岡崎体育の心に刺さった日本語詞3選 歌詞を書く上でのインスピレーション源は「海外番組の翻訳」
〈ル〉の使い方にゾクゾクした THEロック大臣ズ「TODAY !」
――3曲目がTHEロック大臣ズの「TODAY !」です。
岡崎:THEロック大臣ズは、僕が京都で初めてライブをした日のイベントで一緒になったバンドだったんです。僕が大学時代に組んでいたバンドが、2009年の大晦日に夕方から夜中にかけて9時間ぐらい開催している京都MOJOのイベントに出たんですけど、僕たちのバンドの出番が1番目で、びっくりするぐらいお客さんがゼロだったんです。観てくれてたのはたぶんTHEロック大臣ズだけで、ほかのバンドもまだ来てないとか、来てても楽屋で喋ってるとか、見向きもされなかったんですよね。僕らの次がTHEロック大臣ズで、その時に初めて聴いた彼らの曲で心を動かされたんです。当時彼らはツーピースだったんですけど、だからこそ歌詞がより聞こえてきて、素敵で愛しい歌詞を書くんやなと思って。とにかくキュートなんですよね。こんな可愛い歌詞を書けたらって思って書いたのが、今回リリースした「サブマリン」なんです。この曲の歌詞の書き方はたなかくんに影響されているところがありますね。
――「TODAY !」の歌詞のどんなところがキュートだと感じたんですか?
岡崎:最後の方の〈どこにいる?〉〈何してる?〉のフレーズの前の〈ル〉なんですけど(※歌詞としては表記されていない)。例えば、〈ねぇ どうして すっごくすごく好きなこと/ただ 伝えたいだけなのに ルルルルル〉(DREAMS COME TRUE「LOVE LOVE LOVE」より)みたいに、普通は〈ル〉って重ねるために使うハミングなんですよ。〈ル〉だけっていう、こんなことできんねやってゾクゾクしたし、しかもその後の〈どこにいる?〉〈何してる?〉に響きとして回帰してくるので、これほどまでに美しい〈ル〉の使い方は見たことも聞いたこともなかったです。とにかくキュートで、人間の根底からピュアな感情を持っていないと書けない歌詞だなって思うし、そんな言語感覚を持った人がロックンロールに出会ったことが素敵だなと思います。
――バンド自体は2017年に解散してしまいました。
岡崎:僕の中で解散が一番悲しかった日本のバンドですね。もっと聴きたかったし、THEロック大臣ズの解散以降も、たなかくんが弾き語りをしていて、彼の曲を聞けるのは嬉しいですけど、THEロック大臣ズのサウンドでも新しい曲を聴きたかったなって思いますね。
歌詞に乗せるのは京都に対する“ナニクソクリエイティブ”
――ここまで奈良と京都のバンドに触れてきましたが、京都出身というところでは、体育さんの作品のサウンドや歌詞に京都のエッセンスが乗っている部分というのはあるんですか?
岡崎:僕は宇治出身なので、京都市に対しては、コンプレックスじゃないですけど、劣等感みたいなものを感じてる部分はあります。テレビに出ることで、「京都出身って言うな」って、京都市の人から言われることもありますし。なんとなく京都の中でヒエラルキーがあって、僕自身も第二都市で育った人間としての劣等感はあって。そういう劣等感から生まれてくる歌詞の方が、僕はどちらかというと多くて、京都らしさっていうよりは京都に対する“ナニクソクリエイティブ”の方が多いかもしれないですね。
――というところでいうと「鴨川等間隔」とか。
岡崎:あれはストレートに京都に対するアンチテーゼだと思うし、あと「弱者」もそうです。自分が京都の人間として認めてもらえない悲しさは心の底から出てくるし、コミックソングで人の目を引こうとしてるこのスタイル自体も、宇治ならではのものかもなって感じますね。これはヤバイTシャツ屋さんのこやま(たくや)くんも同じように言ってたんですけど、自分が真面目に京都風でカッコいいロックをやることに対して羞恥心があったというか、宇治出身やのに本当にやっていいの、みたいな。彼らもメロディックパンクでカッコいいことをやりたかったけど、宇治出身やからってちょっとコミカルな要素を入れて、照れ隠しをしてる。僕もテクノポップみたいな曲を作ってカッコよくやりたかったけど、コミック要素を入れて照れ隠ししてるのは宇治という町で育ったからっていう一言に尽きますね。
大学カースト低めキャラの歌です
弱者/岡崎体育 Lyric Video pic.twitter.com/ItxDjtty7K
— 岡崎体育 (@okazaki_taiiku) September 29, 2017
――体育さんは『ポケットモンスター』シリーズの主題歌だったり、CMなどのタイアップにも数多く携わっていますが、歌詞についてデビューから一貫しているアティチュードはありますか?
