GACKTなど手掛けたプロデューサー鮫島巧によるアイドル・24emotions 対談で明かす“ファン0人でZeppワンマン”の真相

鮫島巧×24emotions、特別対談

 GACKTからAKB48まで様々なアーティストのプロデュースや楽曲を手掛けてきたプロデューサー・鮫島巧が主宰するAXY ENTERTAINMENTから、今年3月に5人組ガールズアイドルグループ・24emotionsがデビューを果たした。

 それから6月のアルバムリリースを経て、今月8月29日には渋谷WWW Xでグループ初のワンマンライブを行うが、来年2024年1月には「ファン0人なのに2150人のライブハウスおさえました」として、KT Zepp Yokohamaでも公演を開催することも決定している。

 なぜこのグループが結成されたのか、なぜこの5人のメンバーなのか、彼女たちは何を目指し、どこへ向かっていくのか、そしてなぜZeppでワンマンライブを行うという野望を打ち立てたのか――。そのすべてに迫るべく、今回24emotionsのメンバーと、グループのプロデューサーである鮫島巧の対談を敢行。グループ結成の裏側からそれぞれが今抱く思い、ワンマンライブへのプレッシャーと未来への期待まで、両者にたっぷりと語ってもらった。(編集部)

“伸びる原石かどうかの直感”のもとに集められた5人のメンバー

鮫島巧×24emotions(撮影:林直幸)
鮫島巧

──まず、プロデューサーの鮫島さんからこのプロジェクトをスタートさせた経緯を教えていただけますか?

鮫島巧(以下、鮫島):私自身もアーティストとして、特にここ10年ぐらいはGACKTさんと活動していたんですが、自分も40代になり、新しい挑戦としてカルチャーを動かすようなアジアを代表するアーティストを作ろうと、仲間たちと新しい音楽事務所を立ち上げました。そのなかで、日本のアイドル文化というのはひとつ大きな武器だと思って。僕自身、そこまでアイドルには詳しくないんですが、AXYのプロデューサー陣はその方面に精通していますし、僕はあえて知らない方が新しい形を作れるし、勝機は十分にあるだろうということで、まずはアイドルプロジェクトをスタートさせたんです。最初は自分の名前を使わず、WEBを通じて募集をかけたりInstagramなどSNSのDMでスカウトをして、2〜300人集まったなかから厳しいレッスンを勝ち抜いたこの5人が24emotionsとしてデビューしたわけです。

──メンバーのみなさんは、このオーディションをどういうきっかけで受けようと思ったんですか?

セレニティー・クルミ(以下、クルミ):私は小学生の頃、年齢のわりに身長が高いことがコンプレックスだったんですけど、少女時代さんの高身長を活かしたダンスを見て憧れるようになって。もともとダンスは習っていたので、そこからアイドルを目指すようになりました。高校生の時に一度アイドルを経験したんですけど、なかなかうまくいかなくて。その後もダンスだけはずっと続けていて、知り合いからこのオーディションを教えてもらって受けることにしたんです。

ピースフル・ユラ(以下、ユラ):私はもともとクラシックバレエを9年間習っていたんですが、身長が高くないとバレエ団のオーディションすら受けることができなくて。それでバレエは諦めたんですけど、ステージに立って踊ることが好きだったので、その夢は諦められずにいたんです。ちょうどその頃、K-POPアーティストに興味を持って、K-POPの養成所に入ったんですけど、やっぱり身長が低いことがネックになってしまって。年齢的にもだんだん受けられるオーディションが減っていって、日本のオーディションも調べるなかで、このオーディションを見つけて応募しました。

スーパーハッピー・サクラ(以下、サクラ):小さい頃からディズニーを筆頭に、ステージの上でキラキラ輝く人たちに憧れがあって。そこから音楽のことを勉強したいと思い、高校生の時にオーストリアへ1年半留学したんです。でも、当時は海外のことばかり意識して日本についての知識が乏しくて、日本の文化や音楽についてもちゃんと知らなくちゃいけないと、あらためて目を向けるようになりました。その頃、海外では日本のアイドルが注目されていて、逆に海外の方からAKB48さんや乃木坂46さんのことを教えてもらったんです。そこから「私もこんな存在になりたい!」と思い、帰国してから別のグループでデビューしたんですけど、ちょうどコロナの影響でライブができなくなってしまって。同時に大学にも通っていたので、就職も考えて一度は夢を諦めたんですけど、「一度きりの人生なんだから、最後まで後悔しないように頑張りたい!」と思い直した時に、このオーディションと出会いました。

