week dudus、小学5年生からスタートしたHIPHOP人生の転機 本名を冠した最新作『KAZATO』に込められた意志

week dudus、HIPHOP人生の転機

 兵庫県出身、現在22歳のラッパー week dudusがEP『KAZATO』を配信リリースした。week dudusは音楽好きの一家で育ち、小学5年生でラップを始めた早熟なアーティストだ。応募者数1,400名を超えるABEMA『ラップスタア誕生』(シーズン4)のファイナルステージに進出、Red Bullがキュレートする“その場限り”のマイクリレー『RASEN』への出演、HABANERO POSSEやOZROSAURUSのメンバーとして活動するDJ/プロデューサーのGUNHEADとタッグを組んだ4曲入りEP『MASH IT!』のリリースなど、シーンの内外を問わず注目を浴び続けている。

 EP『KAZATO』は、week dudusの本名がタイトルに掲げられた作品。地元を離れ、東京で日々音楽を作りを続ける彼のこれまでの歩みから、豊かなバリエーションを持った最新作に込めた想い、そしてこれからのことを語ってもらった。(高久大輝)

ラップが上手いことは自分でもわかっていた

week dudus

ーーまずはラップを始めた理由を改めて教えていただけますか?

week dudus(以下、wd):親の影響で音楽はずっと聴いていたんですけど、ある日聴く側が嫌になったというか、「なんでこんなに音楽が好きなのに聴く側なんだろう?」という疑問が生まれて。そこからやり始めました。

ーーラップを始めたのは小学5年生とのことですが、初めて録音したのはいつでしたか?

wd:それも小学5年生ですね。録音というか、携帯のカメラでフリースタイルを撮ったんです。そこから独学というか、撮った映像を見直しながらスキルを付けていったというか。

ーー以前はMCバトルにもよく出場していたそうですが、現在は音源やライブのイメージが強いです。何か方向性を決めるタイミングはありましたか?

wd:当時はMCバトルと音源に対する線引きが全然なくて。MCバトルに出ていた期間はそんなに長くないんですけど、高校生くらいですかね。それはただ人に悪口を言いたかった時期というか(笑)。ラップが上手いことは自分でもわかっていたので、それで悪口が言えるなら最高だなって。でもある程度やってそれも飽きて、じゃあ音源に集中しようと思いました。

ーーMCバトルに飽きた理由は何だと思いますか?

wd:なんか弱いんですよね、みんな(笑)。『UMB』(『ULTIMATE MC BATTLE』)は無理だったんですけど、他で何回か優勝もさせてもらって、天井が見えたというか。飽きちゃいましたね。

ーー『ラップスタア誕生』ではN.W.Aの名前も挙げてラップしています。彼らはアメリカ西海岸のギャングスタラップを象徴する存在ですが、week dudusさんにはあまりギャングスタのイメージはありません。その理由は環境にありますか?

wd:環境ですね。そのサウンドを真似するのも違うと思うし、自分よりギャングスタというか、もっと悪い人たちがいますからね。そういった人たちと比べるわけじゃないけど、周囲の環境は絶対に恵まれていた方だと思うんです。だからそういう悪いことは悪い人たちに任せるというか。でも、聴く側からするとやっぱり「悪い方がかっこいい」というのはまだ多少あるんじゃないかなと思いますね。自分は全然気にしていないんですけど。

ーーなるほど。今22歳でまだまだ若いとされる年齢で、とは言ってもラップを始めてから10年以上が経っています。まだヤングガンな気持ちですか? それともベテランとしての自覚が芽生えていたりしますか?

wd:全然10年以上経っている感覚がないですね。ラップのことだけしか考えていないので気づいたらここにいるって感じで。ただ10年以上やっている人でも、最近始めた人でも、毎日どれだけやっているかが大事で、キャリアとかは関係ないんですよ。最近は自分より全然若い子もラップをやっているし、そういうのを見ると「頑張らなきゃ」と思ったりします。

ーーこれまでのキャリアの中で『ラップスタア誕生』や『RASEN』の出演など、起点になるポイントがいくつかあったと思います。意識の面で影響を与えた出来事はありますか?

wd:地元にスタジオが2つあって。高校生くらいからずっと通っていたスタジオを、もう一つの方に変えてから自分のラップに対する意識が変わったような気がします。たぶんサウンドシステムがガラッと変わって、より音が良くなったというのが大きくて。音楽の楽しさがよりわかるようになりました。

ーーweek dudusさんの音楽の魅力的なノリは、そういったところからきているんですね。

wd:ノリを100%で出したときに、100%以上のものが返ってくる経験をしたのがそのスタジオですね。あとビートに合ったフロウを乗せる重要性に気がついたのもそのタイミングで。フロウの正解がわかるようになりました。それまでは自分の声が一番前に出ていないと気が済まない感じだったんですけど、スタジオを変えてから曲の全体が見えるようになった。

ーー自宅のサウンドシステムにもこだわっていたりしますか?

wd:そうですね、部屋の反響の仕方をYouTubeで勉強してます(笑)。スタジオでラップを録るのも好きで、マイクの位置と声の当て方で音が変わってくるのを追求するのも面白いです。

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