石崎ひゅーい、東名阪ツアー『、&』であいみょんとコラボ 10周年のその先を見せた頼もしい姿

石崎ひゅーい、あいみょんとコラボ

「10年間こうやってステージで歌い続けてこられたこと、音楽を作り続けられたこと、今日集まってくださったみなさん一人ひとりのおかげだと思ってます。改めて感謝させてください。ありがとうございます!」

 石崎ひゅーいが、メジャーデビュー10周年を記念する東名阪ライブツアー『、&』(てんあんど)を開催した。今回のツアーでは石崎とゆかりの深いアーティストがスペシャルゲストとして登場することが事前にアナウンスされており、名古屋公演では尾崎世界観、大阪公演では崎山蒼志と共演。そしてツアーファイナルの10月13日、東京・Zepp Haneda(TOKYO)公演ではあいみょんと共演した。

 あいみょんは元々、石崎のインストアイベントに足を運びサインをもらったことがあるほどのファンであり、この日もステージに立ちながら「セットリスト、最高じゃないですか! 私もそっち(客席)行きたい」と言っていた。石崎もまた、あいみょんをシンガー/ソングライターとしてリスペクトしていて、今では公私ともに交流のある2人だ。これまでにも何度か対バンはしているが、弾き語りでステージ上でコラボするのは珍しい。もしかしたら初めてなんじゃないかと2人は振り返る。

 あいみょんと共演したのは「ふたりの世界」、「マリーゴールド」、「ガールフレンド」、「裸の心」の4曲。「ふたりの世界」はあいみょんの曲の中で石崎が特に好きな曲、「ガールフレンド」はあいみょんが石崎と初めて対バン時にカバーした曲とそれぞれに選曲背景があり、「裸の心」では、石崎の曲もあいみょんの曲も共通してアレンジを手掛けるトオミヨウ(Key/Gt)が鍵盤で参加した。“あいみょん自身この曲をシングルにするつもりはなかったが、アレンジがついたあとの音源を聴いて膝から崩れ落ちるほど感動したため、シングルにしようとスタッフに掛け合った”というエピソードがあるからだ。4曲とも互いの曲を聴き込んでいることが伝わってくるような歌唱で、細かなニュアンスの違いは独自の解釈によるものだろう。表面的ではない、血の通ったコラボだ。

 あいみょんとコラボしたのは14曲目「花瓶の花」のあと、つまりライブの4分の3が過ぎた頃だったが、そこに差し掛かる前からそもそも、凄まじいライブだった。まずは、冒頭4曲の飛ばし具合。トオミ、西田修大(Gt)、越智俊介(Ba)、河村吉宏(Dr)によるジャジーなイントロセッションを経てテンポアップする「ピーナッツバター」が1曲目で、そのテンションのまま「あなたはどこにいるの」に入ると、音源よりもさらに奇抜な、ぶっ壊れたような音でシンセが鳴る「パラサイト」へ。マイクスタンドをぐいっと引き寄せながら前傾姿勢で歌う石崎だ。そしてドラムの連打、観客の手拍子を追い風に変えて「さよならエレジー」がスタート。泥臭いバンドサウンドとともに引き続き燃える石崎の歌。Aメロブレイク後のジャカジャーンというギター、バンドが止み歌のみになるサビ頭など、一つひとつが張り詰めている。向こう見ずに燃焼しているのではなく、両目は観客一人ひとりをしっかり捉え、その歌は確かに客席に届けられている。ステージからの熱いアプローチに観客も高揚し、会場が熱の塊になった。

 このスタートダッシュからしてグッと引き込まれるものがあったし、「10周年だからなんか、頭っからアレだね……いっぱいだなあ」と呟いていた辺り、本人的にも“何かいつもと違う”という手応えはあったのだろう。そしてその後も石崎の歌は鮮やかであり続けた。「10年間ずっと来てくれている方も久しぶりに来た人もいると思います。みんな関係なく、自分で言うのもなんですけど、10周年をお祝いして帰っていってください!」という言葉に誘われて観客が手拍子する中、〈準備はいいかい?よそ見すんなよ〉とフロアを指差したのは「パレード」。河村が「頑張れ、ダメ人間!」と声を張る“ご発声”シーンもあった、ユーモアたっぷりだからこそ“プロが本気で遊ぶとこうなります”的な凄みと贅沢さのある「ダメ人間」(〈携帯も家賃も払えないんだよ〉と歌っているのにビブラートが超綺麗)。WEB CMソングとして書き下ろされた「愛らしく」は、現状フルサイズで聴けるのはライブだけという新曲だ。

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