Swagcky、音楽作りで重要視する“思いやり”精神 自身初のバズソング「ふりだし」に込めた想い

曲作りで大事なのは「思いやり」であり「コミュニケーション」

ーー「居場所」はいつの間にかできたわけではなくて、自分で切り開いていった先にあったわけですね。

Swagcky:そうなんです。でもそれも、さっきおっしゃったように自分で退路を絶ってしまったからそうせざるを得なかっただけなんですけどね(笑)。今思えば行動力があったなと感心しますが、その時は正直何も考えてなかったです。ただがむしゃらに「今やるべきことをやらなきゃ!」って。

ーーでも、自分が持っているものと持っていないものをちゃんと見極めるところは、最初に話したプロデューサー的な目線にもつながるなと思いました。

Swagcky:個人的な野望としては、アーティストとして目指しているところまでやり切って、ゆくゆくはプロデュースワークもやってみたいなと思っています。自分が今、客観的にどういう立ち位置にあり、どういうふうな人たちに刺さっているのか考えながら。ひょっとしたらビジネスライクに聞こえるかもしれないですけど、その根本にあるのは僕は「思いやり」なんですよね。

 例えば自分が何かものを頼みたいとき、それをどうやって伝えれば相手が引き受けてくれるのか。たとえ言語を用いてなくても、それって結局のところコミュニケーションだと思うんです。アーティスト活動も人とのコミュニケーションの一環であり、自分のやりたいことや届けたいものがどう伝わっているのかを考えなければならない。

ーーたんに作品を一方通行で出すのではなく、それを受け取った人とのコミュニケーションが成立してこそ「アーティスト活動」であると。

Swagcky:おっしゃる通りです。

ーーそういう客観性みたいなものは、いつ頃からSwagckyさんの中で育まれていったのでしょうか。

Swagcky:振り返ってみると両親は保守的というか、結構お堅いほうだと思うんです。一人っ子の自分はその中にいて、「この人たちの考え方だけが果たして正解なのだろうか?」「他の家庭ではどうなんだろう」みたいなことを、小さい頃からずっと考えていたんですよね。そうやって常に「正解は何なのか」を考えていることが、自分自身の客観性につながっているのかなと。

ーーお話を聞いていると、かなり読書家なのではないかと思うのですが。

Swagcky:サッカーで挫折して、やることがなくなったときに音楽をやるか勉強をするか、本を読むみたいな生活をしていましたね。それも小説とかではなく自己啓発本とか読むのが好きだったんですよ。哲学や心理学に関する本もかなり読みました。それもあってか、世の中を広い視野で見ることができるようになった気がします。広い視野で物事を見ることができれば、その中からどこか一点を選んでそこに集中することができると思うんです。広く知っていることで損はないじゃないですか。単純に選択肢が増えるし、情報を取捨選択するリテラシーも高くなりますし。

ーーなるほど。エド・シーランをフェイバリットミュージシャンに挙げている理由は?

Swagcky:彼には音楽だけでなく考え方にも影響を受けました。あるインタビューで、「音楽を始めるときに何を最初にやるべきか?」と聞かれたエドが、「人間性を磨くことが大事だ」と答えていて。「この人、半端ねえ!」と思ったんですよね(笑)。

ーーそれはどんなところが?

Swagcky:例えばメロディや歌詞、構成を考えるときには人間性、つまり「思いやり」が大きく影響してくると思うんですよ。この曲のメロディがここでこう動くと人がどう思うか、サビがこの位置にあると人はどう感じるかを考えることって「思いやり」じゃないですか。誰かと会うときに場所を決めたり雰囲気作りをしたりするのと同じだと思うんです。

ーーなるほど、そういう見方もできますね。

Swagcky:「この人の話、面白いな。もっと聞いてみたい」と思わせるように曲の流れを考えることは、結局のところ「思いやり」であり「コミュニケーション」なんですよね。コミュニケーションが上手くなるためには人間性を磨くことが大事だとエド・シーランは言っているわけで。もちろん、気を使い過ぎて自分がなくなってしまうような「思いやり」は健全といえないし、自分勝手で「思いやり」が全くないのももちろんダメなので、そこはバランスが大切だと思いますが。もともと僕はコミュニケーションが下手で、だからこそ「コミュニケーションって大事だな」と思い知らされることが多いんです(笑)。

ーーどんなクリエイティブでも「誰に伝えたいのか」「どんな人に届けたいのか」を明確にイメージすることが大事なのでしょうね。コロナ禍もだいぶ落ち着きつつあり、ライブでも声出しなどできるようになってきました。ライブでの見せ方についてはどんなふうに考えていますか?

Swagcky:あんまりかっこつけ過ぎず、自分の「素」の部分をナチュラルに出せたらいいなと思っていますね。ただ、あんまり出しすぎると「味、濃!」と引かれてしまうかもしれないので、そこは気をつけたいです(笑)。

■リリース情報
「ふりだし」
配信中
https://swagcky.lnk.to/Furidashi

Swagcky 公式サイト
https://lit.link/swagcky

関連記事