花譜、Vシンガーの表現を追求する“挑戦者”としての姿勢 『うる星やつら』ED曲参加、地上波テレビ出演などで広まる活躍の場
バーチャルシンガー・花譜の八面六臂の活躍ぶりがめざましい。高校卒業、上京とリアルでのステップアップも経た今年、ラジオ、テレビと新たな舞台へと次々進出を果たし、8月には、バーチャルシンガーとして初の日本武道館ライブを開催。“日本発「世界を変える30歳未満」30人”を選出するForbes JAPAN「30 UNDER 30 2022」に選ばれるなど、常に新しいニュースに事欠かない花譜の、2022年の活躍をひとつひとつ見ていこう。
まずは、8月24日に日本武道館で開催された花譜3rd ONE-MAN LIVE『不可解参(狂)』。花譜はもちろん、彼女の音楽やライブ制作に関わった“チーム花譜”の面々がバーチャル分野のパイオニアとして、Vシンガー史における初の日本武道館公演を成功させた。この快挙は、これからの花譜、ひいては<KAMITSUBAKI STUDIO>の活動においても大きな意味を成しただろう。また、花譜自身は同公演にて、自身作詞作曲による「マイディア」でバーチャルシンガーソングライターという新たな一歩を踏み出した。
続いては、花譜三周年記念10大プロジェクトの一つとして昨年から始まった、リアルアーティストとのコラボシリーズ「組曲」。大森靖子や佐倉綾音、MIYAVIなど幅広いジャンルのアーティスト/クリエイターとコラボしてきた「組曲」の第9弾を飾ったのが、TVアニメ『邪神ちゃんドロップキックX』EDテーマを務めた、Cevio AI「音楽同位体 可不」とのコラボ曲「流線形メーデー」。花譜の声をサンプリングして生まれた可不は、楽曲に止まらず彼女とライブでも共演する姉妹のような関係性を築いている一方で、音声合成ソフトとしては名だたるボカロPと共にヒット曲を生み出している。元を辿れば同じ声でありながらも、「流線形メーデー」ではそれぞれの人格を感じさせる歌声と綺麗なユニゾンを響かせており、音楽表現の新境地へとリスナーを導いている。
そして最新曲の第10弾が、ORESAMAとのコラボ楽曲「CAN-VERSE」だ。バーチャルな存在である花譜にとって、「次元の越境」は根本的なテーマの一つであり、リアルアーティストとのコラボはそのテーマへの挑戦の一つと言える。MIYAVIとのコラボ曲「Beyond META」のMVでMIYAVI側がバーチャルの世界に現れたりと、色々な形で越境を表現してきたが、そういった意味で「CAN-VERSE」も非常に象徴的で、ORESAMA得意の新しさと懐かしさ入り
混じるエレクトロポップなサウンドには〈境界超えちゃって〉、〈空想追い越して〉などの歌詞が散りばめられている。MVでは、いつもORESAMAのアートワークを担当しているUtomaruのイラストの世界の中で、ORESAMAの2人がキャンバスに描いた絵から花譜が飛び出すという、2次元から3次元への移動から始まり、最後はまたバーチャルの世界へ戻ってくるという、視覚的にも自由自在な「越境」が表現されている。