chelmicoの“今の気分”は日常の中にあるダンス バナナマン、ダウ90000への愛とリスペクトが詰まった書き下ろしエピソードも

chelmicoの2人の今の気分

 chelmicoの5曲入りEP『I just wanna dance with you- period』がリリースされた。表題曲は、サウンドプロデュースをパソコン音楽クラブ(以下、パ音)が担当。パ音とのコラボは、彼らにとって通算4枚目のアルバム『FINE LINE』(2023年)に収録された、「PUMP!」に続いて2度目となる。また、7月にchelmicoの「ともだち10周年」を記念して、7年の時を経てヒイラギペイジによりリアレンジされた「JUNEJULY♡2023」や、お笑いコンビのバナナマンや、8人組コント集団・ダウ90000のために盟友ryo takahashiと共に書き下ろししてきた楽曲の数々の「完成形」を3曲収録。相変わらずバラエティに富んだ、しかも彼女たちにとって新境地ともいえる作品に仕上がっている。前回のインタビューでは「JUNEJULY♡2023」の制作過程をじっくり聞いたので、今回はそれ以外の楽曲について紐解いてもらった。(黒田隆憲)

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〈ダンスしたいよ〉の後に続く〈他に面倒なことしたくない〉の方が本音

──パ音とのコラボ曲「I just wanna dance with you- period」は、「PUMP!」と同様「ダンス」がテーマですね。

Rachel:今回、パ音からビートをもらった時に「今の気分を歌にしたいよね」とMamikoと話したんです。「今、どんな感じ?」みたいに近況報告をしていくなかで、大勢でフロアでダンスをするというよりも、「小躍りする」みたいな感じが気分に合っているかなって。

Mamiko:二人とも、「ちょっと家の中でダラダラしたい」みたいな気分だったんだよね。ただ、パ音とやるからには踊れる曲にはしたかった。前作「PUMP!」も踊れる曲だったので、その繋がりも欲しいなと思った時に「小躍り」が中間点だったんです。部屋でダラダラしつつ、たまにキッチンの換気扇の下で軽く踊る……みたいなテンション感が、最初の段階で決まりましたね。

Rachel:〈ダンスしたいよ〉もすごく大事なんですけど、その後に続く〈他に面倒なことしたくない〉の方が本音というか、この曲で一番言いたいことだと思っています。

Mamiko:あと、二人きりのダンスって「その人の前でしかできない踊り」ということでもある。それこそ前回のインタビューでもお話しした、映画『ブックスマート 卒業前夜のパーティーデビュー』の冒頭で、主人公の二人が待ち合わせして学校へ行く時、お互いに変な動きをするのがルーティンみたいになっているのとかもそう。「動き」は言語というか。みんなで振りを合わせたカッコいいヒップホップダンスというよりは、コミュニケーションの一つとしてのダンスということを意識しました。

──パ音の二人とのやり取りで印象に残っていることは?

Rachel:例えば「ここは青っぽい感じにしたいんです」みたいなリクエストをすると、普通の現場だと「それってどんな楽器を使って、どんな音色で、どんなフレーズのことを言ってるの?」みたいなところまで詰めないと、具体的に音に落とし込めないことが多いんですけど、パ音の二人はすぐ「あ、わかりました」って。しかも返ってくる音源が「それです!」という感じだから。きっと私たちと感覚が近いんだろうなって。

Mamiko:しかも、二人が作業している時の「関係性」みたいなものも印象的でした。おそらく、ざっくりした全体像を西山くんが作り、細かいところを柴田くんが作り込んでいるのだと思うんですよ。ディティールを詰めていく作業や、ミックスダウンを見ている時に、そういうのってめっちゃバランスいいじゃないですか。お互いの気づかない部分をフォローし合っているんだなって。そこが魅力だなと思いましたし、曲にも表れていると思います。

──そういう関係性は、chelmicoのそれにも通じるところがありますか?

Mamiko:ああ、確かに。二人のバランス感覚という点では通じるところがあると思います。パ音の二人も性格が全然違うと思ったし、だけど好きなものは一緒というところも私たちに近いかも。

Rachel:補い合っている感じがするね。

──この曲のレコーディングでこだわった点は?

Mamiko:今回は「だらだらしたい」がテーマだったので、フックの部分とか張り上げて歌わないようにしました。ラップの部分もそうですが、いつもchelmicoはパキパキ明るい曲が多かったので、そこは今回気を使いましたね。

Rachel:今回のMamiko、歌詞もいいしフロウも完成されているというか。無駄もなくて、「ラップうまいなあ」と思いながら聴いていました。普通は歌詞でいいことを言いたくなるか、フロウが良くて内容は二の次みたいになりがちなんですよ。でもMamikoの今回のヴァースはどっちも最高峰。

Mamiko:ありがとう。今回Rachelも、この曲に合わせた歌い方やムードをすごく考えてくれていました。いつものように、韻もバチバチに踏んでいるわけではなく内容を重視しているなと。例えば1ヴァースめの4行目、〈んぅ 行きたいとことか特にないよ〉の「んぅ」ところとか、歌詞を見て「なるほど、そうラップしているのか」と分かるようにしていると思ったし、〈特にないよ〉も、〈特にないな〉とかじゃなくて言葉尻を「よ」にしているのもいいなって。2ヴァース目も、テキトーなことをずっと言っているのもこの曲に合っているし。

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