HYDE、ファンとともに取り返した“あの時からの続き”と“自由” 命を燃やした熱狂の幕張メッセワンマン

「なんでこんなことしてるんだろうって考えた。もっと簡単に稼ぐ方法だってある。チケット代を高くしてお金持ちの人に愛想振りまいたりとかね(笑)」と冗談を言いつつも、「でも、そんな俺を見て感動するか? 守りに入った俺が見たいか?」と続けたHYDE。彼が作品を作る時、ライヴをするとき、頭のなかには常にファンの喜ぶ顔が思い描かれているのだと思う。自分を信じてくれる人を落胆させることを、HYDEは決して選ばない。いつでも全力で楽しませてくれる。まるで命を燃やすかのように、ステージ上に倒れ込みながら激唱した「WHO'S GONNA SAVE US」、キラキラとした銀テープが空中を舞った「GLAMOROUS SKY」、玉座に座り、パフォーマーに担がれながらアリーナ後方より登場したアンコール。圧巻のパフォーマンスと、予測不能な演出の数々はその表れだろう。

「3年分を取り返せたような気がする。まるでなかったような気がする」――アンコールでそう語ったHYDEが、エレキギターを抱えて歌ったのは、2003年リリースのアルバム『6 6 6』収録の「HIDEAWAY」だった。思わぬ選曲に、フロアからは絶叫にも似た歓声が沸く。終盤で〈Are you ready now?〉と繰り返されるこの楽曲が演奏されたことは、コロナ禍を経てまたここから始めていこうというメッセージにも思えた。

オーケストラツアーをはじめ、コロナ禍でも新しいライヴの形を模索し続けてきたHYDE。それを越えた先には、想像以上に熱狂的で開放的な空間が広がっていた。きっと彼はまたここから、さまざまな形で私たちを喜ばせてくれるに違いない。失われたように感じていた3年間は、このツアーにおいて、HYDEとファンとで取り返されたのである。























