Snow Man、millennium parade × 椎名林檎、スピッツ、女王蜂、緑黄色社会……5月17日リリースの新譜5作をレビュー
毎週のリリース作の中から注目作品をレビューしていく連載「本日、フラゲ日!」。今回は5月17日リリースのSnow Man『i DO ME』、millennium parade × 椎名林檎『W●RK / 2〇45』、スピッツ『ひみつスタジオ』、女王蜂『メフィスト』、緑黄色社会『pink blue』の5作品をピックアップした。(編集部)
Snow Man『i DO ME』
5月3日に結成11周年を迎えたばかりのSnow Manから3rdアルバムが到着。リード曲の「あいことば」は幸福感に満ち溢れたミディアムテンポのナンバー。家族や友人、恋人など大切な人に伝えたい想いを優しい言葉で綴った詞は、ファンへの感謝とも取れる仕上がりで、今後のライブでの定番になりそうな楽曲。またもうひとつの先行曲「slow…」はクールさとセクシーさを兼ね備えたR&Bテイストのダンスチューンで、こちらもリアルなパフォーマンスに期待がかかる。このほか「オレンジkiss」「タペストリー」などシングル曲を加えた全12曲と通常盤にはユニット曲、初回盤AにはJr.時代の楽曲「Cry out」も収録。タイトルの『i DO ME』には「自分は自分らしく」という意味と、「挑め」と自らを鼓舞するメッセージを込めたそうで、枠に収まらず常に進化し続ける姿勢がしっかりと表現された1枚となった。(渡部)
millennium parade × 椎名林檎『W●RK / 2〇45』
2019年頃から交流があったという常田大希率いるmillennium paradeと椎名林檎のコラボレーションシングル。TVアニメ『地獄楽』(テレビ東京系)オープニングテーマとして制作された「W●RK」は、現在進行形のUSヒップホップの鋭利なグルーヴ、スタジアムロックの強靭なダイナミズム、そしてJ-POPとしての圧倒的な大衆性を絶妙なバランスで成立させた楽曲。カオスと秩序を同時に感じさせるサウンドを鋭く貫き、日本語を心地よく響かせる椎名のボーカルはやはり圧巻だ。さらにエレクトロニカ、ファンクなどを融合させた「2〇45」も収録。緻密に構築されたトラックのなかでノイズの粒子が光を放ち、抽象的かつ官能的な声と言葉が突き刺さる。研ぎ澄まされた才能がぶつかり合う、きわめて刺激的なシングルだ。(森)
スピッツ『ひみつスタジオ』
通奏低音は“あなたはあなたのままでいい”という切実な思い。リスナー一人ひとりが自身の孤独や寂しさ、誰とも共有できない秘密の感情と向き合いながら、最後は“このままの自分で生きていこう”と思えるのだ、スピッツのニューアルバム『ひみつスタジオ』を聴いていると。スタジオでの親密なセッションを垣間見ているような生々しさ、尊さを感じさせるバンドサウンド、80〜90年代のギターロックを軸にした音楽性も驚くほどに鮮烈。メンバー全員がボーカルを執る「オバケのロックバンド」、民謡をルーツに持つ朝倉さやが参加した「未来未来」など、新たなアイデアを反映させた楽曲も本作の聴きどころだ。すべてが不確かな世界における永遠の美しさを描き出す名曲「讃歌」にも強く心を揺さぶられた。(森)