ダンス動画でヒット中のジョージ・エズラ、TikTokチャート首位に 死生観のテーマをポップに聴かせる祝祭的なメロディ

 しかしながら、彼の世界的な人気とは裏腹に、日本での知名度は比較的低いものであったと言える。そんな状況を打破し、ジョージ・エズラを日本中に広く紹介することになったのは「Green Green Grass」のダンス動画だ。海外ですでに流行っていた同曲のダンス動画が日本のTikTokユーザーに注目され始め、徐々に動画投稿が増えたことで、気づいた頃には日本でも大きなムーブメントにまでなったのだ。ゆったりした原曲を早回しにしてピッチを上げることで、ダンサブルに仕立て直した楽曲に合わせたリズミカルな足のステップと顔を手で覆うポーズで構成されるシンプルなダンスは、ダンスレクチャー動画などさまざまな派生動画も含めるとすでに数えきれないほど拡散投稿されている。

George Ezra - Green Green Grass (Official Video)

 「We Are Young feat. Janelle Monáe」のヒットで知られるアメリカのバンド Fun.の作風を彷彿とさせるようなインディーポップ風の原曲は、ゆったりした曲調をベースにしながらサビに向けてはEDMのビルドアップ&ドロップの手法を用いて盛り上がりのピークを演出するなど、多くの人に受け入れられやすいポップソングだ。歌詞に目を向けると、意外にも死生観に関する歌詞となっていることに驚くが、曲中に頻出する〈You better throw a party on the day that I die(私が死んだ日にパーティを開いた方がいいぜ)〉というラインを鑑みると、死との向き合い方という重いテーマをポップで祝祭的な楽曲に乗せることの意味合いも見えてくる。このように重層的にメッセージが組み上げられた楽曲だからこそ単なるダンス動画として消費されるだけでなく、ダンス動画が入り口となり楽曲そのものや、アーティスト自身への評価にも繋がっているようだ。

※1:https://www.billboard-japan.com/charts/detail?a=tiktok&year=2023&month=02&day=27

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