PKCZ®、サプライズ演出満載の熱狂的なステージ 初単独ライブ『感謝祭』で見せたユニットの楽しい未来

PKCZ®感謝祭レポ

 フロントメンバーとして、白濱亜嵐(EXILE/GENERATIONS)、EXILE MAKIDAI、DJ DARUMAを擁するクリエイティブユニット・PKCZ®が、初の単独ライブ『「PKCZ®感謝祭2023」~100万回のアリガトウ~』を東名阪で開催。6月23日、渋谷・Spotify O-EASTにて東京公演を行なった。PKCZ®は昨年12月に「T.O.K.Y.O.」(DA PUMP「U.S.A.」の公認アンサーソング)のMVを公開した際、「公開から2週間で100万回再生を超えたら初の単独LIVEを開催!」という公約を掲げており、ぴけし隊(PKCZ®ファンの総称)の強力サポートのおかげで見事ミッションをクリア。華金の渋谷を舞台に、全力で“ぴけし隊”への感謝の気持ちを伝える3人と、単独ライブを待ちわびていた“ぴけし隊”による、熱狂の宴が繰り広げられた。

PKCZ®

「えっ、俺って気づいてる?(笑)」

 開演前から、白濱による影アナウンスで一気に沸くフロア。見渡せば、1階はすでに後方まで埋まり、ライブハウスでのオールスタンディングに慣れていない観客には、なかなかハードな空間が広がっていた。そんな不安を察するように「お隣の人、前後の人に優しい気持ちを持って、ライブをご覧になってください。“はい”は?」と語りかけると、フロアから元気な返事が届く。それはまるで“お互いに身体と心を預け合って全力で楽しむこと”への選手宣誓のようで、コロナ禍以降、封印されていた密度の高いライブが、今まさに始まろうとしていた。

PKCZ®

 ほどなくして、ラジオ『TOKYO M.A.A.D SPIN』(J-WAVE)の番外編と題し、同番組の金曜パーソナリティを務めるMAKIDAIとDARUMAが影アナウンスに登場。軽快なトークでひとしきり盛り上げた後、凄まじい歓声を浴びながら、満を持して3人が姿を現した。ステージ中央にはDJブースが3つ並んでおり、上手にはDARUMA、下手にはMAKIDAIがスタンバイ。お立ち台に上がった白濱がマイクを握ると、感謝祭を開催するきっかけとなった「T.O.K.Y.O.」が、『「PKCZ®感謝祭2023」~100万回のアリガトウ~』の幕開けを告げた。ステージスクリーンには、百戦錬磨のVJチーム BENZENEが手掛けた映像が賑やかに踊り、白濱のパワフルなボーカルが鳴り響く。MAKIDAIとDARUMAも、“T.O.K.Y.O.”コールや御輿を担ぐような“TOKYOおみこしダンス”で参戦。早くもお祭りモード一色のフロアを、新生PKCZ®の代表曲「GLAMOROUS」、中毒性の高い「Sonic Special Stage(PKCZ® REMIX)」が容赦なくかき混ぜていった。間髪容れずにMAKIDAIが「まだまだ楽しんでいける人? hands up!」と煽り、「PLAY THAT feat. 登坂広臣,Crystal Kay,CRAZYBOY」へ。同曲は2015年に開催された『三代目 J Soul Brothers LIVE TOUR 2015「BLUE PLANET」』で初披露されて以来、数々の会場を沸かせてきた代表曲で、〈騒ごう Tonight〉と繰り返すØMI(登坂広臣)のボーカルにMAKIDAIがスクラッチで華を添えれば、“パーリーピーポー”のテンションは高まるばかり。LDHの仲間たちと育ててきた“絶対的なアンセム”が、特別な夜に打ち上がった。

PKCZ®

 次の瞬間、美しいハイトーンボイスが舞い込み、フロアを少しクールダウンさせる。今年、ソロ活動を再始動させたEXILE SHOKICHIとのコラボ曲「Cult of Personality feat. EXILE SHOKICHI」である。また、今回のライブは、PKCZ®に縁のあるLDH所属アーティストからのシャウトが随所に盛り込まれており、この曲もSHOKICHIからのメッセージを織り込んだ仕上がりに。粋なサプライズ演出に、フロアの至るところから悲鳴に似た歓声が上がっていた。ガールクラッシュブームの先駆けとなった2NE1の元リーダーCLと、世界的プロデューサー AFROJACKを迎えた「CUT IT UP feat. CL & AFROJACK」では、映画『キル・ビル』の殺陣チームが制作に参加したという和テイストのMVを背にして、MAKIDAIと白濱が華麗なステップを披露。2人の姿を見守りながら、黙々とプレイするDJ DARUMAの表情は実に優しい。縁の下の力持ちとしてグループを支えるDARUMA、臨機応変に立ち回るムードメーカー MAKIDAI、新たな刺激を持ち込む陽気な末っ子・白濱。これこそが、今のPKCZ®のベストなバランスなのだろう。

