香取慎吾、「グループとソロでは全然違う」ライブに懸ける変わらない想いと進化したステージ 『Black Rabbit』のすべてを語る
あの頃の“くろうさぎ”も、今の光景を喜んでいると思う
――2枚のアルバムをミックスさせたライブというのも、なかなかないですよね。香取:そうですね。やっぱり僕って、あらためてまた始まったので。今が面白いと思います、本当にまだ固まってないから。『20200101』というアルバムを作って、2枚目を作るかどうかもわからない状態で、ライブも最初はさいたまスーパーアリーナで1公演だけやろうと思っていたらコロナ禍がやってきて、中止になって。そしたら明治座で1カ月も公演することになって……。
『Black Rabbit』も、去年ぐらいに「来年ツアーしてみるか」って始まって。その時だって、まだアルバムも作ってないじゃないですか。でも、個展をやることは先に決まっていて。「じゃあ個展を開いているところにツアーで行ってみようか」となって。その個展が光と闇をテーマにして“くろうさぎ”が登場するから、ライブも『Black Rabbit』にしようと。アルバムも新しい作品はないから、これまでに出している2枚をミックスしていこうと思って、本当にその時その時でやってきているんですよね。
ただ、ここまでくると、きっとこの調子で3枚目のアルバムを……とは思ってます。まだ具体的には動いていないけれど、じわじわと「こんなことをやりたいな」というのはもうあって。でも、そうなったらもう歌われない曲がどんどんできてくるじゃないですか。今でさえセットリストに入らない曲が出てきていますから。次のライブをする時には1、2枚目の曲が入る隙があるかどうか――って考えると、本当にライブはその時にしか観られないものだなってあらためて思います。
――今回のセットリストを組む時には、どのような狙いがありましたか?
香取:持っている曲のなかからのチョイスになってくるのは面白かったですよね。まだアルバムが2枚だけだからこそ、それぞれのいいところを詰め合わせられるというか。“こんなジャンルとこんなジャンルで僕は音楽を始めた”というものを観せられるのも、このツアーならでは。バンドの曲もあればそうじゃない曲もあるから、生の音の迫力も感じてもらえるかな、なんて考えたり。あと嬉しかったのは、『20200101』の時にヒップホップを踊ってくれたダンサーと、『東京SNG』のジャズのダンサーが個人的にレッスンし合ったりしていて。『Black Rabbit』を通じて、お互いのいいところをより強化しようとしている。僕がやりたかったライブから、新たにパワーアップしようとして生まれている感じがいいなって思いました。
――なかでも思い入れのある演出はありますか?
香取:どこも自分で作っていながら、大好きなんですよね(笑)。でも、いちばんは新曲の「BETTING」と「東京SNG」の置き場所かな。もちろん、自分がお客さんだったらシビれるように作っているんですけど、その2曲の位置が「ここか〜!」ってなる感じにしたつもりなので、楽しんでもらえていたら嬉しいですね。
――忙しい日々が続いていますが、最近はくろうさぎの気配を感じることはありますか?
香取:直接近くには感じないけど、広がっている気配はしますよね。やっぱり自分だけじゃなく、みんなのところに行ってるというか。今こうやって東京にいても、福岡で個展を開催しているから、あの空間にみんなと一緒にくろうさぎがいる感じ。SNSを見ていても、ぬいぐるみを持ってくれている人がいて。くろうさぎは僕のなかで闇の象徴的な部分があったので、こんなふうになるとは思っていなかった。だから、今のこの光景を、くろうさぎも僕と同じくらい喜んでいると思います。
■公演情報
『Black Rabbit』
2023年7月29日(土)15:00
2023年7月30日(日)14:00
会場:ぴあアリーナMM
チケット一般発売受付中
イベント公式サイト:https://black-rabbit.jp/
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