オープン迫る新宿・東急歌舞伎町タワーの全貌が明らかに Zepp Shinjukuのみならず、全館に配された“音響・演出のこだわり”

東急歌舞伎町タワーの全貌が明らかに

 新宿・東急歌舞伎町タワーが4月14日よりオープンする(ホテル部は5月19日より)。それに先駆けてメディア向けの説明会と内覧会が行われた。その模様を音楽面に着目しながら以下にレポートしたい。

 「次なる文化の発信地は新宿だ」という声をちらほら聞くが、その起点となるのが本タワーだろう。エリア最大級のライブハウスやクラブ、ハイスペックな映画館、ミラノ座を継承する劇場を有する地上48階/地下5階/塔屋1階/約225mの超高層複合施設だ。上層階半分がホテルで中間階はレストラン、さらに地下へ向かいエンタメスポットが続く。立地はTOHOシネマズ新宿に向かって左側。ここから街の景色が変わっていくのだろうか。

 説明会は地下1階のZepp Shinjuku (Tokyo)にてスタート。TSTエンタテイメント代表取締役社長・木村知郎氏が挨拶の後に、歌舞伎町1丁目地区開発計画(新宿TOKYU MILANO再開発計画)の概要を話した。集客力強化、にぎわいの創出、アクセス性の向上、回避性の強化を進めることで、歌舞伎町を世界のエンタテインメントシティにするという。

木村知郎氏

 タワーの外装は建築家・永山祐子によるもの。街で祀られている歌舞伎町・弁財天が水の神であることから、「噴水」をイメージしてデザインしたそうだ。さらにコンセプトは「“好きを極める”場の創出」、開業に当たってのキャッチコピーは「DIVE IN さあ、好きを極めよう。」に決定。さらに「極めた『好き』で街や文化、多様性を紡ぐことで歌舞伎町の未来を作り上げたい」と説明した。

 完成に関しては「工事期間中にコロナ禍に襲われ、計画を変更してきた経緯がある。この逆境を追い風に変え、新しく立ち直っていくシンボルとしてタワーを作っていくんだと、事業者や工事関係者が協力して進めてきました」とした。

新宿カブキ hall ~歌舞伎町横丁

 続いて行われた内覧会で、最初に驚いたのは音響へのこだわりだ。2階のフードホール「新宿カブキhall ~歌舞伎町横丁」ではデジタル音響システム「Dante」を使用してPioneerのスピーカーが鳴っており、筆者が入店した際はNewJeans「OMG」が流れていた。ここでは毎晩、DJがセレクトしたJ-POPやK-POP、昭和歌謡などの音楽が聴けるそうだ。

 9、10階の「109シネマズプレミアム新宿」には、全シアターに故・坂本龍一が生涯キャリアで唯一監修を務めた映画音響「SAION -SR EDITION-」が実装されている。

109シネマズプレミアム新宿

 これは既存のシステム「SAION」を向上させたもので、坂本が実際に監修したのは数年ほど前のこと。関係者によれば、彼は「スピーカーでも、なるべく自然に近い音にこだわりたい」と話していたそうで、システムに冠された「SR」は「Super Real」の略だ。

109シネマズプレミアム新宿

 特に注力していたのは使用するケーブルだったという。オファーの決め手は彼の出身高校や映画を観ていた地が新宿で、場所に縁があったこと。館内のBGMも坂本によって書かれたもので、雑踏から離れて映画に集中するための「耳を開く」音楽として作曲されている。

JAM17

 ホテルと娯楽を繋ぐ17階は、ダイニングやバーなどの社交場「JAM17 DINING & BAR」。ネーミングは音楽のジャムセッションのように人が交わるイメージからで、入口の外壁には新旧名盤のジャケットがずらりと並ぶ。

JAM17

 またターンテーブルにセットされていたレコードが、ジョン・コルトレーン『My Favorite Things』、ロバート・グラスパー『Black RadioⅢ』だったことを考えると、ジャジーな雰囲気で過ごせる場所になるに違いない。

JAM17

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