PKCZ®

 MAKIDAIや白濱も出演しているMVがスクリーンに映し出されると、EXILEの楽曲「PARTY ALL NIGHT(REMIX)」から【EXILE TRIBE ZONE】が始まった。EXILE NESMITHが「今日はみんなで一緒にA! SO! BO!」とリードしたのは、EXILE THE SECONDの「ASOBO! feat. Far East Movement」。SECONDのライブでお馴染みの“OH~”(横揺れダンス)はPKCZ®でも健在だ。各グループの人気曲が次々に会場をジャックし、三代目 J SOUL BROTHERS「Summer Madness(PKCZ® REMIX)」から繋いだGENERATIONS「Sing it Loud(ALAN EDIT Ver)」では、初の単独ライブ開催を祝い、関口メンディーが「おメンディ~!」とシャウト。「CHAIN BREAKER feat.登坂広臣,CRAZYBOY(MASH UP~オリジナル AL ver.)」にはØMI、三代目JSBの「R.Y.U.S.E.I.(Maozon Remix~オリジナル)」には今市隆二からのメッセージも加わり、EXILE TRIBEメドレーを華やかに彩った。ちなみに、DJカルチャーに馴染みのない人の中には、DJ=既存曲を繋いで流すだけというイメージを持っている人もいると思うが、PKCZ®のライブは、それとは全く異なる。メンバー自ら歌唱するオリジナル曲もありながら、既存曲に関しても、楽曲そのものが持つパワーとDJプレイ、ダンスミュージックに寄り添う映像、当日限定のステージング――ありとあらゆる要素が融合し、目の前で新たなエンタテインメントが生まれていくのだ。そして、骨太のビートの上では、ある意味、アーティストもファンも変わらない。音楽が好き、この空間が好きという絆で結ばれている人間同士が、共に叫び、踊り、笑顔を交わすだけ。特に三代目JSBの「R.Y.U.S.E.I.」で、三代目メンバーがいない場内に“ぴけし隊”の歌声が充満する様は、PKCZ®のライブならではの光景だろう。ステージに立つ3人と共に誇らしげに掲げたポーズ(手で三角形を作って額に添える、三代目JSBのライブではお馴染みのポーズ)も、LDHにPKCZ®が存在する意味や、彼らが日々実感している“音楽の力”を示していた。

PKCZ®白濱亜嵐
白濱亜嵐

「もっともっと高くいけますかー!?」

 MAKIDAIの声を合図に、DJブースやスクリーンに炎が映し出されると、『HiGH & LOW THE MOVIE』の主題歌としても人気の高い「HIGHER GROUND feat. Dimitri Vegas & Like Mike」(EXILE TRIBE)を投下。同作で雨宮兄弟の兄・雅貴を演じたEXILE TAKAHIROも名台詞「お兄ちゃんの話を聞きなさい!」をシャウトし、場内のボルテージを高めていく。MCでは、そんなシャウトがお気に入りになってしまったMAKIDAIが「お兄ちゃんの話をぉ~!?」「聞きなさ~い!」という斬新なコール&レスポンスを展開し、「ぴけし隊ならではの瞬発力!」と、観客のノリの良さを大絶賛。ようやくマイクを握ったDARUMAは、PKCZ®が感謝を伝えるための感謝祭なのに、自分たち以上の感謝を“ぴけし隊”からもらっていると述べつつ、「最高です!」と絶叫。現在、GENERATIONSの一員としてデビュー10周年ツアーを行っている、アイデアマンの白濱は「こんなライブってできるんだ! っていう新たな発見がありました」と声を弾ませた。

PKCZ® MAKIDAI
MAKIDAI

 トーク面でも繋ぎ上手なところを見せた3人は、【DJ TIME】でも三者三様のプレイスタイルでフロアを沸かせた。トップバッターのMAKIDAIは、EXILE「Choo Choo TRAIN」のイントロから、SWAYのシャウトで加速した「Organ Donor ~OFF DA HOOK~」(DJ MAKIDAI feat.GENERATIONS from EXILE TRIBE & SWAY)や「J.S.B. DREAM」(三代目JSB)で熱狂に導いていく。DARUMAは、PKCZ®のオリジナル曲「ROAM AROUND feat. GENERATIONS from EXILE TRIBE」で助走をつけてから、DOBERMAN INFINITY「JUMP AROUND ∞」のイントロをサンプリングし、観客と共にジャンプ。それでも「もっとできる気がする!」と納得いかない様子で、しゃがんでからのジャンプを求めると、“ぴけし隊”はダイナミックなジャンプでメンバーへの愛を表現。その後も、DARUMAの絶妙なさじ加減でボリュームが変わるサウンドに合わせて、時に弱々しく時に力強く「HEY!」を叫んだ。続く白濱のターンでは、学校のチャイムが鳴り響く中、「夢のような課外授業に連れて行きます」と語りかけ、単独ライブのために作ってきたという「T.O.K.Y.O.(ALAN Remix)」を披露。ここでは新たな試みが用意されており、場内の照明を全て落とし、音に身を委ねるという新感覚の音楽体験を届けた。白濱が紡ぐ音を全身に浴びて、ただひたすらビートに突き上げられる不思議なひととき。感覚が研ぎ澄まされたブレイクから一転、一斉に照明が点くと、あらゆる情報が急激に飛び込んできて、世界はより鮮やかな光を放った。さらに【DJ TIME】の後には、「Gekka Bijin」「HARD LUCK MADNESS」という新曲2曲をプレゼント。初見の観客が多いとは思えないほど、自然とリズムを刻む手拍子がPKCZ®を温かく包み込んだのだった。

関連記事

インタビュー

もっとみる

Pick Up!

「ライブ評」の最新記事

もっとみる

blueprint book store

もっとみる