ELLEGARDEN、16年ぶりアルバムがチャート好調　最新作からも伝わる“エルレ”が特別なバンドであり続けた理由

　長い助走を経ての本格的な曲作り。アルバムは16年ぶりなのでプレッシャーも相当だったと思いますが、『The End of Yesterday』を聴いて感じるのは、ものすごく自然な曲ばかりだなということ。昔っぽいツービートをなぞっている様子は皆無で、大人になった自分たちの渋さに酔っているわけでもない。もともとの魅力だったELLEGARDENの青春感が、今も自然に鳴っている印象なのです。青春ってこんなに変わらないものだっけ？　と思ったりもしますが、もともとELLEGARDENはライブキッズがジャンプの高さを競い合うような、無鉄砲なふるまいが魅力のバンドではなかったわけです。

　これが先ほど書いた「ポストAIR JAM世代」にして「ポップパンク／エモ」を知るバンドの美点。彼らはストリートカルチャーと密接しすぎないことで、モロに「○○年代！」といったアイコニックな偶像を押しつけられなかった。ただ高度で洗練された音楽を鳴らすことで、以前のパンクの常識に縛られない聴きやすさやポップさを手にしていた。つまり、パンクシーンのド真ん中にいながら、すでに「普遍的ポップミュージック」に到達することができていた。あとは、細美武士の天賦の才とも言える優れた歌唱力。そういうものが、ごく自然に解凍され、再びイキイキと動き出したアルバムです。

〈あとになって思い出して／いまの君と探す旅へ／あれからずっとそのままで輝いてる〉（「チーズケーキ・ファクトリー」より）

　こんな歌詞もいいですね。思い入れがある人ほどたまらないのは当然として、ここから初めて聴いてもELLEGARDENの魅力は過不足なく伝わると思います。