Saucy Dog、ハルカミライと生み出した“優しさという名の熱量” 愛とリスペクトで称え合った『対バンツアー2022』ファイナル

 12月7日、『Saucy Dog 対バンツアー2022 “SUNNY BOX”』のツアーファイナル公演がZepp DiverCity(TOKYO)にて開催された。「シンデレラボーイ」の特大ヒットや初の『NHK紅白歌合戦』出場決定が象徴的なように、2022年はSaucy Dog(以下、サウシー)の3人にとって大きな飛躍の年となった。その意義深い一年を締め括る今回のツアーには、THE ORAL CIGARETTESなどの先輩バンドや、Vaundyなどの同年代のミュージシャンたちをはじめ、全11組の豪華アーティストが集結した。彼らは、そうした名だたるアーティストたちとの熾烈な対バンを通して、自分たちの歌とロックサウンドを磨き続けてきた。そして辿り着いたのが、ハルカミライをゲストに迎えた今回のツアーファイナル公演だ。本稿では、両バンドの熾烈な対バンについて振り返っていく。

 先行は、ハルカミライ。橋本学(Vo)の「おい、全員てきとうで構わねえよ、どんとこい!」という豪快なアジテーションから幕を開け、息つく間もなく渾身のロックンロールアンセムが次々と矢継ぎ早に放たれていく。凄まじい爆音のバンドサウンドに圧倒された人も多かったはずで、橋本は自分たちのステージに驚くサウシーのファンを優しく気遣いながら、「サウシーのスーパースーパースーパー友達、ハルカミライと申します」と改めて自己紹介をした。続けて披露した「春のテーマ」の曲中では、ただならぬ熱気に満ちたフロア最前列の観客と目を合わせながら、「分かるよ、ねえちゃんの気持ち。めちゃくちゃ心が熱くなってるよな。それが正しい。それが世界の真ん中だよ」と真摯に語りかけた。その後に再開した歌と演奏の熱量はさらに何段階も高まっていて、フロアは、まるでワンマンライブさながらの盛り上がりを見せていた。

 中盤で橋本は、自分たちが育ってきたライブハウスという場所への愛を語り、また「まだライブハウスの空間に慣れていない人も多いはずだから、みんなでお互いにライブハウスの楽しみ方を優しく教え合っていこう」と呼びかけた。その話の流れで、彼は「かっこよさって何だと思う? 優しさだよ」とも告げており、筆者は、何よりもハルカミライというバンドの本質を射抜いたその言葉に強く心を動かされた。この言葉を聞いて、そしてこの日のライブを観て、ハルカミライの音楽には、めいっぱいの優しさが込められていることを再確認した人は、きっと筆者以外にも多かったはずだ。

 どんなにむさ苦しいほど熱くても、同じだけの温かさを感じさせる。そうしたハルカミライの優しさに満ちたロックンロールショーも、いよいよクライマックスへ。サウシーの「結」を一部分のみカバーしてみせるという愛に満ちたサプライズを挟みつつ、そのままラストの「アストロビスタ」へ。橋本は〈眠れない夜に私  ブルーハーツを聴くのさ〉という歌詞を〈眠れない夜に俺は  Saucy Dogを聴くのさ〉と替えて歌い、その粋な計らいにフロアから大きな拍手が起きた。最後は、橋本がステージ裏のサウシーの3人に届くような大声で「みんながお前らのこと待ってるよ!」と呼びかけ、4人は鳴り止まぬ拍手の中ステージを後にした。

 転換の時間を挟み、後行のサウシーのステージへ。秋澤和貴(Ba)とせとゆいか(Dr)が構築する、しっかりと間を効かせながらしなやかに躍動していくリズムの上に、石原慎也(Vo/Gt)が織りなす煌びやかなアルペジオの音が重なっていく。そしてそのまま1曲目の「リスポーン」へ。ライブ冒頭から、今回の対バンツアーを通して磨き上げられてきたであろう逞しく雄弁なバンドアンサンブルに強く引き込まれた。何よりも、時おりシャウトするように声をからして放たれる石原の歌の力に、改めて圧倒された。今やホールやアリーナ、フェスの大型ステージを掌握するようなサウシーの歌と演奏を、今回ライブハウスという近しい距離で観たことで、この1年間における3人の大きな成長を感じ取った人はきっと少なくなかったと思う。

 2曲目は「君ト餃子」。ハルカミライがつくり上げた蒸発寸前のように熱し切ったフロアの空気を、ゆっくりとサウシー色に染め上げていくような堂々たるパフォーマンスだ。3曲目の「シーグラス」は、もはや完全にライブアンセムとしての燦々たる輝きを放つナンバーへと磨き上げられていて、ラストに向けて熱が高まっていく石原の歌に呼応するように、フロアからたくさんの手が上がる光景はとても美しかった。

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