TOMORROW X TOGETHER、アルバム『SWEET』で首位獲得 優里とのコラボ曲がドラマ主題歌に、HYBEの巧みな海外展開
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参照:https://www.oricon.co.jp/rank/ja/w/2023-07-17/
7月17日付のオリコン週間アルバムランキングによると、TOMORROW X TOGETHERの『SWEET』が売り上げ枚数302,930枚で1位。その後、Mrs.GREEN APPLEの『ANTENNA』が60,362枚で2位、山下達郎の『GO AHEAD!』が11,935枚で3位と続き、1位が2位以下に大差をつけて首位を記録した週であった。
『SWEET』は男性5人組グループ、TOMORROW X TOGETHER(以下、TXT)の最新アルバムで、日本におけるフルアルバムとしては2021年に発売した『STILL DREAMING』に次ぐ2作目。7月15日より放送開始のテレビドラマ『最高の生徒〜余命1年のラストダンス〜』(日本テレビ系)の主題歌「紫陽花のような恋(Hydrangea Love)」など、計12曲が収録されている。
ただし、12曲とは言っても既発曲がほとんどで、元々ある楽曲の日本語バージョンが4曲と、「Ito」「君じゃない誰かの愛し方(Ring)」「Magic」「ひとりの夜(Hitori no Yoru) 」の4曲がすでにリリース済みの再収録。さらに残りの4曲のうち1曲は「君じゃない誰かの愛し方(Ring)」のアンプラグドバージョン(いわゆるアコースティックアレンジ)であり、加えて1曲目と12曲目は約2分ほどの短いインストのため、完全な新曲と呼べるのは実質1曲だけと言っていい。
そしてその曲こそが、本作の最も目玉と言える「紫陽花のような恋(Hydrangea Love)」である。書き下ろしたのはシンガーソングライターの優里。日本の各種ストリーミングサービスで軒並みランキング上位を独占するなど、令和を代表する人気アーティストとなった優里と、もはや世界のエンターテインメントシーンの台風の目となった事務所、HYBE所属のボーイズグループであるTXTがタッグを組む、その事実だけでもアルバム1枚を切れるほどの強力な材料となっていると言えるだろう。
実際にサウンド面に耳を傾けても、優里のキャッチーなメロディセンスや言葉遣いはそのままに、TXTがそれに寄り添いつつも自らのスタイルをしっかりと守りながら歌い上げているのが印象深い。優里の代表曲「ドライフラワー」のように、恋を花に喩えるアイデアを踏襲し、紫陽花の花のように一つ一つの瞬間が君や僕になると歌う。両者の個性が違和感なく融合している点が、このアルバムの一番の聴きどころだと感じる。