日向坂46「10秒天使」はこの4人でなければならなかった 各方面で飛躍する“パン工場”メンバーたち

 10月26日に発売される日向坂46の8thシングル『月と星が踊るMidnight』に収録される「10秒天使」のMVが3日に公開された。本稿では、佐々木美玲、東村芽依、河田陽菜、松田好花による初ユニットとなった本曲についてピックアップしてみたい。

 『月と星が踊るMidnight』は、表題曲で初センターを務める齊藤京子のソロ曲「孤独な瞬間」や、加入したばかりの四期生の楽曲「ブルーベリー&ラズベリー」が収録されるなど、リリース前から話題の尽きないシングルだが、意外な組み合わせのユニット曲があるのも特徴的。影山優佳、金村美玖、富田鈴花、上村ひなのによる「その他大勢タイプ」、そして今回取り上げる「10秒天使」がそうだ。これまでは“花ちゃんズ”や“みーぱんファミリー”といったメンバー同士で自発的に結成されたユニットや、“FACTORY”などのドラマ内で結成されたグループ、“なおみく”のような同い年でセンターを務めた者のコンビなど、関連性のあるメンバー同士で歌唱するユニットが多かったが、今回はそうした前触れのない予想外の組み合わせで新たな可能性を試みている。

 「10秒天使」は、東村、河田、松田というドラマ『DASADA』(日本テレビ系)内のアイドルユニット“FACTORY”の3人に、美玲が加わる構成で歌唱。おひさま(ファンの総称)の間ではすでに、美玲の愛称“みーぱん”とFACTORYを合わせて、“パン工場”と呼ぶ声も上がっている。

 FACTORYの3人は身長が揃っていて、歌声のバランスも良い。さらに、最近の河田は「キツネ」のような熱い楽曲で見得を切る姿を見せるなど、情熱的なパフォーマンスをするようになっており、松田はバレエで鍛えたしなやかなダンスで表現力溢れるパフォーマンス力がより増している印象。特にライブの「月と星が踊るMidnight」では、齊藤のクールなダンスを情熱的に彩る河田と松田の姿を見ることができる。そうした感情を揺さぶるダンスをする2人に対し、東村はキレのあるダンスを通して2人をサポートし、時に牽引していく。東村はユニット曲歌唱が多いメンバーの1人で、「Cage」で後輩メンバーを率いたり、「夢は何歳まで?」では同じ一期生の親友・高本彩花とのユニットでクールな歌声を聴かせるなど、どんなスタイルにでも合わせられるのが特徴だと考える。

日向坂46『月と星が踊るMidnight』
日向坂46 『Cage』Short Ver.

 そこに加わるのが美玲だ。引き立て役に徹することもできるが、中心に立つとヒロイン感が一気に増す存在感を発揮し、ライブでもまさに女優のように演じられる人。この4人はステージに立つとガラッと雰囲気を変えられるし、曲によってはいつもの姿のまま可愛らしくもいられる、その緩急が魅力である。

日向坂46『酸っぱい自己嫌悪』

 公開されたMVは、田舎の日本家屋と夏祭りをテーマとした作品で、みーぱんファミリー(美玲、河田、濱岸ひより、山口陽世)の楽曲「酸っぱい自己嫌悪」に通じるノスタルジックな世界観。楽曲も、初恋を思わせる歌詞と、4人の柔らかい雰囲気に合った明るくも切ないメロディが特徴となっており、夏の終わりを感じさせる。冒頭の美玲からの松田というハイトーンの美しい歌声のリレーもどこかノスタルジーを醸し出し、歌声のトーンの絶妙な相性の良さや心地良さで何度も聴き返したくなる。4人が普段着や浴衣を着てゆったりと過ごしている姿も見ていて楽しい。

日向坂46『10秒天使』

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