香取慎吾に聞く、“新しい地図”を広げてからの5年 稲垣吾郎・草彅剛との心地よい距離感、この先に向けて芽生えた思い

香取慎吾、“新しい地図”を広げてからの5年

 稲垣吾郎、草彅剛、香取慎吾の3人が“新しい地図”を広げて5年。かつては真っ白だった地図も、今では色鮮やかな光景が広がっている。この眺めは彼ら自身が見据えてきたものなのだろうか。それとも、導かれるように繋がった奇跡の連続なのかーー。そんな疑問を胸に香取が東京・渋谷ヒカリエにて開催している個展『WHO AM I』の会場へと向かった。新しい地図、そして香取慎吾個人としての「これまで」と「これから」について語ってもらった。(佐藤結衣)

人生初の休みに感じた、スポットライトに当たっていない不安

香取慎吾(写真=梁瀬玉実)

――先ほど、来場されたお客様にご挨拶されていましたね。

香取慎吾(以下、香取):たくさんのお客さんが来てくださってうれしいです。今日は初めて平日のお昼に来てみたんですけど、開場前から並んでいるのが見えてワクワクしました。

――こうして個展を開いて、たくさんの方が足を運ぶ……そんな未来を新しい地図をスタートさせた5年前は想像していましたか?

香取:全くなかったですね。どこに向かうかも決まっていなかったし……もちろん光は目指してはいたけれど。行き先もわからないままに「まずは踏み出すだけ踏み出してみよう」という感じでした。そのとき向いている先が同じだったのが、稲垣吾郎、草彅剛で。「じゃあ、一緒に踏み出してみる?」と始まったんだけど、今思えば本当に「これからどうやっていこう」とか「5年後、10年後こうなっていよう」なんてことは何もなかった。

香取慎吾(写真=梁瀬玉実)

――個人的には、「新しい地図 本格始動」という、あのインパクトのあるムービーがアップされて興奮したのを覚えています(※1)。いろいろと準備をされて「いざ始動!」という感じかと思ったのですが、実際は「まずは……」という感じだったのですね。

香取:そう。でも力になってくれる味方がいてくれたのは心強かった。といっても、今みたいにそんなに多くはなかったけれど。それこそ、あのムービーを作ってくれたスタッフの方もそうだし、以前一緒にお仕事をして今も付き合い続けてくれる人とか、そんな人たちが背中を押してくれた感じでした。たしかYouTubeにもアップされましたよね、新しい地図を作るぞっていうタイミングの僕らを撮った映像が(※2)。それを見返してみると3人とも不安だらけみたいな顔をしてるんですよ。

――そんな心境だったんですね。

香取:実は、その少し前に人生で初めての休みというか、仕事をしていない時期があって。海外にも行ったし、家でもゆっくり休む時間があったんです。でも、リフレッシュにはなるけど、薄れていくのを感じて。なんというかタレントとしてのオーラみたいなものが。スポットライトを浴びたり、人の視線を受けるってことが、タレントとして輝くためにはすごく必要なので。

――日光を浴びていない、みたいな?

香取:そうそう。それって絶対あると思うんですよ。スターになるために必要なことって素質だけじゃなくて、ファンの応援があって、メイクや衣装で整えてもらって、照明がキレイに当たって……って、そういうことでどんどん磨かれて輝いていくと思っていて。なので、お休みしている時期は自分のオーラが静かになっていくのを感じました。

――そのまましぼんでいってしまうんじゃないかという不安や焦りも?

香取:あったと思いますね。だから今見返してみると「これから頑張っていこう」と言いながらも、不安な顔をしていたなって。

グループのころにはなかった、「いいな」が芽生える心地よい距離感

香取慎吾(写真=梁瀬玉実)

――発足当時「新しい地図はグループ名ではない」と明言されていました。改めて、グループとは違うなと感じる場面はありますか?

香取:ファンミーティングのときには、ちょっとグループ感はありますけど、それ以外はグループとの違いを感じますね。『ななにー』(『7.2 新しい別の窓』/ABEMA)は一緒にやってるけど月に1回だし。それって結構少なくて。草彅さんとはラジオ(『ShinTsuyo POWER SPLASH』/bayfm)で定期的に会ってるけど、稲垣さんとは本当に会わない。それでも一緒に歌うと、やっぱり楽しいなっていう。グループとの違いで言うと、ライバル視とまではいかないんだけど、2人がいい仕事をしていると「うらやましいな」とか「自分もちょっとやってみたいな」って感じるようになったかも。だから、今はグループじゃないんだなって。

――そうなんですね。むしろグループのほうが切磋琢磨というか、メンバーと自分の活動を比較しやすいのかなと思ったのですが。

香取:全然! 友だちとか家族感覚で舞台を観に行ったら、あまりにもその内容が良くて「なんでこの舞台に自分はいないんだろう」「このカンパニーの座長か、すごいな」って思っちゃうみたいな。そういうのはグループのときには思わなかった。うん、これは今話していて初めて思ったけど、そういう違いがちょっとあるかもしれない。

――その今の距離感は心地よいですか?

香取:心地いいですね、それこそ新しい人生を踏み出す一歩が一緒だった3人だから、同じような仕事で交わるようなときに、きっと僕が感じているような嫉妬とまではいかないけど「いいな」っていう、ちょっとしたライバル心みたいなものが少し芽生えているのかなって。そういうの、なんかいいですよね。

――では、変わらないところでいうと?

香取:連絡を取り合わないところは変わらないですね。それこそ5年前「これからどうしようか」って話し合うために、多めに連絡を取って、食事に行って、話をたくさんしたんだけど。そこから連絡を取り合うようになってもいいはずなのに、変わらず本当に連絡がほぼない(笑)。

――稲垣さんが香取さんのソロステージを観に行くときに「行くからね」みたいな連絡はないんですか?

香取:ないないない(笑)。そんなの全然ないですよ! 稲垣さんから連絡が来た記憶は、二つかな。稲垣さんがコロナで『ななにー』をお休みしたときに「お休みすることになりました。申し訳ない」というのが一つ。あとは僕が出た映画『凪待ち』を観て「映画よかったよ」というのが一つ。この5年で、その2回だけかもしれない、本当に!

――厳選されているから忘れないですね(笑)。逆に、香取さんから連絡をすることは?

香取:……ない!

――来たものに対するお返事は?

香取:「そう。ありがとう」って(笑)。

――端的(笑)。でも、草彅さんとはもっと頻繁に連絡されているんですよね?

香取:してないです、してないです。最近はドラマのことに関して、向こうからひとこと来たので「そうなんだ、撮影頑張って」って。その前は、いつだったかな……。

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