Kroi、Mステ出演や武道館ワンマン決定で加速する勢い ディープな音楽性と遊び心で誰もが楽しめるポップミュージックを実現

Kroi、武道館ワンマン決定で増す勢い

 Kroiが7月7日放送『ミュージックステーション2時間スペシャル』(テレビ朝日系)に出演。「Balmy Life」を演奏することが発表された。

 1stアルバム『LENS』(2021年6月)のリードトラック「Balmy Life」は、ライブアンセムとしても知られる代表曲。今回のMステ出演は、2024年1月20日に行われる日本武道館でのワンマンライブ『Kroi Live at 日本武道館』に向けた大きなジャンピングボードになりそうだ。

『#Kroi Live at 日本武道館』2024年1月20日(土) 開催決定!

 Kroiの結成は2018年。当時10代だった内田怜央(Vo/Gt)を中心に、中学生からの同級生の長谷部悠生(Gt)、4〜5歳年上の関将典(Ba)、益田英知(Dr)によって始動し、結成からわずか1年半後の2019年夏には『出れんの!?サマソニ!?』オーディションを勝ち抜いて『SUMMER SONIC 2019』に出演した。さらに同年12月に千葉大樹(Key)が加入。独創的な音楽性と解放的なライブパフォーマンスによって注目を集め、2021年に1stアルバム『LENS』でポニーキャニオン内のレーベル・IRORI Recordsからメジャーデビューを果たした。

 このバンドの音楽性を端的に言えば、“個性とセンス、技術に裏打ちされたミクスチャーサウンド”ということになるだろうか。ファンク、ソウル、ブルース、ジャズ、フュージョン、ヒップホップ、ヘビィロック、エレクトローーKroiの楽曲に織り込まれたファクターは極めて幅広く、多様性に溢れている。背景にあるのは、メンバー自身の豊富なリスナー体験と興味の幅広さ。楽曲の原型は内田が作ることが多いようだが、スタジオ(またはリモート)でのセッションを繰り返しながら様々なアイデアを取捨選択し、唯一無二としか言いようがないアンサンブルへと結びつけている。雑多な要素を取り込んでも、決して頭でっかちにならず、しなやかな肉体性を保ったまま“誰もが楽しめて、踊れるポップミュージック”に昇華できるのは、メンバー5人の優れた演奏テクニック、そして、“とにかく客の気分をアゲたい”という根源的な動機があるからこそだろう。

 2022年7月に2ndアルバム『telegraph』を発表した時期からライブの規模も確実にアップ。11月には東京・Zepp DiverCity(TOKYO)、そして2023年1月には初のホール公演となる東京・LINE CUBE SHIBUYA公演を成功させた。さらに4月から6月にかけてEP『MAGNET』を携えた全国ツアー『Kroi Live Tour 2023 “Magnetic”』を開催。全国のライブハウスと東阪ホールを巡った本ツアーでは、ファイナルの東京・NHKホール公演をソールドアウトさせ、とてもいい形で来年の日本武道館公演につなげたというわけだ。

Kroi - Balmy Life (Live from "Magnetic" at NHK HALL, 2023)

 バンドの知名度の向上、楽曲への理解が進むにつれて、ライブ全体の一体感もアップ。“好きなように楽しんでほしい”というバンドのスタンスが観客に浸透し、NHKホールでも圧倒的な解放感と祝祭感を生み出してみせた。その根底にあるのは、ビートに対するセンスの高さだ。以前、リアルサウンドのインタビューのなかで内田は「現代の音楽において、ビートの構築やサウンドメイクが曲のよさに直結すると思っている」(※1)と答えているが、彼のビート感度の高さは現在のバンドシーンのなかでも際立っていると思う。

 キャラが立ちまくったメンバー個々の存在感もKroiの大きな魅力だ。バンドの音楽的な核であり、ライブではメッセンジャー(アジテーター)としての役割も果たしている内田。派手さと渋さを兼ね備えたギタリスト・長谷部。卓越したプレイヤビリティで楽曲を支える一方、バンドのまとめ役でもある関。グルーヴの核を担いつつ、ムードメイカー的な存在でもある益田。そして、多彩なフレーズで楽曲に彩りを与えると同時に、ミックスエンジニアとしても手腕を発揮している千葉。見た目も才能もまったく異なる5人が生み出すケミストリーこそがKroiの面白さ、素晴らしさなのだと思う。ライブのMCにおけるわちゃわちゃした関係性もまた、このバンドが加速度的にファンを増やしている理由だ。

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