JUNNA、デビュー5周年を経て強まった表現への自信 歌を通して届ける“今までの自分”と“先へ進んでいく自分”
JUNNAから、デビュー5周年記念3rdフルアルバム『Dear』が届けられた。伸びやかな歌唱を活かした楽曲の幅はますます広がり、鷺巣詩郎と初タッグを組んだ「THE END」「星座」をはじめ、JUNNA自ら作詞作曲を手がけた「あやまち」や作詞を手がけた「You + Me = ?」なども今までにないタイプの楽曲となっている。昨年6月に幕を開けた充実したアニバーサリーイヤーを経て、さらに壮大に、それでいて人間味もしっかり表現している今のJUNNAの魅力がたっぷり詰まった作品だ。7月に控えた『JUNNA ROCK YOU TOUR 2023 〜Dear...〜』への意気込みも含めて、本人に話を聞いた。(編集部)
「バラエティに富んだ楽曲を歌うことは変わらない芯」
――昨年6月にデビュー5周年を迎え、そこからアニバーサリーイヤーを駆け抜けてきたJUNNAさんですが、充実した活動が続いていますね。
JUNNA:5周年を迎えた当日にライブをやらせていただいたんですけど、周年の記念日にファンの方と直接会う機会は初めてだったので本当に嬉しかったです。その後は初めてドラマ(東海テレビ・フジテレビ系全国ネット土ドラ『個人差あります』)の主題歌を担当させていただき、『JUNNA Acoustic Live Tour 2022〜「純喫茶」Birthday Special〜』という初めてのアコースティックのツアーを回ることができて。海外のイベントにも久しぶりに出演させてもらえましたし、常に動き続けていた感じでしたね。
――この5年間で築き上げてきたものを改めて噛み締める瞬間もあったんじゃないですか?
JUNNA:そうですね。みんなに直接「おめでとう」を言っていただけると、5周年を迎えられたことを強く実感しましたし、同時にみんながいてくれたからこそしっかり歩んでこれた5年でもあったんだなって強く感じました。
――先ほどお話に出たアコースティックスタイルでのライブはいかがでしたか?
JUNNA:すごく楽しかったです。生楽器のみでアコースティック編成でのライブは初めての試みだったんですけど、公演ごとに曲のリズム感やテンポ感が変化していくのがおもしろかったし、それに合わせて自分の歌い方がどんどん変化していくこともあって。そういった空間を体験したことで、ライブの中で“遊ぶ”という感覚を覚えられた気がするというか。今までのライブはやりたいことを自分でしっかり決めて、それを確実にこなしていくのが自分のスタイルだったんです。でも、『純喫茶』を経てライブをやっている中で生まれた、その時々の表現……例えば急にフェイクを入れてみたり、歌の節回しを変えてみたりといったことを自由にやってみてもいいんだなって思えるようになったんですよね。――その感覚は通常スタイルのライブやレコーディングでも活かせるかもしれないですよね。
JUNNA:そうだと思います。『純喫茶』が終わった後、今年の1月に日本武道館でのイベントに出させていただいたんですけど、そのときは「めっちゃ楽しんでたね!」っていろんな方から言ってもらえて。その感想は自分にとってすごく新鮮で。今まで以上に心から音楽を楽しめている自分の姿をみなさんにも伝えることができるようになったのは、『純喫茶』を経て手に入れた変化かもしれないですね。
――いろんな活動と並行して楽曲制作もずっと続けていたんですか?
JUNNA:はい。前作(2ndフルアルバム『20×20』)のリリース後、すぐに「海と真珠」の制作に取り掛かっていましたし、1年くらい前からはアルバムを見据えて新曲を作り始めてもいたので、ずっと止まらずに制作していましたね。だから今回のアルバムが約2年3カ月ぶりっていうことにちょっとビックリして。「え、もうそんなに経ってたんだ」みたいな(笑)。
――3枚目のアルバムはどんな内容にしたいと思っていましたか?
JUNNA:私がアルバムを作るときに一番大切にしたいのは、バラエティに富んだ楽曲を歌いたいということなんです。そこは常に変わらない芯というか。その上で、今作は5周年イヤーに発売することが決まっていたので、この5年間でご一緒した方々はもちろん、新しい方々とも楽曲を作りたいという思いがありました。それによって“今までの私”と“これから進んでいく私”を表現したいなって。
――サウンド的なアプローチとして今回やってみたかったこともありました?
