UVERworld、『TAKUYA∞生誕祭』で示した“歩みを止めない覚悟” 完全体となった6人が生み出す怒涛の熱狂

UVERworld『TAKUYA∞生誕祭』で示した覚悟

 TAKUYA∞は「誕生日は、祝われる側が、祝ってくれる人たちを喜ばす日だと思ってる」と語り、ここでサプライズとして、2007年にリリースされた2ndアルバムの収録曲「〜流れ・空虚・THIS WORD〜」を披露。キャリア初期の楽曲ではあるが、間奏のコール&レスポンスにしっかり応えていく観客たちの姿から、この曲が長年にわたり愛され続け、ライブの場で披露されるのを待望されていたことがしっかりと伝わってきた。続けて、最近実施したアンケートでリクエスト楽曲1位に輝いたラブバラード「a LOVELY TONE」を披露して、リスナーからの期待にしっかりと応えてみせた。この曲を歌い始める前に、TAKUYA∞が「結婚おめでとう」とさりげなく囁いていたことも忘れられない。そして急遽、もともと演奏する予定ではなかったという「THE OVER」を披露。この楽曲も、2010年代のUVERworldの歩みを語る上では欠かすことのできない重要曲である。このブロックで披露された3曲はどれも10年近く前の楽曲ではあるが、決して懐古的なムードはなく、あくまでも現在進行形で走り続けるバンドを応援するリスナーとの連帯を再確認するように響いていたと思う。

信人

 続いて、2022年のUVERworldを象徴する最新シングル曲「ピグマリオン」へ。ドロップパートにおいて、まるで決壊したかのように流れ出る轟音は圧巻で、そこにTAKUYA∞の魂を宿した言葉が折り重ねられていく。メッセージ性の強い楽曲ではなく、この曲自体がメッセージそのもの。そう思えるような、他に解釈しようのない唯一無二のメッセージが深く胸に響きわたる。彰、克哉(Gt)、信人(Ba)、真太郎、誠果(Sax/Manipulator)の5人から届けられた“音のメッセージ”であるインスト曲「Massive」を経て、いよいよライブはクライマックスへ突入。「One stroke for freedom」では、TAKUYA∞が〈努力なんかじゃ楽しむ奴には勝てない〉という歌詞の〈奴〉の部分を〈俺ら〉と替えて歌い、6人が誇る強さの理由を伝えてみせた。そして、〈誰もたどり着いていない  そんな景色を見に行こう〉と呼びかける「Don’t Think.Feel」では、ここからさらにギアを上げて加速し続ける気概を高らかに示した。その後に披露された「PRAYING RUN」「Touch off」も含め、一つひとつの言葉の全てがUVERworldの6人、そして私たちリスナーの物語を表しているように響く。UVERworldのライブはいつだってそうした切実なリアリティを感じさせるものだが、この日はいつも以上に、6人と私たちが歩んできた歴史の深みと重みを強く感じた。

 ライブ終盤、TAKUYA∞は胸の中に昂る想いをリスナーに向けて真摯に語った。自分たちにとって、もはやバンドは“やる/やらない”、“続ける/続けない”という次元のものではなく、人生そのものである。たとえ自分が死んでも、メンバーの誰かが欠けても、絶対にUVERworldを止めない。誰にも止めさせはしない。TAKUYA∞が語ったその想いには、並々ならぬ覚悟が滲んでいたように思う。そして「俺たちは進み続ける。お前はどうすんだよ」という言葉と共に、今彼らが一番大切にしているという楽曲「EN」が披露される。このコロナ禍において、何度もライブのハイライトを担ってきた楽曲ではあるが、サビの〈I’m gonna go go〉〈Are you gonna go?〉という言葉がいつも以上に鋭く胸に突き刺さる。

誠果

 絶対に、UVERworldの歩みを止めない。その強い覚悟の理由についてTAKUYA∞は、今やUVERworldはメンバー6人だけのものではなく、自分たちを応援し続けてくれているリスナーのものでもある、と語った。そして、〈このバンドは君の人生でもあるんだね〉と歌う新曲「Theory」で、この日のライブを鮮やかに締め括った。6人の歩みと、私たち一人ひとりのリスナーの歩みは、いつだって美しく折り重なり合っている。だからこそ6人と私たちは、今までいくつもの新しい景色に辿り着くことができたのだ。改めてそう確信させてくれるようなパフォーマンスだった。

 ライブ終了後、事前にアナウンスされていたように、バンドから重大発表がなされた。来年7月29日、バンド史上初となる日産スタジアム公演が決定。そして翌30日、同会場で3年7カ月ぶりの男性限定ライブ『UVERworld KING’S PARADE 男祭りREBORN at NISSAN STADIUM 6 VS 72000』を開催するという。UVERworldの歴史上、最もスケールの大きな会場でのアクトであり、また日産スタジアムにおける男性限定ライブは過去に前例がない。まさに、前人未到の景色を掴み取るための新たなる挑戦だ。そのニュースを受けて、フロアからは温かなエールが送られる。自分たちを応援してくれるリスナーと一緒だからこそ、2日間の日産スタジアム公演に挑むことができる。きっとメンバー6人にはその確信があったはずで、その確信は、この日のライブを通してさらに一段と深いものになったはず。そしてそれは、私たちリスナーにとっても同じだ。来年の夏、日産スタジアムに広がる新しい景色を今から楽しみに待ちたい。

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