DURDN、ライブパフォーマンスで触れられる熱量 満員のフロアに届ける表現の核心

DURDN、下北沢ADRIFTライブレポ

 韓国をルーツに持つシンガーのBaku、そして、プロデュースデュオ tee teaとしても活動するトラックメイカーのSHINTAとトップライナーのyaccoによるプロジェクト DURDN。2021年から本格的な活動をスタートさせ、精力的に楽曲リリースを重ねていく中で着実に支持層を拡大し続け、今年に入ってからは、Spotifyが発表する2023年の躍進を期待する次世代アーティスト「RADAR:Early Noise 2023」に選出された。今まさに時代の大きな波に乗ろうとしているDURDN初のワンマンライブが、6月21日、下北沢ADRIFTにて開催された。素顔をはっきりと明かさない匿名性の高い活動を展開し、これまでの活動においてもライブの本数は決して多くなかったため、今回の公演は、ライブパフォーマンスを通してDURDNの音楽表現の本質に迫ることができる貴重な機会となった。

 開演時間を少し過ぎた頃、SEに乗せて、ライブではギターを担当するSHINTAと3人のサポートメンバー(ベース、ドラム、キーボード)がステージに現れる。そして4人のバンドセッションのキメに合わせてBakuが登場して、大きな熱狂が巻き起こる中、1曲目の「イカしてる」へ。音源で聴き馴染んでいたはずだが、改めて、しなやかでありながら揺るがぬ芯の通ったBakuの歌声の素晴らしさに惚れ惚れしてしまった。キャップを深く被っているため、はっきりと表情を見ることはできないが、彼の気合いに満ちた熱いバイブスが確かに伝わってくる。「こんにちは、DURDNです」という挨拶を経て披露された「WARUNORI」では、フロアから大きな手拍子が巻き起こり、そうした観客の熱量に応えるように、Bakuの情熱的な歌声にもさらに熱が入っていく。2曲目にしてすでに、ライブ冒頭とは思えないほど熱い一体感が会場全体に満ちていた。

 そしてここで、新曲「TOKIDOKI」が披露されるという嬉しいサプライズが。何度もリフレインされる歌のメロディが非常にキャッチーで、その後のドロップパートでもたらされる鮮やかな高揚感も素晴らしい。曲のラストで、自らジャンプを繰り返しながら激しく観客を煽るBakuの楽しそうな姿も忘れられない。フロアの誰もが初めて聴いた新曲であるにもかかわらず、早くもフロアアンセムとしての輝きをまとっていて、今後の新たな代表曲の一つになっていく予感がする。一転、続く「Vacation」では、グッと音数を絞った上質なサウンドにのせてチルなムードを共有していく。フロアを見渡すと、一人ひとりの観客がそれぞれ自由に体を揺らしたり手を挙げたりしながらDURDNの歌とサウンドを楽しんでいて、その光景もとても美しかった。

 この日初めてのMCパートで、BakuとSHINTAは、満員のフロアを前にして胸の内の深い感慨と感謝を丁寧に伝え、バンドメンバーの紹介を経て、「My Plan」「306」を立て続けに披露していく。高域から低域まで自在に歌いこなしながら、同時にライブならではの気迫をもって歌を届けるBakuの歌唱スキルの高さに改めて驚かされる。そして、ライブを通してもう一つ実感したのは、yaccoが紡ぐメロディの素晴らしさだ。どの曲においても、心の奥深くまで沁み入るエモーショナルなメロディが全編にわたり光っていて、また、渾身のギターソロを炸裂させるSHINTAの堂々たるギタリストとしての一面を観られるのも、ライブならではの醍醐味だと感じた。

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