EXILE THE SECOND、5年ぶりツアー『Twilight Cinema』ファイナル徹底レポ 表情豊かなパフォーマンスで届けた再会の喜び
昨年、ボーカルのNESMITH、SHOKICHI、パフォーマーの橘ケンチ、TETSUYA、AKIRAという5人体制になったEXILE THE SECOND。その全国ツアー『EXILE THE SECOND LIVE TOUR 2023 ~Twilight Cinema~』が、6月2日、東京ガーデンシアターにてファイナルを迎えた。
昨年もEXILEのメンバーとしてステージに立ち続けた5人だが、単独ツアーを行うのは、2018年5月まで開催された『EXILE THE SECOND LIVE TOUR 2017-2018 “ROUTE 6・6”』以来、5年ぶり。2020年にはコロナ禍の影響で『EXILE THE SECOND PERFECT LIVE 2012▶2020』が中止になったこともあり、『LIVE×ONLINE』などの配信ライブは開催されていたものの、久々に全国で再始動を待ちわびていた“セカ友”(EXILE THE SECONDファンの通称)への感謝と、新生EXILE THE SECONDの今を伝える、濃厚な3時間となった(LDHの動画配信サービス「CL」にてライブ配信も行われた)。
『Twilight Cinema』というタイトル通り、シャンデリアに深紅のカーテンという劇場風のセットで行われた今回のツアー。客電が落とされた場内にはブザーが鳴り響き、カラカラという映写機が回る音も、映画館に足を運んだ時の高揚感を再現していく。ステージに「Twilight Cinema」のピアノバージョンが舞い込むと、「“出会いと別れ”をテーマとしたエンタテインメントショーを届けたい」という想いで同曲を制作したSHOKICHIが登場。コンセプトを優しくなぞる彼の声に、観客は静かに耳と心を傾けた。だが、コロナ禍以降、LDHのライブでは初となる声出し緩和ツアーとなったこともあり、満を持して正面を向いたSHOKICHIが、熱を帯びた声で仲間の名前を叫び、一人ひとりにライトが当たると、客席からは素直な歓声が溢れ出した。そして、中止となった『EXILE THE SECOND PERFECT LIVE 2012▶2020』でも披露が期待されていた「瞬間エターナル」で、最初のブロック“Chapter 1 プロローグ”がスタート。今回、同曲はサビ始まりのアレンジとなっており、ステージ下段でスタンバイしていたバンドの演奏に合わせて、5人は一斉に右腕を突き上げた。その見事に揃った美しいポージングに思わず言葉を失った直後、EXILE THE SECONDが帰ってきた喜びがドッと押し寄せてくる。そんな感動的なオープニングだった。
続く「YEAH!! YEAH!! YEAH!!」では、陽気なサマーチューンに乗って繰り返されるジャンプやコール&レスポンスに、会場全体が大きく揺れる。2017年のEXILE THE SECOND DAY(2月22日)にリリースされたファンキーな「SUPER FLY」では、TETSUYA、ケンチ、AKIRAがソロダンスを披露。熟練のダンスで圧倒する一方、AKIRAのパートにはNESMITHが踊りながら乱入し、観客の笑いを誘った。それら2曲と同じく、「ASOBO! feat. Far East Movement」も昨年のEXILEツアーを盛り上げた人気曲で、会場が一体となって踊るパートやSHOKICHIが激奏したハーモニカなど、本気で“遊ぶ”姿が眩しい。生憎この日は台風が関東に上陸し、会場の外の天気は大荒れだったのだが、一連の流れで、場内には“夏真っ盛り”といったお祭りムードが充満していた。“画面越しでしか会えなかった日々さえも、セカ友と歩んだ大切な歴史としてしっかりと刻まれている”というメンバーからの無言のメッセージは、対面での単独ライブを待ち続けたファンはもちろん、急遽配信ライブで公演を見守ることになった人にとっても、大きな救いになったはずだ。
雨音や鐘の音、遠吠えといったSEがダークなムードを醸し出すと、AKIRAのナレーションで“Chapter2 Lost world”が幕を開けた。雷鳴のごとく打ち鳴らされるドラムに誘われ、ギターを手にしたNESMITHが歌い始めたのは、映画『HiGH&LOW THE WORST』の劇中歌としても知られるロックチューン「Ain't Afraid To Die」。地を這うような低音ボイスに続き、SHOKICHIは十字架を模したマイクスタンドに喰らいつくように歌う。共闘するツインボーカルやSHOKICHIが十字架を高く掲げる姿は、バンドキッズだった彼らのルーツを象徴し、多種多様なグループを内包するEXILE TRIBEにおいても異色の存在感を放っていた。そこに黒革のベストを纏い、逞しい肉体を露わにしたAKIRAが、ギターを掻き鳴らしながら参戦。2019年にリリースされたAKIRAの映像作品『THE FOOL MOVIE 2 ~THE FOOLS~』に収録された、AKIRAとSHOKICHIのユニット曲「THE FOOL」をNESMITHとのツインギターバージョンで演奏する。
『LIVE×ONLINE』を配信した際、ドラキュラ風の衣装を纏ったケンチが王座に縛りつけられるという耽美なパフォーマンスが話題を呼んだ「Top Down」も、前回を上回る見どころ満載のステージに。ステージ上段に仰向けに寝そべり、色気を滴らせながら客席に視線を送るケンチ……だけに止まらず、妖艶な笑みを浮かべたTETSUYAがケンチを操るという、横須賀出身コンビによる“マリオネットダンス”も投下。暗転した一瞬の隙に立ち位置を交換したケンチが、TETSUYAを銃で撃ち抜くという予想外のエンディングもあり、まさに映画を観ているようなドラマティックな仕上がりとなっていた。そういった個性際立つ楽曲が続いたからこそ、ボーカルが歌い、全員で踊るという王道スタイルの「One Time One Life」がよく映える。各自の武器を集結して攻めの姿勢を貫く5人の姿は、今まで以上に頼もしく感じられた。