櫻坂46が芸人と生み出す化学反応 小林由依の“狂犬”炸裂、武元唯衣の演技力……「人間インストール」が神企画の理由

 『くりぃむナンタラ』(テレビ朝日系)の櫻坂46バラエティ力向上企画「人間インストール」が好評だ。この企画は「バラエティ番組で活躍したい」と意気込みを見せる櫻坂46のメンバーを別室からお笑い芸人たちが遠隔操作するというもので、今年1月に放送された第1弾ではくりぃむしちゅー 上田晋也に操られた櫻坂46メンバーが「流しそうめんの最後にナポリタン流れてきた感じだわ!」と“上田節”の効いた例えツッコミをかますなど、普段の彼女たちからは聞かれないようなフレーズが次々に飛び出し、番組は大きな盛り上がりを見せた。この放送の反響は目覚ましく、見逃し配信での再生数が同番組史上最高を記録。メンバーたちもこの収録は自信になったという。

 この反響を受けて4月19日に放送された第2弾では、お笑い養成所の授業を舞台に、メンバーたちが芸人相手に様々な言葉を畳み掛けた。例えば、上田に操られた小林由依が「私は時代にピンフォール勝ちしたい」と突拍子もなく決め台詞を吐けば、野性爆弾 くっきー!に指示された大園玲が「私は時代にパワーボム」と被せるなど、支離滅裂な発言が飛び交う。くりぃむしちゅー 有田哲平から指示を受けた武元唯衣は勝手にその場を回し始め、井上梨名も「やかましいわ」と周りを一蹴する攻めっぷり。操られたアイドルがガツガツと切り込んでいくこうした姿勢に、遠隔操作している芸人たちは「めっちゃ楽しい」とご満悦の様子だった。総じて、お笑い芸人ならではの自由な発想と、どんな指示にも臨機応変に対応できる櫻坂46メンバーたちの器用さとがうまく噛み合っていたように感じる。

 アイドルが絶対に言わないようなことを、好きに言わせられることで人気のこの企画。出演した4人は、ここ最近数多くのテレビ番組に出演している武元をはじめ、“狂犬”の愛称で親しまれる小林や、メモ芸などの文章センスで一躍グループの人気者となった大園、滑舌の悪さをいじられる井上といった、グループの中でもバラエティで活躍する面々が揃っている。特に武元は、今春始まった櫻坂46の新番組『サクラミーツ』(テレビ朝日)で挑戦したコントにおいて難しい役を見事に演じており、共演したアンガールズから「ビビった」「大満足」と褒められている。こうした演技力の高さがこの「人間インストール企画」でも発揮されたと言えるだろう。

 しかし、何より重要なのが、バラエティに対する櫻坂46の絶妙な立ち位置である。この企画は、名目上は「バラエティ力向上」と謳っているものの、実際にドッキリを仕掛ける側に流れている空気は「こんなにバラエティができるアイドルは嫌だ」という共通認識であり、その中で笑いを生むためにはバラエティができすぎても/できなさすぎてもいけないという、中間的なポジションのアイドルが必要となる。バラエティに達者すぎる人ではドッキリにならないし、まったくできない人がやっても仕掛け人の思い通りに行動できない。その繊細な立ち回りが要求される役割に、櫻坂46のメンバーたちがピタリとハマっているのだ。

関連記事

インタビュー

もっとみる

Pick Up!

「アーティスト分析」の最新記事

もっとみる

blueprint book store

もっとみる