Rei、多彩なミュージシャンと繰り広げた名セッション 『JAM! JAM! JAM!』ブルーノート東京公演を観て

Rei『JAM! JAM! JAM!』レポ

 シンガーソングライター/ギタリストのReiが去年からスタートさせたセッションプロジェクト『JAM! JAM! JAM!』。彼女がその時々、ジャムしてみたいミュージシャンに声をかけ、セッション性の高いライブを披露する試みで、去年は吉田一郎不可触世界(Ba)、TAIHEI(Key/Suchmos、賽)、石若駿(Dr/Answer to Rememberほか)というなかなかに濃厚なメンツだったが、今年はオリジナルアルバム『QUILT』や同ツアーにも参加した流れでTAIHEI、YUNA(Dr/CHAI)、そして賽のメンバーである岩見継吾(Wb)、東京公演のみSOIL&“PIMP”SESSIONSからタブゾンビ(Tp)という布陣。ちなみに名古屋、大阪には賽の佐瀬悠輔(Tp)がセッションに合流する。

 ブルーズをルーツに持つReiにブルーノート東京のいわゆるジャズのムードは似合う。しかもクリスマスシーズン恒例のライブになりつつある『JAM! JAM! JAM!』にはブルーノートだから見たい、このセッション形式だからこそ見たいというオーディエンスも足を運んでいる印象を受けた。出演アーティストにちなんだドリンクがメニューに加わるのも、普段のホールやライブハウスと一味違う楽しみの一つ。ちなみにMCで本人が言っていたように、大のコーラ好きであるReiにヒントを得たワンナイトカクテルも用意されていた。

 筆者が見たのはツアー初日の1stステージ。この後、名古屋、大阪公演が控えているので詳述は避けるが、Reiの堂に入ったバンマスぶりと、アルバム『QUILT』とツアーで阿吽の呼吸を深めてきた同世代のメンバーであるTAIHEI、CHAIでのプレイスタイルとは全く違う、時に4ビートのジャズのドラムプレイにも挑戦したYUNAのドラマーとしての進化にも目を見張った。Reiの慧眼なのだろうが、セッションすることでお互いの進化や新しい側面を見せることに意欲的なメンバーが集まっている。

 これまでも幅広い世代のミュージシャンと共演してきたReiだが、今の彼女は自分自身がリーダーとなって、ステージで起きるケミストリーをオーディエンスにもミュージシャンにも還元するハブ的存在を担っている。それはやはりNYから東京に移り、これまでの活動を見守ってくれたミュージシャンと編み上げた“Reiによる一人オムニバス”的なアルバム『QUILT』のリリースが大きかったんじゃないだろうか。

 メンバーはブルーノートということも、クリスマスシーズンということもあってか、ブラックの衣装で統一し、Reiは華奢なデコルテが映えるマーメイドラインのドレス姿。オンステージからセッション的にスタートし、お馴染みのナンバーがスウィングジャズ調にアレンジされていたり、先にも書いたようにYUNAが4ビートにチャレンジしていたり、この日限りのメンバーによるいい緊張感がどの演奏からも漂う。

 そして普段より音圧が控えめなアレンジによって、ボーカリスト Reiの芯のある強い歌唱がしっかり聴こえるのも発見だった。スキルの高いギタリストであると同時に、シンガーでありステージをコントロールするエンターテイナーでもあるReiを強く認識できるスタイルとも言える。また、このアレンジでフライングVで弾くの? とか、やはりフルアコの柔らかい響きは似合うなとか、ギターそのものの音色を間近で楽しめるのも、このキャパならではの楽しみの一つだ。

関連記事

インタビュー

もっとみる

Pick Up!

「ライブ評」の最新記事

もっとみる

blueprint book store

もっとみる