King Gnu、Mr.Children、Ado、SEKAI NO OWARI、Kyrie(アイナ・ジ・エンド)、imase……注目新譜6作をレビュー

New Releases In Focus

 毎週発表される新譜の中から注目作品をレビューしていく連載「New Releases In Focus」。今回はKing Gnu「硝子窓」、Mr.Children「ケモノミチ」、Ado「DIGNITY」、SEKAI NO OWARI「最高到達点」、Kyrie(アイナ・ジ・エンド)「名前のない街」、imase「I say bye」の6作品をピックアップした。(編集部)

King Gnu「硝子窓」

 TVドラマシリーズの主題歌「カメレオン」に続き、映画『ミステリと言う勿れ』の主題歌もKing Gnuが担当。「硝子窓」と題されたこの曲は、クラシカルな弦の響き、シックな佇まいのバンドサウンドからはじまる。憂いを帯びたメロディラインはジャズの意匠をまとった鍵盤と絡み、妖しくも美しい世界へとリスナーを誘い込む。緻密な構築美を感じさせるコード構成、抑制の効いたサウンドメイクを含め、バンドの成熟ぶりが伝わってくる楽曲だ。それぞれに影を抱えた人々が織りなす映画の物語と重なるリリックも印象的。〈群像劇が孕むミステリーを愛したい〉というフレーズからは、人間の業を肯定したいという願いを感じ取れるはずだ。(森)

Mr.Children「ケモノミチ」

Mr.Children「ケモノミチ」from New Album「miss you」Lyric Video

 前作『SOUNDTRACKS』から2年10カ月ぶりのオリジナルアルバム『miss you』。メンバー4人だけで集まりプライベートなスタジオで制作された本作から先行配信された「ケモノミチ」は、アコギと歌を軸に、重厚でしなやかなストリングスを配したミディアムチューンだ。平歌で描かれているのは、常識が揺らぎ、価値観が変化し続けるなかで、戸惑いながら生きる〈俺ら〉の姿。シリアスな情景を綴りながらも、サビのパートでは鮮やかなメロディとともに〈君に Love Song を送ろう〉というラインを響かせ、聴く者を一瞬のカタルシスへと導く。現実と向き合いながら、リスナーに寄り添い、豊かな音楽体験を与えてくれるーーこの曲がもたらす静かな感動は、アルバム『miss you』にもしっかりとつながっているはずだ。(森)

Ado「DIGNITY」

Ado「DIGNITY」

 映画『沈黙の艦隊』主題歌。楽曲提供はB'zである。稲葉浩志作詞、松本孝弘作曲の書き下ろしを歌い上げる若手シンガーのプレッシャーは如何ばかりか。荘厳なストリングスが押し寄せる中、高波のようなメロディに乗って命と愛を歌い上げるバラードで、歌い手にとっては本当に歌唱力しか頼るものがない、実力を丸裸にされる楽曲だろう。これを真正面から引き受けたAdoの胆力がまずすごい。ここではドスの利いた声を封印し、随所でファルセットを使い、歌詞に添って声量や声音を丁寧に使い分け、サビでは突き抜ける熱唱を聴かせてくれる。間奏には松本のギターソロが出てくるが、ここに絡んでくる「Oh〜」や「Yeah〜」の歌唱は圧巻。(石井)

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