2023.04.22 12:00

JUNNA、デビュー5周年を経て強まった表現への自信　歌を通して届ける“今までの自分”と“先へ進んでいく自分”

文・取材＝もりひでゆき、写真＝梁瀬玉実

泣きながら歌った！？　新感覚のボーカル表現

――アルバムの1曲目に収録されているのが表題曲「Dear」。放送中のTVアニメ『魔法使いの嫁 SEASON2』（TOKYO MXほか）のオープニングテーマになっています。『魔法使いの嫁』とはSEASON1のオープニングテーマだった「Here」に続き、2期連続のコラボになりますね。

JUNNA：2度目のオープニングテーマということで、「Here」の続編的な意味合いの曲にしたい思いがあって。そこで前回同様、作詞を岩里祐穂さん、作曲編曲を白戸佑輔さんにお願いすることにしました。「Here」に少し似ているエッセンスがありつつ、まったく違った聴き心地を持った曲になったのが嬉しかったですね。

――ボーカル面でも前作との違いはしっかり表現されていて。

JUNNA：そうですね。「Here」の時はまだ誰にも心を開いていない主人公・羽鳥チセの内に秘めた思いを歌声で表現しようと思ったんですよ。でも今回は、身の回りの人たちだけでなく、広い世界でたくさんの人々に出会っていくチセの姿が描かれていくので、歌に関しても内に秘めた思いはしっかり意識しつつ、外に向けて気持ちを広げていくような感じで歌っていきました。

JUNNA 「Dear」 Music Video (Full ver.) (TVアニメ「魔法使いの嫁 SEASON2」オープニングテーマ)

――ちょっと異国ムードが漂うサウンドがおもしろいですよね。

JUNNA：白戸さんの作られる楽曲はそういう雰囲気のものが多いような気がします。毎回それがおもしろいし、自分としても挑戦だなって思いますね。このサウンドに合うのはどんな歌だろうって、楽しみながら考えられる曲です。

ーーサウンドに合わせ、パートごとで表情の異なるボーカルが響いています。個人的にはサビに向かう前のBメロのニュアンスがすごく好きで。

JUNNA：ありがとうございます。そこのパートは自分でもすごく意識して歌ったんですよ。内に秘めた思いを自分に言い聞かせているようなAメロを経て、Bメロでは曲の雰囲気も大きく開けた感じに変わるので、歌でもちょっと自由になっている表情を出そうと思ったんです。笑顔で歌っているイメージですね。

――“笑顔”というキーワードが今出ましたけど、「あやまち」という曲ではJUNNAさんの“泣き”の表情が堪能できます。これ、本当に泣きながら歌ってますよね？

JUNNA：バレました（笑）？　いや、実際にどうだったかはご想像にお任せしますが、そういうニュアンスが伝わったらいいなというのが「あやまち」を歌う上での一番のテーマだったんですよ。そこが伝わっていて嬉しいです。

――この曲はJUNNAさんが作詞作曲されたラブソングです。

JUNNA：「JUNNAの人間性が見えるラブソングを作ってほしい」というスタッフさんのリクエストに応えて作り始めたんですよ。私は基本ネガティブな人間というか。ステージ上の私は前向きな人に見えているかもしれないのですが、実際そういう部分もあるけど、毎日前向きな気持ちで生きられるわけではなくて。ネガティブなことを考えることもあるし、イヤだなって思うこともいっぱいある。なので、そんな部分も持った私の人間性が見えるようなラブソングにしようっていうのが一番のテーマでしたね。サウンドも歌詞に合わせて、そんなに明るくないアプローチにしました。

――すごく人間味のある曲だと思います。

JUNNA：相手のことが本当に大好きで忘れられないんだけど、でもこの関係を続けてはいけない。あなたにも幸せになってほしいし、私も幸せになるねっていう内容です。揺れ動く気持ちがありながらも、最終的には温かくて優しい気持ちが浮かび上がってきたらいいなって思っていましたね。歌詞は結構悩みました。

Dear Special Session 「あやまち」 JUNNA × 中村タイチ

ーーご自身の詞・曲でこういったラブソングを歌えるようになったのもまた年齢を重ねたからこそですよね、きっと。

JUNNA：そうだと思います。自分でラブソングを書くと、「JUNNAはこういう恋愛をしてるんだな」って思われちゃうところもあるじゃないですか。だから今まではずっと躊躇していたんですよ。でも20代になって、みんなにJUNNAのいろんな側面を知ってもらいたいタイミングでもあったので、今回は覚悟を決めて書きました（笑）。この曲はファンクラブのイベントですでに披露したんですけど、思いのほかファンクラブのみんなの反応がよくて、私としてはめっちゃ嬉しいです。頑張って作った甲斐があったなって。

――泣いているボーカルについては？

JUNNA：今までやったことがなかったので、ひとつの挑戦として楽しかったです。最初は普通にさらっと歌っていたんですけど、泣くことを意識した結果、すごくいい仕上がりになりました。雰囲気を作るためにボーカルブースのカーテンを全部閉めて、照明もほぼ消した状態で歌ったのもよかったんだと思います。歌い終わってブースを出たとき、ディレクターさんにも「本当に泣いてたよね？」って言われましたね（笑）。

初めて挑むような曲調も満載に

ーー今回、初顔合わせとなったクリエイターで言うと、「振レバ、雨傘。」の作詞作曲を手掛けたs-numさんや、「春の夢」の作詞作曲編曲を手掛けたn-bunaさんがいますね。

