

Pick Up!

「インタビュー」の最新記事

もっとみる

blueprint book store

もっとみる