KANA-BOON、デビューから10年間で紡いだラブソングの変遷 歌い続ける“君”への変わらぬ思い
今年メジャーデビュー10周年を迎えるKANA-BOON。6月14日に“恋愛”に焦点をあてたコンセプトアルバム『恋愛至上主義』をリリースすることを受け、これまで彼らが届けてきた恋愛・失恋ソングを振り返り、その軌跡を辿っていく。
未熟な2人の恋心を綴ったラブソング
KANA-BOONはこの10年間で、数多くの恋愛・失恋ソングを届けてきた。たとえば、〈僕〉と〈君〉の心のすれ違いがストレートに歌詞に綴られている楽曲「ないものねだり」。この楽曲は初の全国流通盤『僕がCDを出したら』収録曲となっており、彼らが初めて男女両面の視点で歌った楽曲と語っている(※1)。また、同アルバムに収録されている楽曲「眠れぬ森の君のため」は失恋ソングとして印象に残っている人も多いだろう。この楽曲は、谷口鮪(Vo/Gt)の実体験がもとになっているということを、YouTubeコンテンツ「RING³」の中で赤裸々に語っていた。これら2つの楽曲には、未熟で青い2人の関係性や情景が鮮明に描かれているために、共感を覚えた人も多くいるだろう。
青さと大人の恋愛、対照的な2曲がもたらす新たなフェーズ
彼らの原点に立ち帰ったアルバム『Origin』(2016年)。このアルバムには今までのKANA-BOONの恋愛ソングに加え、新たな舵を切った楽曲が収録されている。たとえば、アルバム3曲目に収録されている「なんでもねだり」。この楽曲は、思春期真っ只中の〈君〉に夢中な主人公をストーリーの中心に置いた、楽しげで軽快なサウンドが特徴的である。その一方で、同アルバム収録の「talking」は、〈君〉との大人な雰囲気の関係性が醸し出されていて、今までのKANA-BOONとは少し雰囲気の違うミステリアスな楽曲となっている。前述したように、これらの楽曲は同じアルバムに収録されているものの、対照的な2曲となっている。青さを残した「なんでもねだり」とKANA-BOONにおいて新たなフェーズに入るきっかけとなった「talking」は印象的な恋愛ソングとなっているのではないだろうか。