G-FREAK FACTORY、The Birthday、浅井健一&TIK……世代の異なるメンバー擁する刺激的なロックバンド

 一方、最初から年齢差があるメンバーと共に結成されたバンドもある。その筆頭として思い出すのは、2005年に結成されたThe Birthdayだ。THEE MICHELLE GUN ELEPHANTとして一世を風靡したチバユウスケ(Vo/Gt)、クハラカズユキ(Dr)、そしてチバと共にROSSOで活動していた元フリクションのイマイアキノブ(Gt/当時)という猛者たちのなかに、彼らと15歳近く年齢差があるヒライハルキ(Ba)の名前を見たときは心底驚いた(なんと当時22歳)。2010年にイマイが脱退し、翌年にフジイケンジ(Gt)が加入するも、やはりフジイも元My Little Loverという大きなキャリアの持ち主。ヒライもてるる…などバンドを経験していたものの、改めて震えるほどすごいことを成し遂げたと思う。そして、そんな3人と共に活動しながらも、いい意味で遠慮していないように見えるところが、ヒライのさらなるすごさである。かなり以前にはなるけれど、4人全員が揃ったインタビューをしたとき、ヒライは柔らかな空気を作ってくれつつも、飄々と自分を貫いているような様子が印象的だった。その空気感は作品やライブにも表れていて、The Birthdayがレジェンドとして恐れられるのではなく、“かっこいいロックバンド”として若いリスナーにも愛されるようになった現状には、ヒライの存在が大きく関わっていると思う。そんな唯一無二の4人のパフォーマンスを、今は待ち続けたい。

The Birthday - LOVE ROCKETS【MV】(映画『THE FIRST SLAM DUNK』オープニング主題歌)

 そして、チバユウスケやクハラカズユキと同じくロックンロールのシーンを牽引してきた浅井健一(Vo/Gt)も、2016年に結成した浅井健一&THE INTERCHANGE KILLSで、20歳近く年齢差のある小林瞳(Dr)と高松浩史(Ba/THE NOVEMBERS)と活動している。なお、高松は2代目であり、初代ベーシストは元NUMBER GIRLの中尾憲太郎だったが、小林は加入した際はほぼ無名だった。そこに可能性や面白味を見出した浅井のセンスはもちろん、飛び込んだ小林の心意気も見事だと思う。THE NOVEMBERSに留まらず、活動の幅を広げている高松に関しても、浅井とバンドをやるという経験は大きいはずだ。浅井健一&THE INTERCHANGE KILLSは、様々なバンドで幅広い表現をしながら、常に前に進み続けている浅井らしさの象徴のようにも思える。

浅井健一&THE INTERCHANGE KILLS「ラブソングが聴こえる」teaser

 ベテランと言われる立ち位置を築きながら、そこに胡坐をかくことなく、年齢差があるメンバーと共に活動するというチャレンジに踏み切る。そして、フレッシュなセンスやエネルギーを吸収し、重ねてきたキャリアと化学反応を起こして、新たな表現を生み出しながら進化していく。しかも無理せず、楽しみながら。ここに紹介したバンドからは、そういった姿勢を感じる。そもそも、ロックバンドという刺激的な存在にベテランという落ち着いた言葉は似合わない。ロックバンドにはいつまでも、自分たちにも、そしてリスナーにも刺激的な表現を続けていってほしい。

※1:https://www.barks.jp/news/?id=1000202292&page=2

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