H ZETTRIOの魅力を2つの現場から紐解く 『ソクドノオンガク』収録スタジオ＆ライブに潜入取材！
超絶技巧で初見の人も魅了 自由な雰囲気で楽しめるライブ
収録から数日後、筆者は冒頭で触れたライブにも潜入した。会場である埼玉・熊谷文化創造館さくらめいとには友人同士、親子連れ、夫婦やカップルと思しき人から若い男性まで、かなり層の厚い観客が集まり、足を運びやすい雰囲気がある。「近くに住んでいて、H ZETTRIOの演奏をYouTubeで見てから、行きたいと思った」という小学生もいれば、「行けるところのライブはほとんど全部観にいく」という女性グループもいるが、誰もが演奏のかっこよさや音源とは違う一回性のスリルを楽しんでいる様子だ。
目下、ツアー中なので詳細なセットリストの記載は控えるが、オープニングから立て続けにH ZETT Mの超絶技巧が炸裂するBPMの速いナンバーが演奏され、メンバーのソロには惜しみない拍手が送られる。3人のシンボルカラーを基にした各々のバックドロップもホールならではのスケール感で、曲に沿った照明と天井高のあるホールの音響も素晴らしい。この音の分離の良さが、生楽器のアンサンブルであるH ZETTRIOの演奏をビビッドに体感できることも幅広いオーディエンスを魅了している。
ニューアルバム『Kazemachizuki』からの選曲もあるが、今回はファンからのリクエストを基に組んだセットリスト。スカビートと行進曲のリズムが行き来するような「タイガーインド」に見るやんちゃぶりや、H ZETT Mがなぜかショルダーキーボードを立てて、ピアノと交互に演奏する「New Design」など、見た目も実際に出てくるアンサンブルもどこでどうしたらそんな発想のアレンジが出てくるのか？ という驚きの連続。超絶技巧の迫力とはまた違ういい意味でクレイジーな発想が楽しい。
恒例になった日本の名曲カバーコーナーでもイントロでは原曲がすぐには理解できないユニークなアレンジでありつつ、何気なく歌メロが盛り込まれていたりして、そのアイデアの独自性に会場も湧いていた。後半は反復するリズムを人力で表現する演奏者としてのパワーや、続々と変化していく構成に唸らされる場面が何度も押し寄せ、H ZETTRIOが作るグルーヴに巻き込まれる快感にホール全体が包まれていた。
「ライブは数え切れないぐらい観ています。同じ曲でも毎回アレンジが全然違うので、何回行ってもまた来たくなる。同じツアーで同じ曲をやったとしても、全然違うところがすごくかっこいい。改めてその曲の良さを感じられるし、音源とは全然違う」とはコアファンの意見だが、音源と異なる、何度観ても飽きないアレンジはライブならではだ。
しかもMCでは4年前もこの会場に来る道を間違えたのに、今回も間違えたとH ZETT NIREが笑わせたり、彼が上着を脱いでいないのに演奏を始めてやり直したり。それもアクシデントにはならず、演奏同様、当意即妙なタイミングでリスタート。何もかもが軽快でスピーディだ。ファンのコメントにも「演奏はもちろん、合間に挟むちょっとふざけたところも見ていて面白い」、「曲はもちろんめちゃくちゃかっこよかったり、感動したりするんですけど、ライブに来るとあのわちゃわちゃなMCの感じ、ギャップがすごくて、どちらも好き」、「3人が楽しそうに演奏したり、ふざけたりしているのを観るとこちらも楽しくなって元気が出る」と、演奏以外の面でも愛され、ファンを元気づけていることがわかる。
また、着席のライブだがH ZETT KOUが促すことで、ハンドクラップやハンドワイパーも自然と起こり、中にはグッズの赤・青・白3色のライトを振るファンも。各々好きなように楽しめるムードがあるのもH ZETTRIOのライブの魅力と言えるだろう。
今回は久々の地方都市も巡るツアーで、「前回（2018年）のさくらめいとでのライブに行こうと思っていたが行けなくて、ずっと気になっていた。チケットは取っていなかったが、見てみたら当日券があったので来ました。生で聴くと全然違う。ジャズを生で聴くのも初めてだったのかな。なのですごく楽しかった」、「H ZETTRIOのライブは今日が初めてでした。演奏がとにかくすごかったし、全部良かった。アレンジが天才的。カバーも素晴らしかった」というように、身近にある会場で新しい音楽体験ができたという人もいた。
