NAO AIHARA、『ヨルヤン』経たメジャーデビューから1年の葛藤と気づき 「止まっていた時間を巻き返せるように動きたい」

NAO AIHARA、メジャーデビューからの葛藤

 昨年3月にシングル「lighthouse」でデビューしたNAO AIHARAが、ニューシングル『refrain / as is』をリリースした。ダークな雰囲気をまとった硬質ダンストラックだった「lighthouse」から一転、今回の2曲は軽妙洒脱な仕上がりでイメージを一新。R&Bやジャズなど多彩なサウンドを遊び心いっぱいに取り入れ、めまぐるしく展開が変わっていくカラフルなトラックは、ヒプノシスマイクや宮川大聖、YouTuberや歌い手グループなどにも楽曲提供をしているケンカイヨシと真坂ユキタカが手がけている。

 リリックは2曲とも自分への問いかけをテーマにしているが、NAO AIHARAはどんなことを思い、歌ったのか。デビューから1年の間に起きた内面の変化も含めて語ってもらった。(猪又孝)

人との関わり方、向き合い方を見直す1年

NAO AIHARA
NAO AIHARA

ーーデビュー曲「lighthuose」から約1年立ちました。まずは「lighthouse」を出してみて、どんなことを思いましたか?

NAO AIHARA(以下、NAO):嬉しかったのが一番ですね。それまでのイメージと違う曲だったので、リリースする前は不安とか、大丈夫かな? と思っていたんですけど。ひとりで路上ライブで活動していたときは、バラードを多く歌っていたんです。友達とかは、私がラップやヒップホップを好きなことを知っているから、「lighthouse」のような曲調でも「NAOっぽいね」と言ってくれるんですけど、路上ライブを通じて知ってくれた人からすると「お? そっちの方向に行ったか」みたいな。それで不安もあったんですけど、出してみたら、やっぱり自分はこれだという思いが強かったから、逆に振り切れました。

ーーデビューシングルから一年空きました。

NAO:新しい楽曲の制作は去年の夏頃から始めていたんです。でも、プリプロを何度もして、こっちじゃない、あっちじゃないとトップラインを修正してもらったりトラックアレンジを考えたりと。時間はかかっちゃいましたが、アレンジャーさん含めスタジオで色々試しながら進めていったんです。

ーー昨年の大晦日、Instagramに「今年は1番環境の変化があった年」と投稿していました。どんな変化があったんですか?

NAO:曲を出させてもらって、アーティストの知り合いも増えて、いい意味で刺激を受けたんです。もっと頑張らなきゃと思いつつ、自信がないと思うこともあって、感情の浮き沈みがあった1年でもありましたけど、自分の好きなことも明確になってきた1年だったんです。

ーー同じ投稿に「自分にとって良いと思うこと少し嫌だと思うことも吸収し」とありました。少し嫌だなと思うことは何だったんですか?

NAO:人との関わりですね。これまでは嫌なことがあっても逃げてはいけないと思っていたんです。でも、環境を変えることは決して逃げることではないと気づけた。これってマイナスだなと自分で思ってしまうと、きっとそれはマイナスに働いてしまうから。その気づきが学びになったので、インスタに書いたんです。人との関わり方とか、向き合い方を見直す1年にもなりました。

ーー今回のシングルは、どのように制作が始まったんですか? 

NAO:「lighthouse」を作っているときから、次にリリースする曲を制作していたんです。でも、その曲が少し違うかもな? となったタイミングで、今回制作に参加していただいたケンカイヨシさんが私のインタビューを読んでDMをくださって。そこから一緒にやろうということになって、幾つかトラックを聴かせてもらったんです。その前に制作していた楽曲の雰囲気に通じるようなトラックもあったので、聴かせてもらった中から「いいな」と思うものを2曲絞って制作を始めました。

ーーケンカイさんのトラックを聴いたときにどんな第一印象を持ちましたか?

NAO:個性的でトリッキーで、色が強いなという印象でした。「refrain」は、最初はもっとかわいい感じ、ポップな感じだったんです。「as is」は音数が多めのトラックで、ケンカイさんらしさが爆発したトラックでした。テンポも速かったので少し遅くしてもらって。あと、もともとのトラックは低音があまり出ていなかったんです。だから、自分の声と分離しちゃうんじゃないかと思って、キックの音を強めに出して、深さが出るようにしてもらいました。

ーー今回は2曲共キャッチーで軽やかな曲調ですよね。「lighthouse」がどっしり固い木綿豆腐だとしたら、今回はさらりつるりの絹ごし豆腐みたいな(笑)。歌声や声色もふんわりエアリーに変わりました。

NAO:もともとこういう歌い方はできるんですけど、声色はあえて前回と変えてみました。「lighthouse」は強い思いだったり、緊張感だったり、「やってやるぞ」っていう感情を大事にした歌い方をしたんです。今回は2曲とも展開がめちゃくちゃ多い曲なので歌うのは難しかったですけど、普通に歌うとのっぺりするので、いい意味で自分のクセも出しつつ、大切なワードのところはちゃんと声に感情を乗せて歌いました。

ーー歌詞に話を移すと、「refrain」はどんな思いを書いたんですか?

NAO:友達の恋愛相談を聞きながら、自分はちゃんとした恋愛ができるのかな? とか考えながら書きました。そこから、ちゃんと人生楽しめるかな? と考え始めちゃって、どんどんあふれてくる気持ちが歌詞になりましたね。

ーー歌い出しの〈キミの言葉 「綺麗だね」って 突き刺すことも 知らないで〉というフレーズが印象的でした。これはどういう状況を描いているんですか?

NAO:中身を見ないで、“可愛い”とか“きれい”だけですべてを決めることが世の中には多いなと思っていて。その気持ちから書いた歌詞なんです。その頃、ルッキズムについて考えていて、色々な記事を読んで興味があったんです。友達は「『君って可愛いね』と言われるんだよね」と話してくるけど、自分はどうだろ? そう言われるかな? っていう思いもあるし、外見で決めてもらいたくないっていう思いもある。どっちにしろ自分に自信がないぶん、その言葉が刺さるっていうことなんです。

ーー友達の話がプレッシャーになってる感じもあるんですか?

NAO:それもあるし、私はヒロインになれないかも? という不安も描きたかったんです。友達のことを「大丈夫だよ」と励ましてはいるけど、自分はどうなんだろ? みたいな。そうやって深く考えていった先が、2曲目の「as is」に繋がる流れになってるんです。それこそ〈メイクを変えたからって/それがなんなんだ〉って書いてますし。

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