(sic)boy、自己最大規模のステージで見せた新しい挑戦 豪華ゲストも続々登場したKT Zepp Yokohama公演レポ

 lil aaronやnothing,nowhere.との共演など、国内外のエモラップシーンで注目を集める(sic)boyが12月29日、2022年の締め括りとしてKT Zepp Yokohamaでワンマンライブ『(sic)boy one-man live "HOLLOW”』を開催した。

 ステージ上には階段状の大きなセットや、3構造の縦型、円形のスクリーンが設置されるなど、自身最大規模のワンマンに相応しい豪華絢爛なものとなった。総合演出とVJは、これまでのワンマンライブやフェスでも (sic)boyと共に渡り歩いてきた盟友 JACKSON kaki。VJが流す壮大なオープニング映像の後、彼が歌い始めると一瞬で会場が熱狂の渦で包まれた。

 (sic)boyの歌声と楽曲の世界観を最大限に引き出すためか、照明は薄暗いままライブは幕を開けた。1曲目はキャリア初期の代表曲「(sic)'s sense」からハイレベルな歌唱力やラップスキルを披露し、観客を惹きつける。曲中で「全然足りねえ、かかってこい!」と煽れば、客席全体が拳を上げて呼応する。すでに会場の空気が出来上がっていた。さらに「爆撃機」や客席でクラップが鳴り響いた「BAKEMON(DEATH RAVE)」を続けて会場を盛り上げていく。過去最大規模のワンマンであることを感じさせない堂々としたパフォーマンスだ。

 突如照明が明るくなり(sic)boyの姿がはっきり見えた「落雷」では、ステージと客席の心の距離がさらに縮まる。そして前半で最も観客が湧き上がったのはJESSE(RIZE / The BONEZ)がゲストとして登場した「Dark Horse」だ。これまでも(sic)boyソロでライブパフォーマンスしてきたこの未発表楽曲にJESSEが客演していたことが、ここで初めて明らかになる。二人のキレのある初パフォーマンスは、間違いなく前半のハイライトだった。

 さらにもう1曲の未発表曲を挟み、第二部最初の楽曲は「vanitas」。白く眩しい照明により幻想的な空間が作られる中、スタンドマイクを使い繊細な表現で歌う(sic)boy。序盤の激しい展開とは異なるライブの魅せ方だ。客演にJUBEEを招いた「手紙」では、(sic)boyの音楽性の幅広さを感じさせた。「君がいない世界」では「飛び跳ねろ」とJUBEEが客席を煽り、再び会場が熱気で満ちていく。最高の盛り上がりを作り出したJUBEEは「たくさんの新しい景色を見せてもらったから、今度は恩返ししたい」と(sic)boyへのリスペクトを語り、ステージを去った。

 ここからも豪華な客演アーティストが続く。「Innocence」ではHideyoshiに続いてOnly Uが登場し、三度目となる3人でのパフォーマンスへ。そのままOnly Uとのヒット曲「Kill this」や未発表曲「Resonance」を披露した。「social phobia」からはギターが加わり音に厚みが増す。「HELL YEAH」は特にエレキギターの歪んだ音色が映えていて、ライブだからこその迫力があった。「FLN」では自然と客席からクラップが鳴り響く。ギターに加え観客のクラップも演奏の一部になっているかのような一体感のある名演だ。

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