今回2つの現場に足を運び、改めてH ZETTRIOのライブパフォーマンスの魅力は“アレンジ力”と“超絶技巧”、そしてそれを軽快に楽しませるムードを作り上げる3人のスタンスにあることを感じた。12月15日には本ツアーの後半戦最終公演として東京・LINE CUBE SHIBUYA公演、さらに追加公演として12月18日に熊本・熊本城ホール シビックホール公演も控えている。加えて、年内最後の公演として12月25日から12月27日まで東京・南青山のブルーノート東京（BLUE NOTE TOKYO）にて『H ZETTRIO Special Live 2022 "Blue Note of 3”』も開催。1日目は新旧オリジナル曲を中心にクリスマスを意識した「H ZETTRIO & Christmas」、2日目はジャズスタンダードやフュージョンのカバーを交えた「Jazz Standard ＆ Fusion」、3日目は『SPEED MUSIC ソクドノオンガク』で取り上げた楽曲を盛り込んだ「SPEED MUSIC」として行われる。ぜひ彼らのステージを体感してほしい。
■ライブ情報
『H ZETTRIO Kazemachizuki Tour 2022 – レソラピック – 【後半戦】』
【福島公演】
日程：11月23日（水）
時間：OPEN16:00 / START17:00
会場：パルセいいざか コンベンションホール
料金：前売 ¥5,000 / 当日¥5,500
プレイガイド：イープラス / パルセいいざか
Info：パルセいいざか 024-542-2121
【岩手公演】
日程：11月26日（土）
時間：OPEN16:00 / START17:00
会場：雫石町中央公民館 野菊ホール
料金：前売 ¥6,000 / 当日¥6,500
プレイガイド：イープラス / ぴあ / ローチケ / チケットGIP
Info：GIP 022-222-9999
【大阪公演】
日程：12月10日（土）
時間：OPEN16:00 / START17:00
会場：クレオ大阪中央
料金：前売 ¥6,000 / 当日¥6,500
プレイガイド：イープラス / ぴあ/ ローチケ
Info：SMASH WEST 06-6535-5569
【埼玉公演】
日程：12月11日（日）
時間：OPEN16:00 / START17:00
会場：サンシティホール 大ホール
料金：前売 ¥5,000 / 当日¥5,500
プレイガイド：イープラス / ぴあ/ ローチケ /東武よみうり新聞社よみうり新聞社 048-987-0553
Info：サンシティホール 048-985-1112
【東京公演】
日程：12月15（木）
時間：OPEN18:00 / START19:00
会場：LINE CUBE SHIBUYA
料金：前売 ¥6,000 / 当日¥6,500
プレイガイド：イープラス / ぴあ / ローチケ
Info：サンライズプロモーション東京 0570-00-3337
『H ZETTRIO Kazemachizuki Tour 2022 -レソラピック- 追加公演 supported by SAKURA MACHI Kumamoto』
【熊本公演】
日程：12月18日（日）
時間：OPEN16:00 / START17:00
会場：熊本城ホール シビックホール
料金：前売 ¥6,000 / 当日 ¥6,500 ※全席指定・tax in
プレイガイド： イープラス/ ローチケ/ チケットぴあ
Info：RONG-Tai FACTORY Inc.
Tel：096-321-6369
『H ZETTRIO LIVE 2023 – ニレ兄さん！飛鳥山へ連れてってー！-』
日程：1月22日（日）
時間：OPEN14:00 / START15:00
会場：東京 北とぴあ さくらホール
料金：一般 ¥5,000 / 18歳以下 ¥2,500 ※全席指定・tax in
（メンバーズ・北区民）一般 ¥4,500 / 18歳以下 ¥2,000
※0歳から入場可（２歳以下は膝上鑑賞に限り無料）
プレイガイド：ほくとぴあチケットオンライン / 北とぴあ1階チケット売り場(窓口販売のみ 10:00〜20:00) / チケットぴあ / イープラス
Info：(公財)北区文化振興財団
TEL：03-5390-1221
『H ZETTRIO Special Live 2022 "Blue Note of 3”』
一般チケット（インターネット先行予約）発売日：11月22日（火）12:00〜
一般チケット（電話予約）発売日：11月24日（木）12:00〜
【H ZETTRIO & Christmas】
日程：12月25日（日）
時間：1st OPEN 16:00 / START 17:00
2nd OPEN 19:00 / START 20:00
【Jazz Standard & Fusion】
日程：12月26日（月）
時間:1st OPEN 17:00 / START 18:00
2nd OPEN 19:45 / START 20:30
【SPEED MUSIC】
日程：12月27日（火）
時間：1st OPEN 17:00 / START 18:00
2nd OPEN 19:45 / START 20:30
会場：BLUE NOTE TOKYO
料金：一般 ¥7,500〜（座席により別途チャージシート有り）
※全席指定、tax in
