稲垣吾郎・草彅剛・香取慎吾、アポなしロケからも伝わるスター性 豊富すぎる魅力を整理して目指すパワーアップした『ななにー』

新しい地図『72分タクシー』を観て

 2018年4月より毎月第1日曜日に生放送してきた稲垣吾郎、草彅剛、香取慎吾によるレギュラー番組『7.2新しい別の窓』(ABEMA※以下、『ななにー』)が、10月からリニューアルすることを受け、事前番組『72分タクシー』が8月20日に放送された。

 月に一度の7.2時間生放送から、毎週72分の収録番組へ。番組のスタイルを大きく変えることになった『ななにー』。まずは、3人がどんなことをしてみたいと考えているのかを知ろうと、番組プロデューサーと1対1でそれぞれ企画会議をすることに。

 だが、会議室でじっくりとトーク……とはいかない。タクシーに乗り込み、撮影時間72分間のアポイントなしロケを実施。そこで偶発的に起こる出来事をもバラエティ番組として届けていこうという狙いは、『家、ついて行ってイイですか?』(テレビ東京)などを手掛けてきた高橋弘樹プロデューサーらしさを感じさせるものだった。そして、そんなスタッフ側の思惑を、はるかに超える撮れ高を出してくるのが3人のスターたる所以だ。

行く先々でクセ強めな一般人を引き寄せる稲垣

 稲垣と高橋プロデューサーが最初に向かったのは、イチョウ並木で有名な明治神宮前だ。並木道を歩いていると、やはり人々が振り返る。「ホンモノ?」と思わず声をかけずにいられないのは、国民的アイドルとして長年親しまれてきた証だろう。

 暑い日のロケということもあり、ロケ開始当初は少々ご機嫌ななめだった稲垣。しかも、普段は顔を伏せて「話しかけないで」というオーラを放って歩いているというから、高橋プロデューサーもヒヤヒヤした様子。しかし、いざロケに飛び出し、出会った人たちから話しかけられると「なんか楽しいね」と笑顔を見せる。そのクールな印象と、実際の気さくさのギャップがまた稲垣の魅力だ。

 「トレーニングしたほうがいい」と番組企画のアイデアをくれた家族からは「うちの近くのジムに来たときには我が家に招待する」と言われてタジタジに。また、次に出くわした女性はなぜか腰を骨折中&SMAPのコンサートにも足を運んだという稲垣ファンというのもバラエティ的に“持っている”展開だ。息子が稲垣にダンスをリクエストすると「吾郎ちゃんのダンスは……(笑)」なんて言われてしまうのも、稲垣ファンらしいリアクションで笑いを誘った。

 さらに、カフェに向かうと今度は稲垣に代わって撮影交渉をしてくれるマダムたちに絡まれる。隙間時間にサインを求められ、その後もなし崩し的に相席になり「年収は?」「貯金は?」と根掘り葉掘り聞かれてしまう。好き放題に言われているかと思いきや、「答えない!」と一定のラインをしっかり引いて、その場を収めているところは「さすが」のひとことだ。

 人を寄せつけないように見せながらも、気づけば次々とクセ強めな人たちが集まってくる。『ななにー』内での人気コーナー「インテリゴロウ」をはじめ、稲垣がMCを務めてきたサロンのような番組が似合うのは、こうした気質があるからだと再認識させられた。リニューアル後も、稲垣の持つ出会いの力を生かした姿が見たいものだ。

どんなロケでも対応可能な頼もしさを見せた香取

 そんな稲垣とバトンタッチする形で登場したのは香取。これまで『香取慎吾の特上!天声慎吾』(日本テレビ系)、『おじゃMAP!!』(フジテレビ系)とロケ番組を長年手掛けてきた香取にとって、ロケはお手の物だ。タクシーに乗り込み赤坂へと移動すると、今までやったことのないという、ただ歩くだけの“静かなロケ”を試してみることに。

 カメラを伴わず1人でズンズンと歩いていくと、「あ、慎吾ちゃん!」と誰もが振り返る。そして、その都度「こんにちは〜」とパーフェクトビジネスアイドルっぷりを披露していく香取。共演者とワイワイ話すことのない“静かなロケ”とは言いながらも、香取が歩くだけで道行く人が声をかけずにいられない、そんな賑やかさがあることがわかった。

 「写真を撮ってください」「赤ちゃんを抱っこしてください」と、あらゆるリクエストにも気さくに応えていく。もし香取とこんなふうに街でばったり会ったとしたら何を言おうか……なんて考えた人もいるのではないだろうか。そして、改めて香取ならばこちらがどんな対応をしたとしても受け止めてくれるはずだ、と痛感する。

 そんな香取が今度はファンに対して信用を寄せているのは記憶の部分だ。47都道府県でどこに行ったことがあるのかないのか、香取自身はもう覚えていないという。そのあたりの思い出をファンとすり合わせながら、全国各地に足を運ぶ企画も面白そうだ。

 例えば、草彅と長年続けているラジオ『ShinTsuyo POWER SPLASH』(bayfm)を収録しているフラミンゴスタジオのように縁深い場所から、これから思い出が生まれる場所へ。香取の記憶マップが広がっていく様子を見てみたい。

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