JUNNA:それは2つあって。1つはめちゃめちゃジャジーな、ショーが始まるような雰囲気の曲。もう1つは壮大なバラードを歌いたいっていう気持ちがあって。その結果、生まれたのが「THE END」と「星座」ですね。
――「THE END」に作曲とアレンジを手掛けられた鷺巣詩郎さんは初顔合わせになりますね。
JUNNA:はい、今回初めてご一緒させていただきました。制作にあたってはディレクターさん経由で私のイメージを鷺巣さんにお伝えしてはいたんですけど、「もうちょっと具体的な話を直接聞きたい」と言っていただいて、リモートで打ち合わせさせていただいたんですよ。そこで私は、ピンクや紫の照明の中、ハイヒールを履いた大人な女性が歌って踊っているイメージを持っていることをお伝えしました。
「“私のバラードが好き”と言っていただけることが増えた」
――まさにその通りな仕上がりになっていますよね。レコーディングはいかがでしたか? 冒頭からJUNNAさんの歌声に圧倒されますが。
JUNNA:元々、最初のアカぺラの部分はなかったんですよ。でも、一通りレコーディングが終わった段階で、ディレクターさんと鷺巣さんのアイデアで急遽加えることになって。自分的には歌い方に関してまったく迷いはなくて。イメージを自分の中に降ろして、「私は最強なんだ!」って思いながら歌いました。
――今のJUNNAさんだからこそ表現できたボーカルかもしれないですね。
JUNNA:そうですね。この曲に限らず、昔ならちょっと背伸びをして歌わなきゃいけなかったであろう楽曲が今回はすごく多かったんですよ。でも、最近は年齢を重ねたことで表現の幅もどんどん広がっていると思うし、今のJUNNAとして表現したいものも明確に出てくるようにはなりました。
――一方、アルバムのラストを飾るバラード「星座」は、本当に壮大で感動的な仕上がりになっていますね。
JUNNA:いただいた楽曲が壮大で、「果たして私に歌えるのだろうか」って思ったくらいだったんですけど(笑)。この曲も事前に鷺巣さんと打ち合わせをさせていただいて。大きな舞台でスポットライトを全身に浴びながらオーケストラを背負って歌っているイメージ、1人で凛と歌っているイメージをお伝えしました。
――歌詞の内容がすごく素敵です。そこに関してJUNNAさんから何かオーダーは?
JUNNA:歌詞に関しては、恋愛にフォーカスしすぎるのはちょっと違うかなというイメージがあったくらいで、それ以外は特にオーダーはしませんでした。2人の主人公の間にある関係性を感じさせる内容ですけど、限定された描き方ではないので、聴く人ごとに想像する相手が違ってくると思うんですよ。そういった意味でもアルバムの最後に相応しい曲になりました。
――JUNNAさんとファンの関係性が思い浮かぶ歌詞でもありますよね。
JUNNA:はい。レコーディングでは、聴いてくださるみなさんのことを思いながら歌わせていただきました。とはいえ、限定させることなく、友達や家族のこととしても聴いてもらえるような表現を心掛けましたね。
――JUNNAさんはロックなイメージが強いですけど、今後はこういう壮大なバラードで見せる表情も大きな柱として確立されていきそうですよね。
JUNNA:この5年間で私のバラードが好きと言っていただけることがすごく増えたんですよ。そういったみなさんの声が自分の中の支えになったからこそ、今回はここまで壮大なバラードに挑戦することができたんだと思います。ここで得た手ごたえをもって、今後もこういった表情のJUNNAをもっともっと届けていきたいですね。
――「星座」の歌詞にも通ずると思いますけど、今回のアルバムに『Dear』というタイトルを掲げたことにも強い思いがありそうですよね。
JUNNA:当初は違うタイトルを考えていたりもしたんですけど、「Dear」という表題曲が完成したときに、この“Dear”という言葉こそが5周年を記念したアルバムにふさわしいものなんじゃないかなって思えたんですよね。“親愛なる”といった意味を持ち、相手への尊敬を持って使う言葉を、私の5年間を支えてくださったみなさんに贈ることはすごく大切なことなんじゃないかなって。そんな思いを込めてこのタイトルにしたんです。