Jain「Makeba」リリースから8年後の再ヒット 魔力のような中毒性が生み出したTikTokとの親和性
既存ランクイン楽曲が根強い人気を見せつけるなか、今後のチャートを賑わすであろう赤丸急上昇な楽曲を紹介したい。そんな大きな期待がかかる楽曲は、今週惜しくもトップ10圏内を逃し、11位にランクインしているJainの「Makeba」である。フレンチポップの新鋭とも評されるJainは、フランス生まれのシンガーソングライター。2015年リリースのデビューアルバム『Zanaka』が、ストリーミング総再生回数3億越えのヒットを記録するなど、すでに高い評価を受けているアーティストである。そして、今回取り上げる「Makeba」は、このデビューアルバム収録楽曲である。
幼少期をドバイやアブダビ、コンゴで育ったことから、国際色豊かで型にとらわれない自由な表現スタイルが魅力の彼女。フレンチテクノやアラビアンビート、アフリカンリズムなど、自身のバックグラウンドの多彩さを反映したような音楽アプローチは、一度聴いたら癖になってしまうような不思議な魔力を秘めている。「Makeba」は、まさにそんな魅力を詰め込んだような楽曲だ。イントロからアラビアンな雰囲気に引き込まれる本楽曲。特徴的なベースリフと、アクセント的に繰り返しきこえてくるビブラスラップのような音色が不思議なグルーヴを生み出すなか、そこに神聖さと反復性をはらんだ呪文にも似たJainのフロウが加わると、三つ巴の相乗効果で不思議な魔力が生まれる。一度この魔力にかかってしまうと、当分はメロディラインが頭から離れず、気づいた頃には、完全にこの楽曲の虜となってしまっていることであろう。
そんな魔術的な中毒性を秘めたこの楽曲だが、楽曲の世界観を余すことなくビジュアル化してみせたMVの評価も非常に高く、第60回グラミー賞では最優秀ミュージック・ビデオ賞にノミネートされるなど、アートスクール出身のJainらしい芸術性の高いマルチな才能も垣間見ることができる。そして、2015年リリースのこの楽曲が約8年の時を経て再注目を浴びている理由は、TikTokでの楽曲引用にありそうだ。ダンス動画を中心に多くの引用投稿が見られる「Makeba」は、その中毒性とキャッチーさゆえ、曲に合わせて踊りたくなる楽曲の典型例である。投稿と拡散を原動力とするTikTokの性質と親和性の高い「Makeba」の再ヒットは、なんとも2023年らしい現象であると言えるだろう。
参考:https://charts.spotify.com/charts/view/viral-jp-daily/2023-07-12
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