男闘呼組、約30年ぶり再始動で示したロックバンドのアイデンティティ 解散ライブからRockon Social Clubへ繋がるストーリー

 冒頭に触れた『音楽の日2022』で彼らが披露したのは、男闘呼組の代表曲「DAYBREAK」「TIME ZONE」のスペシャルメドレーと、もう1曲が「パズル」だった。これは成田のソロプロジェクトの第一弾配信シングルとして発表したもの。歌詞の内容が男闘呼組のことを歌っているとリリース時からファンの間で話題になった。

 この曲を男闘呼組としてパフォーマンスしたことには2つの意味があった。まずひとつは前述した歌詞のストーリー性、そしてもうひとつは、この曲が男闘呼組にとっても新曲という位置づけにもなったことだ。復活のタイミングで自らのことを歌った新曲を披露したことは、彼らがバンドを続けていく意志の表明に他ならなかった。そして彼らは、男闘呼組のツアーを行いながら、一方でRockon Social Clubという新しいバンドを立ち上げた。結末に向かって進む男闘呼組と新しい道を歩み始めたRockon Social Clubが描き出すコントラストは、くっきりとそれぞれの道を浮かび上がらせることとなった。

 『男闘呼組 2023 THE LAST LIVE』で巡る日程と会場が発表になったとき、男闘呼組の復活を長い間待ち続けたファンにはこみ上げるものがあった。その日程には、30年前に中止になったツアーでライブを行う予定だった会場が含まれていたからだ。自らがやり残したことをきちんとやる。そうしてはじめて男闘呼組は“LAST”を迎えることができるのだーー復活の喜びとともに、終わるという事実を誰もが受け入れられた瞬間でもあった。

 さらに『男闘呼組 LAST FOREVER』と題して武道館4デイズが追加となり、本日8月26日には日比谷野外音楽堂で男闘呼組としての最後のライブが行われる。彼らのすべての活動期間を通じて証明してきたのは、男闘呼組はロックバンドであるという自らのアイデンティティだったように思う。ジャニーズ事務所にいながらもロックバンドとしてデビューしたことで、彼らが背負ったものがいかに大きかったかは想像に難くない。

 1993年の突然の活動休止から約30年という長い年月が空いたにもかかわらず再び活動できたこと、そして男闘呼組最後のライブがRockon Social Clubという新たな未来へと繋がるのは、彼らにロックバンドというコアがあるからだ。日比谷野音という聖地で、彼らの終わりと始まりの光芒が輝く。これ以上の祝福はない。

※1 https://xtrend.nikkei.com/atcl/contents/18/00581/00037/

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