DUSTCELL、飛躍的に向上するパフォーマンスのクオリティ バンド編成&ファンの歓声によって生み出された新たな音像

DUSTCELL『ROUND TRIP』レポート

 後半は新曲の「Caffeine」でスタートした。哀愁のあるコード進行にメロディアスな旋律が乗る聴きごたえのあるこの曲で、空気は一気に変化。「Void」ではリズムに合わせて手拍子が起きた。その後、「ONE」「透明度」「LAZY」と立て続けに披露し、しっとりと聴かせつつ、それでいて会場の熱気を冷まさない。とりわけ秀逸だったのが次の「SAVEPOINT」だ。磐石のバンドメンバーたちによる生演奏と、EMAのエモーショナルなボーカルが見事に融合し、極上の音楽空間を演出していた。

DUSTCELL(写真=Takashi Konuma)

 終盤は「ORIGINAL」「命の行方」「独白」で加速していくようなラストスパートだった。特に「独白」におけるEMAのボーカル表現には胸打つものがあった。曲が進むにつれて感情的になっていき、最終的に叫ぶような歌唱へ。終わるや否や送られた観客からの温かい拍手が印象的だった。

DUSTCELL(写真=Takashi Konuma)

 「今日僕らが音楽で伝えられるのは次の曲で最後になります」と告げ、ラストナンバーの「過去の蜃気楼」を歌い、本編終了。アンコールは「CULT」で再スタートし、DUSTCELLの始まりとも言えるこの曲のパフォーマンスに、会場のボルテージは最高潮に。会場の至る所から悲鳴にも似た歓声が上がっていた。

DUSTCELL(写真=Takashi Konuma)

 そしてEMAは言う。「ここにいるみんなは、生きていく上で幸せなことだけではないと思う。生きてて理不尽だと思う瞬間が必ずあると思う。でもその時に、絶対にやり返さないでほしい。弱くてもいいから、優しい人間であってほしい。私はそうやって生きて、音楽をやっています」

DUSTCELL(写真=Takashi Konuma)

 最後は「STIGMA」を披露し、大盛り上がりのうちに終演。総じてEMAの歌唱力、バンドとの連携、映し出されるアニメーションのクオリティ、すべてが飛躍的に向上し、さらにはEMAが今の思いを素直に伝える場面もあり、美しく幕を閉じたこの日。12月に東京と大阪でワンマンライブ『DUSTCELL LIVE 2023「DAWN」』を開催することもアナウンスされ、今後のより一層の活躍が期待される。

DUSTCELL(写真=Takashi Konuma)

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