岡崎:それぞれにしっかり区切りをつけて物事を考えるようにはしていますね。タイアップ作品であれば、そのタイアップ先のことを考えた歌詞を書きたいなと思うし、オリジナルアルバムに収録する曲であれば、内省的に自分のことを考えて、なおかつ聴いてくれる人にとって聴き心地のいいものを作りたいという感覚なので、アルバムの形態をコンセプトアルバムとオリジナルアルバムの2つに分けて活動しているんです。『ポケモン』だったら小さな子どもたちも観てるし、その子たちに伝わるメッセージがあればいいなと思って作りますし、逆にオリジナルアルバムだったら誰にも伝わらんでいい、自分だけわかればいいって思いで書くこともあるし、そこはバラバラに分けて考えていますね。
――さきほど「サブマリン」はたなかさんの歌詞の書き方に影響されているというお話があったり、一方で「ほとんど小説とか本を読まない」という言葉もありましたが、歌詞を書く上で、普段インスピレーションを得るものとしてはどんなものがあるんですか?
岡崎:一番影響されるのは、海外番組の翻訳ですね。僕は海外のドキュメンタリー番組とかを字幕で観るんですけど、その字幕の言葉の選び方には癖みたいなのがあると思うんです。そのちょっと面白い表現を実際に話し言葉で言っていたら恥ずかしいんだけど、字幕の中だからこそ、カッコよく聞こえるワードってあると思うんですよ。そこに恥ずかしさが乗らないのって、そういう番組の字幕か歌詞の中だけだと思うんですよね。そういうところから表現の仕方を学ぶことが多いです。あんまり言語化はできないんですけど、字幕で使われているような口語体を、日頃から体に馴染ませておけば、歌詞を書く時に字幕らしい歌詞ができそうな気はしていて、それがたぶん身についているんだと思います。普段、人と話す時の口語体と歌詞の中に出てくる言葉の感覚は違うし、そこをしっかり線引きできているのかなと。逆に普段喋っているような言葉で歌詞が書ける人は、それはそれで一つの才能だと思います。僕の歌詞にもいろんな形態があって、口語体のような歌詞も他に比べたら多い方だと思うし、どこからインスピレーションを受けているかを日頃から意識しないことの方が重要なのかもしれないですね。
■リリース情報
コンセプト・アルバム
『OT WORK Ⅲ』
2023年10月4日(水)発売
価格:¥2,500(w/t)
初回仕様限定盤(数量無くなり次第通常盤に切り替え)
▼収録曲
1.Knock Out(Album Mix)
TVアニメ「マッシュル-MASHLE-」オープニングテーマ
2.深夜高速
三井住友フィナンシャルグループ 企業CMソング
3.レディキャップ!
テレビアニメ「キャップ革命 ボトルマンDX」主題歌
4.季節の報せ
朝日放送テレビ「news おかえり」オープニングテーマ
5.富山におるちゃ
NHK富山放送局 マスコットキャラクター「きとっピ」のテーマソング
6.Insane(B.LEAGUE version)
B.LEAGUE 2022-23 SEASON公式テーマソング
7.膏
8.Beats Per Minute 220
Red Bull SoundClash 2022 テーマソング
9.休みの日くらい休ませて
10.Liar
11.めざましじゃんけんのテーマ
めざましじゃんけんのテーマ/CX系「めざましテレビ」及び「めざましどようび」内コーナー「めざましじゃんけん」テーマソング
『OT WORKS Ⅲ』予約はこちら
https://okazakitaiiku.lnk.to/OTWORKS3_CD
初のアナログ盤12インチシングル
『サブマリン』
2023年10月4日(水)発売
¥2,860(w/t)
45回転180グラム重量盤
▼収録曲
Side A:サブマリン
Side B:ダブマリン
「サブマリン」予約はこちら
https://okazakitaiiku.lnk.to/SUBMARINE_ANALOG
■ライブ情報
『okazakitaiiku JAPAN TOUR Ⅱ』
2023年
10月07日(土)神奈川 Yokohama Bay Hall
10月14日(土)岩手 盛岡CLUB CHANGE WAVE
10月15日(日)宮城 仙台darwin
10月21日(土)香川 高松DIME
10月22日(日)京都 KYOTO MUSE
10月28日(土)北海道 函館club COCOA
10月29日(日)北海道 札幌ペニーレーン24
11月3日(金・祝)長野 長野 CLUB JUNK BOX
11月4日(土)富山 富山SOUL POWER
11月11日(土)鹿児島 CAPARVO HALL
11月12日(日)福岡 DRUM LOGOS
11月18日(土)栃木 HEAVEN'S ROCK 宇都宮 VJ-2
11月19日(日)茨城 水戸ライトハウス
11月23日(木・祝)愛知 NAGOYA ReNY limited
11月25日(土)広島 LIVE VANQUISH
12月8日(金)奈良 奈良NEVERLAND
12月9日(土)大阪 心斎橋BIGACAT
12月22日(金)東京 Spotify O-EAST
12月23日(土)東京 Spotify O-EAST
<チケット>
前売:¥5,000(税込)
当日:¥5,500(税込)
※ドリンク代別・未就学児童入場不可
席種:スタンディング
■関連リンク
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Music
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岡崎体育がコンセプトアルバム『OT WORKS Ⅲ』をリリース。タイアップやコラボレーション曲などを含んだ作品で、様々なアーティ…