一青窈、中野サンプラザで辿った20年の軌跡 朗読を交えて伝えるリスナーへのメッセージ
名前の「窈」の文字を間違えられるというエピソードから、この日のためにマシコタツロウ(作曲)と作った「窈ちゃんのおかんむり絵描き歌」。「私もそろそろおかんむり」「なにかんむりでも構わない、おそらく荷物は届くから」と、モニターを使いながら楽しませる場面も。感動しきりの中にも、彼女らしいユーモアをいくつも感じた。
幻想的な青いライトと、深みのあるピアノの音色ーー神々しいまでの「月天心」では、祈りのような歌声に惹き込まれた。椅子に腰かけた一青は、修学旅行のバスの中で小坂明子の「あなた」を歌ったことを語り始める。初めて人前でちゃんと歌った記憶といえば同曲なのだといい、アニバーサリーの今夜、歌い人・一青窈の原点を届けた。ここからデビュー曲「もらい泣き」や、話題となった金井克子のカバー曲「他人の関係」、初期から根強い人気を誇る「江戸ポルカ」を含むファン流涎のメドレー。曲が終わるごとに深々とお辞儀をしながら、「『もらい泣き』でデビューしました。今日まで来れたのは皆さんのおかげです」と、改めて感謝の思いを伝えた。
本編ラストは、最新曲「耳をすます」。今日のために書いたという詩の朗読のあと、そのまま話すように歌うように、いつの間にか曲の世界へ誘われる。これが「詩を歌う人」、一青窈。誰かに言ってほしい言葉、言ってあげたい言葉が詰まった、壮大であり、奥深いメッセージだった。
大きな拍手に応えたアンコール。星空のようなライトが印象的な、優しい彩りの世界へとセットチェンジ。一青窈のルーツを辿るような名曲「アリガ十々」には、涙を拭う観客の姿も見えた。「あっという間の20年、あっという間の今日、これからも歌い続けていきたい」と一青。国際情勢について言及し、胸を痛めたことや、人々の怒りに触れ涙がこぼれたことについても明かした。言葉を選びつつも、誤魔化すことのないメッセージ。「自分が変わることでしか、世界は変わらないんじゃないかな」。だからまずは、君と、君の好きな人の幸せを祈る。「ハナミズキ」のメッセージが、いつか特別ではなくなる日がくるだろうか。そんな世界が訪れるまで、彼女にはどうか歌い続けてほしい。
最後には、マシコタツロウが花束を持って登場。「窈ちゃん、20周年おめでとう!」と、会場にいる全員でお祝いすると、ここまでずっと涙を見せなかった一青が、ほんの少し言葉を詰まらせた。けれど最後は「本当にありがとうございました。また遊びに来てください!」と、晴れやかに手を振り、ステージをあとにした。 歌手・一青窈が、21年目へと歩み始めた瞬間だった。
一青窈「ハナミズキ」はなぜ長く愛される名曲に? 『Mステ』出演を機に考える
一青窈が、本日1月18日放送の『ミュージックステーション 2時間SP』(テレビ朝日系)に出演。一青の代表曲である「ハナミズキ」を…