アメイズド・ハルナ(以下、ハルナ):3歳の頃からずっとダンスを習っていて、17歳の時に一度グループとしてデビューさせていただいた経験があるんですが、うまくいかずにすぐ解散してしまったんです。その後、20歳でダンスのインストラクターに就かせていただいて、「私はずっとダンサーとして生きていくんだ!」と決意したんですけど、あるきっかけで韓国や中国のオーディションを受けることになって。それもいいところまで行ったものの、ちょうどコロナ禍になって企画自体が飛んでしまったんです。そんな時に、インスタのDMにこのオーディションのスカウトが届いていて。これが最後の挑戦と思い受けさせていただきました。

クリティカル・サキ(以下、サキ):私は、小さい頃から少女時代さんやKARAさんが大好きで、それがきっかけで歌ったり踊ったりすることも好きだったんです。と同時に、5歳から高3までバドミントンをやっていて、当時はそっちを大事にしていました。でも、高校で進路に思い悩んだ時、「自分がいちばんやりたいことは何だろう?」と考えてパッと出てきたのが歌って踊ることだったので、音楽の専門学校に進んで歌とダンスを本格的に習い初めて。その後、オーディションを受けてデビューできたものの、1カ月ぐらいでグループが解散してしまったんです。それから少し経って、友達からこのオーディションに誘われて受けました。

ハルナ:こうやって話を聞くと、みんな一度は挫折してるんだね。一回は夢を諦めかけているし。

鮫島巧×24emotions(撮影:林直幸)
24emotions

──大勢いた候補者のなかからこの5人を選んだ決め手は何だったんですか?

鮫島:僕もこの世界で長く仕事をしてきましたが、それぞれが持っているビジュアル力や、ボーカルやダンスのスキルを見極めることももちろん重要なポイントなんですけど、大切にしているのは自分の直感で、その人は磨いたら輝けるかどうか。たとえば、「暗い子なんだけど人一倍頑張る」とか「スキルはないけど笑顔を見ていると応援したくなる」とか、何か気になる、その人に興味が出る、ということがすごく大切だと思っているんです。なので、そういう“伸びる原石かどうかの直感”を信じてこの5人をピックアップしました。

──この5人が揃った時のことは覚えていますか?

クルミ:実は私、24emotionsのオーディションに一度落ちていて、最初はメンバーではなかったんです。はじめは「24emotions」のMVにバックダンサーとして出演する予定だったんですけど、あとから「正式メンバーになれるかもしれない」というお話をいただいて。私は人一倍壁を作ってしまうタイプなので、最初は最上級の敬語で話していた記憶があります。レッスンに参加したあとも、「サクラちゃん、すみません、本日のレッスン動画をいただけませんか?」と声をかけていましたし(笑)。すでに空気感ができていたところに「自分が入っていってもいいのかな?」と感じていました。

サクラ:私たちも、(クルミが)そう思っているんだろうなと感じつつ、どうしたらこの5人でひとつになれるのかなと考えて。

サキ:でも、自然と仲良くなれた気がするし、むしろ「この5人ならいけるよ!」という気持ちが強かったよね。

ハルナ:それこそ、不安な感情を持つ前にやらなきゃいけないことの連続だったし、ほぼ毎日一緒にいるから早く仲良くなれたのかもしれない。

サクラ:5人が揃って、1週間くらいで打ち解けたよね。

ユラ:レッスンも厳しいし、定期的に誰かひとりがズーンって落ちちゃうこともあるんですけど、そういう時にはみんなで「大丈夫!」「頑張ろうよ!」って声を掛け合って。そこで絆が深まった気がします。

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