JUNNA：s-numさんはディレクターさんからの熱い要望でご一緒させていただくことになって。「振レバ、雨傘。」のちょっとボカロ曲っぽい雰囲気は私にとって初めての挑戦でしたね。最初にいただいた曲のキーがめっちゃ高かったんですけど、この曲の雰囲気を崩さないためにそのままのキーで頑張って歌わせていただきました。レコーディングでは一本調子にならないように息を混ぜて歌ってみるとか、s-numさんが私のクセを尊重したディレクションをしてくださったのがありがたかったです。JUNNAとしてはかなり新しさを感じてもらえる曲になったと思います。

ーー「春の夢」は、オリジナルショートアニメ『冬のおくりもの』の主題歌として制作されたんですよね。

JUNNA：n-bunaさんに作っていただいたこの曲もまた、今までに歌ったことがないタイプでしたね。シンプルではあるんですけど、そこにしっかりと乗っている温かさをどう表現するかはかなり悩みました。タイトル通り、本当に春という季節にピッタリの曲になっているので、今の時期にリリースできてよかったなって思っています。実はこの曲、2021年にやった生配信ライブで一度歌っているんですよ。なのでファンの方は「あの曲は何なんだろう？」とずっと思ってたはずで（笑）。2年越しでようやくその答え合わせができたのも自分としてはすごく嬉しいです。

――ボーカルのレコーディング自体もその頃にやっていたんですか？

JUNNA：そうなんですよ。めっちゃ前に録りました。だから今聴くと、「声が若いなぁ」って思いますね（笑）。ライブでは今の私として歌うので、きっとまた違った感じに受け取ってもらえると思います。その辺りも含めて楽しんでもらえたら。

――もう1曲、JUNNAさんが作詞を手掛けた曲もありますね。ライブでの楽しい景色が見えてくるポップチューン「You + Me = ?」です。

JUNNA：まさにライブの定番曲を作れたらいいなと思ったんですよ。もちろん今までの曲で定番になっているものもあるんですけど、私の曲って急にリズムや拍子が変わったりする曲がわりと多くて。初めて私のライブに来てくれた人がたまにノリ方が難しくて戸惑ってる様子を実際に見ることがあったりしたんです。なのでこの曲は初めてライブに来た方でも絶対にノれるようなシンプルでポップな曲にしようと思いました。歌詞に関しても、そんなに深い意味を持たせるのではなく、音で遊んでいるようなテイストで書いていきましたね。もちろんライブに対する私の思い、みんなに対しての思いを込めているのですが、あまり難しいことは考えず今の一瞬を一緒に楽しみ尽くせたらなっていう気持ちで書きました。みんなでシンガロングしたい！

――7月6日からスタートするツアー『JUNNA ROCK YOU TOUR 2023 〜Dear...〜』がより楽しみになりますね。

JUNNA：本当に楽しみです！　今の状況のままいけばきっと声出しができると思うんですよ。コロナ禍で制作していた楽曲にはみんなの声が聞きたくなるものも多いので、ライブでそれが実現すれば、そこでやっと楽曲が完成したって思えるんじゃないかなって。先に宣言しておきますけど、『Dear』の曲は全曲やります！　これまでの曲と組み合わさることでどんな景色が生まれるのかを楽しみにしていてほしいですね。アルバムには歌うのが難しい曲がたくさんあるので不安も大きいですが（笑）、それを乗り越えた時にまた新しい自分に出会える気がしていて。それも今から楽しみですね。

■商品情報
JUNNA
2023年4月12日（水）発売
デビュー5周年記念3rdフルアルバム『Dear』

・初回限定盤（CD+Blu-ray）：￥6,930（tax in）
※特製スリーブケース仕様（ヤマザキコレ描きおろしJUNNAオリジナルイラスト）
・通常盤（CD）：￥3,300（tax in）

＜CD収録曲＞
01. Dear
02. 海と真珠
03. 振レバ、雨傘。
04. 曖昧な2人
05. あやまち
06. 春の夢
07. 太陽の航路
08. THE END
09. 風の音さえ聞こえない
10. REVOLUTION
11. You ＋ Me = ?
12. 星座
BONUS TRACK ※初回限定盤のみ収録
13. 革命のメロディ
14. the route of the sun

＜Blu-ray収録内容＞
01. オリジナルショートアニメ『冬のおくりもの』
02. Music Video「Dear」
03. Music Video「風の音さえ聞こえない」

『JUNNA ROCK YOU TOUR 2021 〜20才の夏〜』
2021年8月19日 Zepp Haneda(TOKYO)にて収録
04. Opening
05. FREEDOM〜Never End〜
06. Steppin’ Out〜extended version〜
07. La Vie en rose
08. MC1
09. あばよイエスタデイ
10. Sleepless
11. コノユビトマレ-20×20 ver.-
12. MC2
13. 波打ち際
14. Here
15. MC3
16. いま
17. Sky
18. 火遊び
19. Believe In Myself
20. Now or Never
21. MC4
22. We are
23. 世界を蹴飛ばせ!
24. Vai! Ya! Vai!
25. 我は小説よりも奇なり
26. イルイミ
27. MC5
28. 海と真珠
29. MC6
30. はじまりの唄
31. Ending