Awich、ちゃんみな、ZORN……アリーナ規模に登り詰めるラッパーたち　聴き手を捉えてやまない壮絶な人生から生まれるリリック

ちゃんみな

　最後に紹介するのは、今年3月に横浜アリーナ公演を開催したちゃんみなが容姿について批判され傷ついた経験をもとにルッキズム（外見至上主義）をテーマに書いた楽曲「美人」だ。デビュー当時、音楽に対する批判よりも容姿に対する批判が多く、ストレスで一気に痩せてしまったという。しかし、逆に世間から綺麗になったと言われて違和感を覚え、自分と同じように容姿のことで悩んでいる人たちを救いたいという思いが込められている。

〈ちゃんみな最近まじかわいい／私は忘れないあの嵐／あの時私はまだセブンティーン／あの時言ったよな／You can’t be beautiful／You can’t be famous／醜いブスが歌ってんじゃないよ／あの時狂った精神に才能が開花／味わった幸も不幸も一般じゃなかった〉

　当時の心境をこのようにラップしながら、〈悲観的いや美学的／磨いたらダイヤ美しい／生きなさい今魅せなさい／あなたこそダイヤ美しい〉と他人から求められる美しさではなく、ありのままの自分を愛することの大切さを歌っている。

　また、ちゃんみなが3月21日に開催した横浜アリーナでのワンマンライブにAwichがサプライズで登場し、Awichをフィーチャリングに迎えた「美人（Remix） feat. Awich」を初披露している。二人の力強いパフォーマンスが見られるこちらのリミックスバージョンもぜひチェックしてほしい。

　今年はAwich以外にもMC TYSONが7月17日に大阪城ホール、OZROSAURUSが9月18日に横浜アリーナで単独公演を予定している。また、惜しくも『POP YOURS』のステージで解散を発表したBAD HOPがSNSで「#BADHOP解散」のハッシュタグを使ってラストライブの希望会場をファンから募集しているが、彼らの人気と実力的にアリーナクラス以上の会場が期待される。日本のヒップホップシーンの盛り上がりとともに、今後はもっと多くのラッパーがアリーナ公演を実現するのを目にすることができるようになるだろう。