Swagcky、音楽作りで重要視する“思いやり”精神 自身初のバズソング「ふりだし」に込めた想い

Swagckyが重要視する“思いやり”精神

やりたくもないことを一生懸命やることなんて出来るはずがない

ーー恋愛を「すごろく」に例えているところがこの曲のポイントというか、オリジナリティになっていますよね。歌詞の中の、〈ふりだしに 戻るなら 二人の思い出は どこ行くの?どこ行くの?〉という部分は「確かにそうだよな」と思いました。

Swagcky:それまで二人で積み上げてきたものがなくなってしまうところとか、恋愛に似ているなって。ただ「恋愛ソング」ってたくさんあるし、「何かで喩えられたらいいよね」みたいな話をHiplinさんとしていて。何がいいかいろいろ考えていたときに、「すごろく」というアイデアがパッと閃いたんです。いい意味での違和感があるというか。サブスクで聴いていても、そのまま聴き流されるのではなく「ん?」ってなるようなフックというか。

 やってみて「ああ、やっぱりこういう手法って面白いんだな、耳に残るんだな」と思いました。うまく喩えることができたらわかりやすいし説得力も増すじゃないですか。歌詞を書くうえで「わかりやすさ」もとても重要なので、今後もやっていきたいと思っています。

ーー音源化することで今回、心がけたことは?

Swagcky:単純に「自分の歌を聴かせる」ということよりも、歌詞や音を「歌で届ける」ということを重要視しました。自分の歌ではなく、あくまでも曲や歌詞がメインだという気持ち。曲に寄り添うような歌い方を、ボーカリストとしては心掛けています。

ーーなるほど。歌が前面に出過ぎてしまうと、こちらの想像力が乗せづらくなることはあるかもしれないですね。

Swagcky:そうなんです。これは僕にHiplinさんを紹介してくれて、「It has always been you」という曲のアレンジをしてくれた先輩から学んだことなんですよね。

ーーさっき友達が少ないとおっしゃったけど、協力してくれている人に恵まれている感じがします。

Swagcky:「生きづらさ」みたいなものを感じてしまうのは、自分の中にある「正解」みたいなものが他人と違っていることが多いからなんです。それを出さなければ衝突することもないのですが、出さないでいるとどんどん生きづらくなっていく。そういう「人との違い」みたいなものを、ふとした瞬間に感じることは大学時代もたくさんあったし、このまま卒業して社会人として生きていくのは難しいんじゃないかと。そのことに気づいてからは、僕の場合は大好きな音楽をやり続けることで道が開けてきたというか。「友達がいなくても、音楽を聴いていればそれで幸せだ」と思っていたら、気づけば周りに理解者が増えていて。

ーー「自分らしさ」を押し殺して周りに同調していた時の方が、友人も少なく「生きづらさ」を感じていたけど、周りに同調するのはやめて「自分らしさ」を全開にしたら、かえってそのほうが「居場所」ができてきたと。

Swagcky:あっちのコミュニティでは不正解だったけど、こっちのコミュニティでは正解ということは往々にしてあると思います。僕はずっと、自分がいるべきコミュニティにいられてない状況が続いていたのだなと。でも音楽を始めてから、自分が「いてもいい環境」が整ってきた。「ここが自分にとっての居場所だったんだ」って。きっとそういう人、僕以外にもたくさんいると思うんですよ。そういう人たちに「いるべきじゃない場所にいる必要はない」と言いたいんです。それは、さっきも話した「後悔のない生き方をしよう」というメッセージにもつながるんですよね。

ーーところで、音楽の道に進む前はサッカーをやっていたそうですね。

Swagcky:中学生の頃は「プロになりたい」と思ってサッカーしかしていなかったんですよ。でも怪我でできなくなってしまったのは、自分の人生にとってかなり大きかった。何もやりたいことがなくなってしまったんですよ。もちろん、自分なりにやりたいことを模索してみたのですがなかなか見つからず、気がつけば正解もわからぬまま大学へ進学していて。とりあえずみんなが求める正解を一緒に進んでいくしかなかったというか。

ーーでも、途中で「これは違う」と気づいた。

Swagcky:はい。それで大学を中退しました。それも自分にとっては大きな決断でしたね。大学を辞めることも、昔に比べればかなりハードルは下がったと思うのですが、やっぱり周りには反対されましたね。「何考えてるの?」「もったいないよ」って。まあ、常識的に考えれば確かにもったいない。でも、やりたくもないことを一生懸命やることなんて出来るはずがないなって。何が正解か分からないなら、なおさら自分がやりたいことをやるしかない。「音楽の道」を選び、結果を出してちゃんとやり切れば、それが正解になっていくだろうと。

ーー大学を辞めて、ある意味では「退路を断つ」ことでより真剣に音楽に向き合えたのかもしれないですね。

Swagcky:それは間違いないです。

ーー音楽活動を本格的にスタートするにあたって、人脈づくりも熱心に行ったそうですね。そういう中でHiplinさんや、今のチームとの出会いもあったと。

Swagcky:例えば自分が小さい頃から音楽を体系的に学んでいたり、もっと早くからライブをやっていたりしたらまた全然違ったと思うんですけど、音楽を始めたのが20歳を過ぎてからというのもあって、一人でできることには限界があると思ったんですね。自分の武器をまず見つけて、それを生かしつつ違う武器を持っている人たちと協力し合う必要があるなと。今、働き方も多様化してきてフリーランスの人も増えてきているし、同じような考えで動いている人もたくさんいる。そういう人たちと、自分が持っている武器を生かしながら生きるべきだと思ったんです。

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