TOMOO、れん、ヤングスキニー、Skaai、DURDN……幅広い音楽性の5組が会場を魅了 『Spotify Early Noise Night #15』レポ

『Spotify Early Noise Night #15』レポ

 Spotifyが毎年、その年に活躍が期待される国内新進気鋭のアーティストを選出する『RADAR: Early Noise』。2023年にピックアップされた10組の中からTOMOO、れん、ヤングスキニー、Skaai、DURDNが出演する『Spotify Early Noise Night #15』が3月17日、渋谷Spotify O-EASTにて開催された。昨年11月にコロナ禍を経て2年半ぶりに開催された第14回に続き、今年初となる今回はジャンルの振り幅の広さに関わらず数多くのミュージックラバーが訪れ、会場は満員盛況。約3時間にわたったイベントはちょっとした音楽フェスの様相を呈していた。

 トップバッターはトラックメイカーのSHINTA、トップライナー(メロディメイカー)のyaccoによるプロデュースデュオ・tee teaと韓国をルーツとするシンガーソングライターのBakuによるプロジェクト・DURDN。ライブをなかなか行えないスタイルの彼らが3リズムを携えた貴重なステージだ。サポートメンバーが作り出す太いグルーヴ、ライブではギタリストとマニピュレーターを兼ねたSHINTAの思いのほかソウルに根ざした演奏の上をBakuの涼しげなボーカルが乗る。彼が日本語を歌うと少し舌足らずで英語のような響きになるのも耳に心地いい。トップラインを書くyaccoはライブには参加していないのだが、その分業スタイルがBakuの歌唱の可能性を拡張しているのかもしれない。Bakuのファルセットとシンセリフの相性も抜群な「捨てたらいい」など都会的なセンスあふれる楽曲に惹きつけられた。ラッパーとシンガーの中間的なBakuの佇まいも今、しっくりくる理由かもしれない。

 続いては1DJでこのイベントに切り込んできたミックスルーツのラッパー・Skaai。冒頭からフロアに向けて「Say, Hip Hop!」と煽りを入れ、トランペットのハードボイルドなフレーズがループする「BEANIE」では確かな押韻で畳み掛けるラップの熱量で圧倒。部分的に聴き取れる彼の覚悟を示すワードが突き刺さる。いい意味でナードな雰囲気のアーティスト写真と異なるステージ上のイメージにも驚かされた。立て続けに鋭いラップを聴かせた後、自分の存在はこの日珍しいかもしれないけれど「なんかかっこいいラッパーいたな」と記憶されれば嬉しいという意味のMCをして、BIMとの共作曲「FLOOR IS MINE」で、BIMパートもラップし、メロディ部分ではシンガーとしての表現力も発揮。その印象はラストの「Nectar.」でさらに増幅された。メロウかつハードボイルドなトラックセンスとワーディングの冴えでヒップホップアーティストとしての矜持を刻み込んだ。

 そして今年の10組の中で唯一のバンドであるヤングスキニーが歓声に迎えられて登場。すでに一定のファンベースを築いており、この日も彼らのために駆けつけた人が多い印象だ。スーツ姿で決めたかやゆー(Vo/Gt)をはじめ、4人バラバラの個性がユニークだ。1曲目はバンドで表現するチルアウトヒップホップテイストの「コインランドリー」。とりあえず今日の洗濯代をお願い、と言いながら今後もお願いするという歌詞のテイストからは、ソングライティングを手がけるかやゆーの人たらしっぷりが窺える。音楽的にもベースが6弦でメロディアスなフレーズを弾いたりするのも面白い。その後も「ゴミ人間、俺」「美談」と、男女各々の視点だが綺麗事一切なしの本音が綴られる歌が続く。また、ドラムはラウド系も叩けそうなテクニカルなフレーズやアイデアを盛り込み、フォーキーになりそうな曲の世界にモダンロックのアレンジが加えられる。MCではバンドで唯一選出されたことを意外だが嬉しく思うという趣旨の内容を述べ、注目されるきっかけとなった「本当はね、」を披露。ラストは良くも悪しくも僕は僕でしかないんだと歌う「らしく」で締めくくった。

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