LUNA SEA、30周年記念ツアーグランドファイナルで刻んだ新たなる伝説 貫き通した“音楽を止めない”という信念
LUNA SEAの30周年記念ツアーグランドファイナル公演『LUNA SEA 30th Anniversary Tour -CROSS THE UNIVERSE- GRAND FINAL』が、1月8日、9日にさいたまスーパーアリーナで行われた。
2020年2月からスタートした本ツアーは、新型コロナウイルスの影響により日程延期を繰り返しながらも、全国各地で開催を実現。“音楽を止めない“という信念を貫き続けるLUNA SEAの姿は、多くのファンに希望を与え続けていたが、本ツアー終了後に、RYUICHI（Vo）が声帯にできた静脈瘤（微小血管病変）を除去する手術を行うため、バンドは充電期間に入ることが昨年12月に発表された。1月31日、2月1日には、大阪国際会議場での振替公演の開催が予定されているが、充電期間前に関東で開催されるライブは本公演がラストとなる。本稿では9日公演の模様をレポートする。
開演前の客席では自然と手拍子が始まり、5人の登場を待ちわびるファンの様々な気持ちで溢れていた。そこに突如雷鳴のような轟音が鳴り響き、暗闇の中に激しく光が点滅すると、壮大なSEをバックに5人が悠然とステージに登場。最後に姿を現したRYUICHIは両手を広げ、割れんばかりの拍手とファンの心の声を受け止めていた。ライブの幕開けは、「LUCA」。太陽のようなオレンジ色の光が会場中を照らし、ライブでしか味わえない特別な高揚感をもたらす。RYUICHIは本調子ではないとはいえ、常人離れした伸びやかな歌声を響かせる。INORAN（Gt）は飛び跳ねながら無邪気な笑顔を見せ、ライブを盛り上げる。SUGIZO（Gt）の天空まで響くような優美なギターソロからは、これから5人が表現する世界がどれだけ奇跡的で美しいものなのかを想起させられた。
陶酔したファンの心を激しく揺さぶったのが「Déjàvu」。真矢（Dr）の力強いドラムに合わせてファンも身体を揺らし、腕を振り上げながら、熱い気持ちをステージに届ける。RYUICHIが全身を震わせて咆哮すると、他のメンバーも共鳴してなりふり構わずに叫び出す。その姿を見ていると、今いる場所は熱気あふれるライブハウスなのではないかと錯覚するほど。ステージからの生々しい熱量が直に伝わってくる。なかでもRYUICHIの鬼気迫る様相は凄まじく、これまで聴いたことのないほど荒々しい声で、ファンの心を突き動かしていた。
MCではRYUICHIが、会場にいるファン、会場に来られなかったファン、そして画面で観ているファンと、LUNA SEAを応援する全ての人々に感謝の気持ちを述べる。そして「みんなの心の声を俺たちがしっかり受け止めるから、俺たちの思いもしっかり受け取って帰ってください」と、このライブへ並々ならぬ思いを持って挑んでいることを伝えた。J（Ba）の繰り出すリズミカルなベースで始まる「Pulse」では、同じ思いを抱いて集まったファンとメンバーが一つになる。続く「PHILIA」では、マイクを強く握りしめながら全力で熱唱するRYUICHI。このまま壊れてしまうのではないかというほどの迫力でシャウトを轟かせたかと思えば、繊細なファルセットで優しい歌声を披露するなど、ファンの想像を優に超えるパフォーマンスを見せつける。曲が終わると全身全霊で表現した彼らに盛大な拍手が送られ、RYUICHIが話し出すまでファンは手を叩くのをやめなかった。
続いてRYUICHIが「コロナという長いトンネルを我々が先頭で抜けます。共に抜けたら、またツアーをやりましょう！」と高らかに宣言した後、「宇宙の詩 ～Higher and Higher～」を披露。満月のような巨大なミラーボールが無数の光の筋を放ち、夢のような光景を作り上げる中、5人の生み出す煌びやかなメロディーがアリーナ中を包み込む。妖艶な音色で深い闇の世界へ誘う「anagram」では一人、二人とRYUICHIに勇気と思いを届けようとするファンの手が少しずつあがっていく。SLAVE（LUNA SEAファンの呼称）とメンバーの計り知れない強い絆を感じた瞬間だ。続く「BLACK AND BLUE」では、力強く煽るRYUICHIに、ファンは一体感のある手拍子で応える。「俺たち5人から愛をこめて」というRYUICHIの言葉から始まったのは、壮大なバラード曲「悲壮美」。5人の後ろに無数の小さな光が灯り、まるで星空の下で歌っているかのようなロマンチックな情景を描きながら一部を締めくくった。
