來-Ray-×二ノ宮はぐ×YAMAADに聞く、リアルと仮想を区別するSTUDIO KyoUの画期性 長期活動できるVアーティストの在り方

インターネット上で歌っていることは私にとって当たり前(二ノ宮)

「時間」- 二ノ宮はぐ-Music Video

ーーそこでひとつ疑問なんですけど、すべての活動をリアルに振り切るのではなく、バーチャルな部分を残しておく理由はどこにあるのでしょうか?

YAAMAD:そこに関しては、まず來-Ray-とはぐの2人がネットミュージック出身だからというのがひとつの理由ではあります。すでにバーチャル上での活動を展開しているわけなので、そこをこのプロジェクトにおいても発展させない手はないぞと。あともうひとつ。今、ネットミュージックの1番のボリュームゾーンは、10代半ばから20代前半ぐらいの方たちだと思うんです。その世代は、その上の世代と比べてネット環境がすごく身近にある。そこにアピールするためには、やはりバーチャルな見せ方は外せないものなんですよね。戦略的な話で言えば、SNSを使ったマーケティングや交流のしやすさもありますし。リアルアーティストと比べて、ネットとの距離感が近いところは大きな武器だなと。

來-Ray-:歌い手を始める前はカラオケに行って友達に自分の歌を聴いてもらうくらいがせいぜいでしたけど、ネットでの活動を始めてからはリアルでは出会えなかったであろう本当にいろいろな方に歌を届けることができていて。しかも録音した曲をすぐにパッとアップすることができてしまうわけで。その伝えやすさ、みたいな部分においてネットっていうのは大事な場所ではありますよね。

二ノ宮はぐ:うん。リアルだけの世界では到底出逢うことのなかった人や、海の向こうの人たちにも歌を届けられるというのは本当に素敵なことだと思いますね。それに、ネットという場はもはや自分の人生から切り離せないものになっています。生身だけでやらない理由はなんですかって聞かれたら、逆に生身でしかやらない理由はなんですかって聞きたくなっちゃうというか(笑)。それくらいインターネット上で歌っていることは、私にとって当たり前なんです。

ーーちょっと意地悪な質問かもしれないですが、STUDIO KyoUの方向性で行くと、バーチャル上でのアバターと生身の姿にギャップが生じてしまう可能性もあると思うんですよ。それがポジティブに働くことはもちろんあるでしょうけど、その逆もまたあるのかなと。

YAMAAD:確かにギャップが生まれるのは当然と言いますか。ただ、そういったギャップはネットミュージックが始まる前からあったことだと思うんです。例えばレコードやCDを通して好きになったアーティストが、ライブで実際に見てみたらちょっとサウンドの印象が違っていたり、アーティスト写真と実物で雰囲気が変わる、みたいな。大なり小なりそういったギャップが生じていてもなお、音楽というものは歴史の中でどんどん発展してきたと思うので、STUDIO KyoUにおいてもそこは大きな問題にはならないはずなんですよね。例えギャップがあったとしても、それを新たな來-Ray-像、二ノ宮はぐ像として受け取ってもらい、より好きになってもらえるような仕掛けをリアルではたくさん盛り込んでいこうと思っています。XR要素をあえて持ち込まないと決めたリアルライブには、最大限の価値を詰め込むつもりなのでぜひ楽しみにしていて欲しいです。

ーー來-Ray-さん、はぐさんもそこに怖さはないですか。

來-Ray-:いやーそこはもう腹くくったもんね?

二ノ宮はぐ:(笑)。

來-Ray-:プロジェクトが動き出して、ここまで来ているわけだし。来るもの拒まず、なんでもやってやろうっていう。どんな反応が起こるのかすらも楽しみでしかない。

二ノ宮はぐ:そうだね。私はテレビのオーディション番組に出たこともあったので、バーチャルとリアルのギャップに関してはそこまで嫌悪感はないんですよ。なので大きい船に乗った気持ちでいます。

ーー昨年11月に動き出したSTUDIO KyoUはここまで毎月配信リリースを重ねています。來-Ray-さんの「フィグ」「Domino Mask」、はぐさんの「殺されたい」「時間」という既発曲を聴かせていただくと、それぞれの異なる個性を強く感じることができますね。

YAMAAD:2人とも全然タイプが違うんですよ。歌い方も音域も得意なジャンルも全然違っていて。來-Ray-は独特な歌い回しや言葉の発音の仕方にこだわりが強くあるし、はぐに関してはコーラスワークやハイトーンの出し方、あとはこれまでの歩みの中で培った英語力みたいな部分をすごく大事にしている。ありふれた言い方ですけど、本当にアンニュイと言うか、ものすごく個性があるんですよね。さらに言えば、テクニックよりも前に、「私はこうしたい!」という意志がちゃんとあるのも素晴らしいところで。歌い手としての活動の中で築き上げてきたシンガーとしてのコアがしっかり形成されていると思います。

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