EXILE SHOKICHIが振り返る『iCON Z』第二章 プロデュースを通して実感したアーティストの個性を育てる大切さ

SHOKICHI『iCON Z』を振り返る

新たに参加したDリーガーやDEEP SQUADメンバーへの想い

――THE JET BOY BANGERZの「RAGING BULL」(作詞:SHOKICHI、Hi-yunk(BACK-ON)/作曲:SHOKICHI、Hi-yunk(BACK-ON)、ALAN SHIRAHAMA、SLAY)は、長めのダンスブレイクが特徴的なアグレッシブなナンバーですが、こちらは?

SHOKICHI:THE JET BOY BANGERZは、『iCON Z』史上最多の10人組グループなので、大人数が集まった時のエネルギーを思いっきり見せられる曲がいいなと思っていて。トラック自体は以前制作してストックしてあったものなんですが、数あるデモの中からこの曲を選んで、彼らに合った歌詞を書いていきました。ダンスブレイクもありつつ、歌唱面で他のグループと大きく違うのは、全員でシャウトをするところですね。さまざまなボーイズグループを見ていて、人数が多い利点はそういう一体感が出せることだと思ったので、あえてユニゾンを多めに入れました。

――ちなみに、今でこそたくさんの方に応援されていますが、第二章の始動が発表された時は、視聴者から少なからず戸惑いの声が上がっていて。Dリーガー5人(田中彰、桑原巧光、伊東弘之助、古嶋滝、佐藤陽)とDEEP SQUADの宇原雄飛さんが所属するTHE JET BOY BANGERZにとっては、特に強い向かい風を受けてのスタートだったと思います。SHOKICHIさんは、その状況をどう受け止めていましたか?

SHOKICHI:僕も最初に「第二章にDリーガーが参加する」と聞いた時は驚いたので、第一章からオーディションをご覧になっていた方の中には、不安を抱いた人もいたと思うんですけど、僕自身はHIROさんの提案を前向きに捉えていましたね。HIROさんはダンスシーンへのリスペクトがすごく大きい方ですし、Dリーガーのみんなが、マイクを握ってアーティストとして活躍したいと思っていることも知っていたので、きっと上手くいくだろうなと。HIROさんの深い愛情とこだわりを信じて、僕も全力でついていこうと思いました。そしてDEEP SQUADに関しては、アーティストデビューをしてすぐにコロナ禍に突入し、思うようにライブができない中で燻っているのを見ていて。彼らの活躍の場を広げるために、HIROさんが声をかけたという経緯があります。そこに第一章から、歌唱力に定評のあるメンバー(マーク エイロン、石川晃多)とダンススキルの高いメンバー(佐藤蒼虎、中村碧)が加わり、10人で一丸となって新たなムーブメントを作っていく。THE JET BOY BANGERZは、そんなグループになってくれればいいなと思っていました。

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――THE JET BOY BANGERZは武者修行もハプニング続きで大変そうでしたけど、リーダーの田中彰さんを中心に、みんなで肩を組んでピンチをチャンスに変えていく姿は、EXILEも辿ってきた道――“EXILE魂”そのものだなと感じました。

SHOKICHI:そうですね。チームワークの良さでなんとか乗り切り、合格ラインを越えるほど、たくさんの人に応援してもらえるグループに育った彼らを見て、この選択に間違いはなかったなと思っています。

――Dリーガーのみなさんにとっては、同時期に開催された『D.LEAGUE』と武者修行の両立も乗り越えるべき課題でしたが、掛け持ちをしながら必死に努力する姿を見ていて、感じたことはありますか?

