Tielle、音楽に託した希望への祈り 3度目のワンマンライブで垣間見えたアーティストとしての本質

Tielle、3度目のワンマン公演レポ

 澤野弘之によるボーカルオーディションで見出されたシンガーのTielle(チエル)が、3月4日に東京・KANDA SQUARE HALLにて、自身3度目となるワンマンライブ『Light in the Dark』を開催した。

Tielle

 開演前の場内には泡の音が薄く流れていた。開演時間を迎えると場内が暗転。両脇の壁には大きな木の影が映し出され、先ほどまで泡と感じていた音は水が流れる音へと変わり、まるで森の奥深くに佇む静かな湖の畔にいるような感覚に陥ったところで、バンドに続いて、Tielleがスタンドマイクの前へと歩みを進め、ピアノ伴奏のみで「good girl」を歌い始めた。2番でピアノがエレキギターになり、ベースとドラムも加わったバンドサウンドに乗せて、祈りや願いを込めた歌声をエネルギッシュに響かせると、「Beyond」ではリバーヴが効いた歌声によって眩い光を放った。

 マイクの前には6枚羽根の天使を思わせるモチーフが飾られており、彼女の顔を見ることはできなかったが、最初のMCで「みなさんのお顔を見たいので」と話しながら、スタンドマイクを外した。ジャケットやMVで顔を出さずに活動することで匿名性と無国籍感が強く打ち出されていた彼女の等身大の姿がはっきりと浮かび上がり、観客との距離は一気に縮まった。そして、「大人の二人の恋がうまくいかない。そんな曲です」と語った「trying」ではポップでグルーヴィーなラブソングに合わせて観客が手を左右に振って盛り上がるほどの親密なムードを作ったが、「告白」では一転して、激しくダイナミックなボーカルで空間を拡大。ろうそくの火が揺れる中で歌われた「GHOST」ではさらにローからハイ、ウィスパーからシャウトと、激しさと優しさが交互に訪れる起伏に富んだ表現と迫力のある歌声で観客を圧倒した。

 1stアルバム『BEYOND』からの5曲、1stミニアルバム『CONTRAST』のラストナンバーを経て、いよいよ2ndミニアルバム『Light in the Dark』の世界へと突入していった。Survive Said The ProphetのyoshとともにTielleの楽曲の作詞・作曲・プロデュースを務めるプロジェクトチーム「The Hideout Studios」の一員であるDAIKIのピアノ演奏によるインストナンバー「Noir.」、ピアノと歌のみで海の奥深くへとゆっくりと沈んでいく様を繊細な音で表現した「In the Dark」。そして、アニメ『BASTARD!! 暗黒の破壊神』のEDテーマとして書き下ろしたヘヴィーでハードなメタルロック「BLESSLESS」で再び強烈なベースとドラムが加わり、生と死、愛と憎しみの間で揺れる混沌した感情を生々しく攻撃的な歌声で解放。乱調の中で愛を見つけ出したラウドな楽曲に続くEDM調のロックナンバー「Misfit」では場内が明るくなる中で、Tielleは笑顔を見せながら、“I Love You”というハンドサインとハートマークを観客に届けながらステージを去ると、場内からは温かい拍手が湧き上がった。

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