TWICEメンバー分析 第6回:モモ、“ダンシングマシーン”がグループ全体に与える影響

TWICEメンバー分析 第6回:モモ

 2022年7月、メンバー全員が所属事務所との契約更新を行なったことが発表されたTWICE。2015年のデビュー以来、韓国国内はもちろん日本をはじめ世界中の人々の心を掴み、K-POPシーンを代表するビッググループに成長した彼女たち一人ひとりの魅力を、改めて捉えたい。本稿では「TWICEのダンシングマシーン」と称されるモモにスポットライトを当てる。

TWICE "MORE & MORE" M/V TEASER *THE DANCE BREAK*

 2020年発売の「MORE & MORE」ティーザー映像で公開された同曲のダンスブレイク部分が話題を呼んだ。荘厳な曲調に合わせ、鋭い表情を浮かべるメンバーたちが次々と隊形を変えながらアグレッシブに踊る。激しく振り乱される髪、上下左右に揺さぶられる各自の身体が一見カオスな印象を与えつつも、シンメトリーなフォーメーションやシンクロする動作の緩急が統一性を感じさせるような映像になっている。

 魚の群れがまるで一つの巨大生物のような様相を呈するかのごとく、9人が大きなエネルギーの塊となり、カメラに向かって押し寄せてくるその迫力。それまでのTWICEが見せていたダンスパフォーマンスとは明確に一線を画すその新鮮味に、ファンから驚きと興奮の声が上がっていた。

 ここで要を担っていたのが、モモである。フォーメーションの中心で力強くも正確な動作を繰り出す彼女の存在は、9人の生み出すうねるようなエネルギーの源となり、一体感を作り上げていた。このパフォーマンスだけではなく、デビュー以来TWICEのダンス面をけん引するメンバーとして知られるモモは、ただ一人で突出した表現を見せつけるだけではなく、グループ全体の表現をさらに魅力的なものへと昇華させるメインダンサーであると筆者は感じる。

 踊ることにより、他のメンバーに「バフ(プレーヤーが味方の能力などを強化することを指すゲーム用語)」をかける彼女の力は、『TWICE WORLD TOUR 2019 'TWICELIGHTS'』にてジヒョとともに披露した「Goodbye(さよならひとり)」(SHINee テミンソロ楽曲)のダンスパフォーマンスにも発揮されていた。広いステージを大きく使って激しく戦うように、またお互いに力を与え合うように踊った二人。迫真の演舞を見せるモモとのやり取りの中で、それまでは見られなかった自身の新たな魅力を開放するジヒョの姿が大きな印象を残した。

 この他にも、練習生時代レッスン後に皆の前でモモと一緒に踊ることが好きだったというナヨンが、その理由を配信アプリ「V LIVE」内でこのように語ったこともあった。「モモは(ダンスが)すごく上手だから、私も(一緒に踊っていて)自分のエネルギーを全部使えるの」「私はエネルギッシュな人ではなかったけれど、モモはとてもパワフルだから、一緒に踊ると同じようにできる。それですごく力が出たと思う」「実力が伸びる気分になった」

TWICE "Talk that Talk" M/V

 ダンスそのものだけでなく、ダンスへ向ける情熱により周囲をエンパワーメントする彼女の存在は、パフォーマンスに対するグループのモチベーションを高めるエネルギーの源でもあったのだろう。最新曲「Talk that Talk」後半部分、モモが他の8人を煽るようにして踊ることで躍動感が生まれるパートは、彼女がグループ内で果たしている役割を表現しているように映って感動的であった。

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