米山舞、おむたつ、tamimoon、夜宮さてこ、そおの……個性が光る! 音楽シーンで今注目すべきイラストレーター5選
tamimoon
ウエットな印象のなかにボーイッシュスタイルを内包する女性の一人ひとりを描いたtamimoonのイラストは、描写がリアリスティック。トーンアップした肌の色、メイクを施した瞳、リップを塗った柔らかな唇、艶っぽさの象徴としてのほくろや、目元から零れ落ちる雫。それはまるでtamimoonが、女性たちに施すメイクを楽しんでいるようでもある。とくに目を引くのは、数回の瞬きで目が合う艶っぽさが増したGIFアニメーション。最新のトレンドを取り入れたファッションも、彼女たちをより美しく見せる魔法として機能している。たとえば、4naの「BURU」のMVに描かれたtamimoonのイラストは、洒脱でありながらどこか儚げな表情を映した彼女の画風が全面に表れた作品。
夜宮さてこ
スパイスの効いた作品で、逆転の発想を生み出す夜宮さてこ。代表作となる漫画『悪魔が描いた花』は、女子大生の佐藤花をストーカーしていた間宮優利が、予想外にも花に追い込まれていく内容となっている。傍から見れば純粋そうな花の正体は、殺人鬼。美しいことが当然とされる外見の奥に潜んでいる人間の本性を暴き出すのが、夜宮の作品群だ。たとえば、一枚絵の作品「強欲であれ」で描かれたケーキを口に入れるフェミニンな女性は、「原罪」の刃のような鋭い目つきで林檎をかじる女性と同一人物で、前述した漫画の花。ほかとは一線を画す現実を捉えた強い視点がたまらなく美しい。
そおの
そおのは、『ボカコレ2023春』でTOP100の首位を獲得した まらしぃ×じん×堀江晶太(kemu)による「新人類」のMVで使用された鏡音リンのキャラデザを担当した。MVにも登場するまらしぃのサルを彷彿とさせるヘアピンで前髪を留めていたり、脚の一部に絆創膏を貼っていたり、登場する鏡音リンのバックグラウンドを思い浮かばせる。ゲーム会社でのアートディレクターの経験もあるそおのが描くのは、現実とは乖離したアドベンチャー要素を持った壮大なスケールの世界観。キャラクターの生い立ちやストーリーを想像させるイラストには、無限の可能性を感じる。
いまや、独学でアニメ制作を学ぶ絵師も多い時代。国内外の自主制作アニメの注目作品をTwitterを中心としたSNSで拡散する「#indie_anime」をはじめ、インディーアニメにも注目が集まるなど、幾多の絵師が生まれている。
今後、音楽と共に注目を集めるのは、どのような魅力の詰まったイラストだろうか。絵師の軌跡が見えたり、ハッとする感覚をもらうなど、想像以上に奥行きのあるイラストの世界。今後も動向を注視していきたい。
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