Non Stop Rabbit、3年越しに実現した豊洲PITワンマン 手加減抜きで今のノンラビを表現し尽くした渾身のステージ

Non Stop Rabbit、豊洲PITレポ

 コロナに起因する様々な制限も緩やかになり、かつての日常を取り戻しつつある昨今。長らく封印していたライブ活動を昨年3月に解禁したNon Stop Rabbitは、メジャーフィールドを快調に駆け抜けている。だが、彼らの中にはひとつの心残りがあった。それは、コロナが蔓延し始めた2020年3月1日、自らの判断で中止にすることを決めた1本のライブ。そこへのリベンジの思いを乗せ、彼らは今年1月から全国ツアー『PITやんなきゃ始まらねぇだろTOUR 2023~あの日と違う事はたった一つ、俺たちはメジャーアーティストになった~』をスタートさせた。その8本目であり、ツアーファイナルとなる3月11日。あの日、幻となった豊洲PITのステージへ、ついに挑むこととなった――。

 大きな拍手と歓声に包み込まれる中、1曲目の「PILE DRIVER」からライブはスタート。テンションマックス、熱量の高いパフォーマンスで揺さぶっていく。イントロが鳴った瞬間、フロアが大きく沸いた「乱気流」では、「Non Stop Rabbitです。最後までよろしく!」と矢野晴人(Vo/Ba)が短くあいさつ。曲中では「声出せますか!」と煽り、その大きなレスポンスに「いい感じ」と嬉しそうな表情を見せる場面も。そこから「BIRD WITHOUT」「私面想歌」と、ロックバンドとしての矜持が滲むアッパーチューンを連発し、最初のMCへ。

「たまんねぇわ! 何年ぶりやろ、こんな大勢の人を見たのは」(田口達也/Gt)

「最高!」(太我/Dr)

「めっちゃ熱くない? 豊洲!」(矢野)

 ツアーがファイナルを迎えたこと、そして念願の豊洲PITへ立てたことを素直に喜ぶ3人。そこからは最近、怪談師としても活動する田口が仕入れたばかりの怪談を披露すると、矢野もこの日の会場に来るまでに出会った不思議な体験を語りだす。そして太我はキワドイ怪談(下ネタ)を安定のクオリティで。最高の音楽と最高の笑いを届けるノンラビのライブスタイル。今日も通常運行だ。

 「女子! 男子!」のコール&レスポンスで客席との距離をしっかりと縮めた後は、「推しが尊いわ」でオーディエンス全員をキュンとさせる推される側の魅力をアピール。「全部ブロック」では今の時代をサバイブするための鋭いメッセージを高らかに鳴り響かせる。次のパートではしっとりとした表情を見せるナンバーを3連続で。「僕らが初めてライブをしたときもやった曲です。お客さん1人、2人しかいなくて。それに比べたら今日の景色ハンパないな。あのときの気持ちを忘れずに、心を込めて歌います」という矢野の言葉に導かれて歌われた「夏の終わり」。情感に満ちた演奏とボーカルで切なさいっぱいに届けられたラブソング「最後のキス」。スケール感のあるサウンドとエモーショナルな歌声が胸に響くミディアムナンバー「静かな風」と、勢い一辺倒ではないノンラビというバンドの懐の深さを感じさせる表情に観客たちは静かに酔いしれた。

Non Stop Rabbit(写真=菊島明梨、千佳 @cka_photo)

 感動的なシーンを描き出した後、すぐさまお笑いコーナーに突入するのもまたノンラビらしいところ。ツアーを通して行われてきたクイズコーナーではノンラビにまつわる問題に3人が答え、敗者が虫を食べる罰ゲームが用意されていた。これまでの公演では矢野が負け続けていたというが、この日は田口が負けを喫し、タランチュラを実食。パリパリパリ……という咀嚼音に観客たちの恐怖のスクリームが響き渡ったのだった。

 宇宙人にさらわれた設定の田口と矢野が宇宙人に抱えられたような着ぐるみ姿で、太我が謎の金色タイツで登場した「豆知識」、世にはびこるあらゆる偏見を盛り込んだ「偏見じゃん」といった楽しいキラーチューンで再び大きな盛り上がりを作っていくノンラビ。続く「無自覚の天才」ではイントロで一際、大きな歓声が巻き起こった。この日はノンラビのライブに初参加する人も多かったようだが、もしかすると同曲がオープニングテーマとなっていたTVアニメ『転生賢者の異世界ライフ』をきっかけにファンとなった人も少なくなかったのかもしれない。

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