SHOKICHI:このオーディションに挑戦することを決めたのは自分たちですし、プロとしてステージに立つ上で最大限の努力をするのは当然のことですけど。“兼任”が当たり前のEXILE TRIBEだからこそ、それぞれの追究の仕方がもっと上手くなっていけばいいなと思いましたね。同じ時間をかけて苦労するにしても、ちゃんと成果が出る苦労と、そうじゃない苦労があるので。そこは経験者として、できるだけ上手な努力の仕方をオススメして、みんなを良い方向に育てていけたらいいなと思っています。

――しかも、そういった精神面のケアだけでなく、歌唱面もSHOKICHIさんがメンバー一人ひとりに合ったアプローチを指導しているんですよね。ご自分のアーティスト活動もやりながら、課題曲の制作と21人分のレコーディングを担当するって……ハードすぎでは?

SHOKICHI:(笑)。3曲とも自分が信頼できるクリエイターに力を借りながら制作していたので、曲作りはすごくスムーズに終わったんですけど。確かに、21人分のプリプロをやって、レコーディングをして……っていう作業は大変でしたね。とてつもない時間がかかりました(笑)。というのも、ほとんどのメンバーが初めてのレコーディングで、一から歌声を作っていく必要があったんですよ。だから、まずはみんなの歌を聴いて、「この子はたぶん、こういう喉の形状をしていて、身長から考えても将来的にはこのくらいのキーを出すようになるだろうな。ということは、今はこの歌い方をさせておいたほうがいいな」といったことを考えながら、一人ひとり丁寧にプリプロをしていきました。

――あと、LIL LEAGUEの歌声を聴いた時も思いましたが、今回の3曲に関しても、一人ひとりの歌声の個性が際立っているのが、SHOKICHIさんプロデュースの特色だなと感じました。誰がどこを歌っているかが、音源だけでもわかりやすい。この感想は狙い通りですか?

SHOKICHI:狙い通りです(笑)。従来のボーイズグループは、あえて歌い癖を直して、グループの一体感を大事にする傾向があるんですけど、僕は常々、彼らの将来を考えた時にそれって正解なのか? っていう疑問を抱いていたんですよ。人によっては、癖を直すことで、その子の喉にとって良くない歌い方になるかもしれないし、彼らの可能性を狭めることになるんじゃないのか? って。一音楽好きとしても、僕は「こんな個性的なメンバーが揃ってるんだ、すげぇ!」みたいなグループのほうが、見ていてワクワクしますし。そういう考えに沿ってプロデュースしているので、『iCON Z』のメンバーに対しては、「この子はこういう曲調を歌わせたら上手く歌えるだろうな」「この子はこういう曲は将来的に歌いづらくなるかもしれないな」ということを逐一判断しながら、各々の良い部分を伸ばすための曲作りをしたり、「こういう練習法がいいよ」「こういう曲を聴いておいたら、今後自分の歌に活かせるかもね」といったアドバイスをするようにしていて。課題曲のレコーディングも、さまざまなテクニックを教えて、あえて癖のある歌声で歌わせました。

――SHOKICHIさんって、褒めて伸ばすのがお上手ですよね。

SHOKICHI:TVは良いところだけを切り取ってくれるので、裏では厳しいことも結構言ってますけどね(笑)。初めてのレコーディングは、良くも悪くもいろんなことが鮮明に記憶されるので、かなり慎重に進めました。

――逆にDEEP SQUADの3人は、レコーディング経験が豊富だと思いますが、どのようにアプローチしたんですか?

SHOKICHI:いえ、彼らも他の子たちと同じやり方でしたね。彼らの場合、経験があるようでなかったので。

――……と言いますと?

SHOKICHI:今まではボーカル&コーラスグループとしてバラードを歌うことが多かったので、ダンスミュージックでグルーヴを生み出すための経験が全然足りなかったんです。あと、個性が上手く引き出されていなかったというか、自分の魅力に蓋をしていた部分があって。もちろんコーラスにはコーラスの良さがありますが、僕の中では、同じような歌声でひと繋ぎのメロディを紡ぐよりも、一つひとつ強調された“個”を繋いでいくほうが大事なので。彼らに対しても、個性を伸ばすことを念頭に置いて接しています。

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